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猫の質問


 「あ…」

 

目の前にいるレア様、それを見た俺の思考は一瞬で停止し、その結果呆然として固まる事しか出来なかった。

そんな俺に、レア様は疑問を持った顔を向けてきた。だが、何故かすぐに納得したような顔になった。

 

 「あ!そういう事!」

 

するとレア様は、固まってる俺の手を引っ張って来た。

そして俺をそのまま部屋の外へ連れて行こうとしたが、その頃には既に思考が戻ってきていた。

 

 「あ、あの何処へ?」

 「え?だって…トイレでしょ?我慢してたなら言ってくれなきゃ!ちゃんと次からは言うのよ?」

 

そしてそのセリフで、俺は胸が締め付けられる程の恥ずかしさがやっと落ち着いたのを感じた。

 

 (…セ、セーフ!いやまぁそりゃそうか、あの光景見てそういう行為しようとしてるとか普通思わないよな!

…ただその代わりにこの体での初トイレするはめになりそうだが。)

 

そのまま手を引かれて何処へ向かうのか見ていると、部屋を出てすぐ近くに扉があり、そこで止まった。

 

 「ここがトイレよ、使い方とかわかる?わからなければ教えるけど…」

 

そこはトイレの様だった。

しかもレア様は使い方を教えてくれようとしてきている。

けどさすがにそれは恥ずかしすぎるので、

 

 「いえいえ!大丈夫です!」

 「そっか、じゃ私はここで待ってるからね。」


遠慮しておく事にした。

俺は一人でそのトイレと言われた部屋へ入ってみた。

 

そして俺はある事で安心する事になった。

 

 (何でかわからないけど普通に座るタイプの、普通の洋式トイレだな。良かったー!もしこれで見た事もないような作りだったら本当に使い方聞かなきゃならないとこだった…。)

 

本来なら何で異世界でトイレが同じ作りなのかつっこむべきなのだろうが、別にトイレの仕組みなんてどうでもいいか使えれば、そう思った俺はそこにはつっこまないでおいた。

正直別にすぐ出さないといけない程ではないが、何もせずに出るのもあれなのでとりあえず蓋を開け、俺はそこに座ってみた。そして

 

 

 

 

 (…服とか尻尾が邪魔で困るわ、中々うまく出なくて困るわだったけど…なんとかいけたな。)

 

出し終わった俺は、横に置いてあった、おそらく拭く用だと思う葉っぱで拭いていた。ちなみにさすがにただの葉っぱとかじゃなく、触り心地の良い物だった。確かこういう世界って紙が貴重って事が多いけど、多分ここでもそうなんだろう。そして拭いている最中、俺はある事を思った。

 

 (何か俺、完全に今の体に振り回されちゃってるな…。少し気をつける様にしよう、確かにこの体に興味はあるけど今は状況が状況だ。そんな事ばかり気にしてたら必要な情報逃しちゃう可能性あるしな。ただでさえこの世界の事はさっぱりなんだ、探索ゲーだって見逃しはするの嫌いだったもんな。…って言ってもあれか、もう大体最初にひっかかりそうなイベントは回収しちゃってる様なもんか。なら尚更だな。)

 

そうして一つ、もう少し周りの事に意識を向ける事を決め、俺はトイレを出た。…あとでトイレ出るまでの間にそんな事決めて出てくるとか、どこで考えてんだよ!って思ったりしたけど。

 

 

それからはレア様が(正しくはメイドさんが)用意してくれた食事、意外にも普通の食事で感動したのだが、それをおいしく頂いた。ちなみに魚料理だったのだがやはり猫である事が関係してるのか、何かやたらとおいしく感じた。レア様は食べてる俺の横で

 「猫の獣人は魚が好きって聞いてたから魚料理にしてみたの!」

と言っていたりもしたので、多分あってるんだと思う。

…けどその分、その間メイドさんがすごい目でこっち見てきたけど…多分レア様にやれと言われたんだろうね、奴隷がこんな良い食事じゃないもんね普通、何かすいません。でもおいしく頂いたので許してください。

 

そして今現在

 

 「シアちゃんの耳〜♪」

 

楽しそうにたまに色々口ずさむレア様に、部屋でひたすら愛でられていた。

その前に、もし来たばっかで疲れてるなら休むかどうかは聞かれたが、別に大丈夫です、と言ってしまった結果がこれである。

…まぁここにくるまでの間は馬車で寝てたからね。

 

 「…あの」

 「んー?」

 「…よろしければ私はこの先、どの様な扱いになるのか、それを聞いても良いでしょうか?」

 

金髪美少女に愛でられるというシチュエーション、それはまったくもって嫌な事ではなかったが、それでもあれから軽く1時間くらいはこんな感じだとさすがに飽きがくる。

そこで俺は自分の扱いについて聞いてみる事にした。

 

 「扱い?特にないわよ、ただ私の側にいてもらうだけ!」

 「はい、それは承知しています。ただいくらなんでもいつでも一緒と言う訳にはいかないですよね?その間はどうなるのかと…」

 

この質問をすれば多分こう返ってくるだろうとは思っていた、だが俺が聞きたい扱いと言うのは普段はどういう生活になるのかと言う事なのだ。

当然レア様が出かける事もあれば、用事があって一緒にはいられなかったりする事もあるだろう。その間はつまり、レア様という守りがいなくなるのだ。そうなると俺は嫌われ種族の奴隷、周りに何かされてもおかしくない。

だからこれを聞いてみたのだが

 

 「え?ずっとだよ?」

 

レア様はただ、質問の意味が判りかねるといった顔で『ずっと』と答えてきた。

 

 「…え?」

 「え、じゃなくてずっと!それとも私と一緒じゃ嫌?」

 「いえ、それはないです。」

  ↑(即答)

 「…そか!なら良かったー、私いきなりシアちゃんに嫌われちゃったのかと思ったよ?」

 「あ、あの。別にそういう意味で言ったつもりじゃないんです、ただ…ずっとと言うのは無理なのではないですか?」

 「…あー、もしかして奴隷だからって事?それもそっか、そりゃシアちゃんからすれば貴族が奴隷をどんな扱いしてるのかなんて、知る訳ないって話だよね。」

 

それからレア様はしばらくの間、貴族の奴隷の扱いについて説明してくれた。まとめるとこんな感じである。

 

・奴隷の扱いは所有者次第、だからその人によっては用心棒のような扱いだったり、自分の経済力を見せつけるためだけに側においてたり、いわゆる一般的な奴隷の扱いなど、様々な扱いをされている。

・他人の奴隷の扱いに対しての罵倒や傷付ける行為は、他人の所有物に手をかける行為なので誇りある貴族として格が低いという事になる。

・他人の奴隷に対しての殺傷行為は、その人に対して喧嘩を売っているも同義、すなわちそれは家系同士の争いに繋がる可能性が高い為禁止されている。

 

 「まぁ要するに誰がどこに、どんな奴隷をどんな扱いで連れていこうと、それはその人の自由っていうのが基本なのよ。

だから自分のお気に入りの奴隷は常に一緒って言うのはよくある話なの、だからシアちゃんも私と一緒ならどこにいたって大丈夫なのよ。

…まぁシアちゃんは獣人族だし、貴族の間でも獣人族だけは別みたいな風潮があるから何か言ってくる人もいるかもしれない、けどそれはちゃんと判った上でシアちゃんを買ったから、私がシアちゃんを守るつもりよ!だから安心して私の側にいて?」

 

そう言ってレア様は俺の頭を撫でてきた。

 

 (…ほんとしっかりしてるんだなレア様は、他人にどうこう言われようと自分の意思を貫くっていうの?そういう事しようとしてるんだもんね。

…にしてもなるほどね、奴隷を馬鹿にする事、それ自体が格を下げる、か。

誰だか知らないけどその決まり作ってくれた人には感謝だな。

…つまりそれは俺が一生この金髪美少女レア様の側にいられるって訳だし!それもほぼ常にってレベルで!

いやー良かった、家の中で飼ってる猫みたいに、普段は家の中で放置ですなんていわれたらどうしようって思ってたもん。だってレア様いなかったら嫌われ者な獣人の俺じゃ何も出来ないし!かといってずっと寝てるかじっとしてろだなんて言われてもそれはきついし。

 


 「……ありがとうございます。」

 「いいのよ!飼い主は自分のペットに責任を持つ、そんな当然の事するだけだもん!」

 

 

こうして俺はあれからまた一つ新たに思いついていた、一人の時の扱いについての安心を得られた。

…のだが

 

 「…って、あ!もうそろそろ勉強の時間…そうだ!この後って私お勉強で家庭教師さんの授業あるんだけど、いるだけじゃ暇でしょ?だからシアちゃんも受けてみない?シアちゃん頭良さそうだし、多分私が言えばいけるいける!」

 

その後のレア様の発言で、俺はまた別の不安を抱えてしまう事になったのだった。

うちにいる猫を見てて今回の小説に猫要素入れたくなったのですが、最近いずれこいつを参考にしたキャラとか出してみたいなー、とか考えてみたりしてます。


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