猫耳大好きなお嬢様
一話の冒頭で主人公の容姿を書いたのですが、あれは他人から見た場合として外見を書いたつもりでした。
(猫耳とか尻尾とかは触ればわかるかなと)
ただコメントでどうやって主人公が外見を知ったのかという物を頂いたので読み返してみた所、確かに主人公から見た外見の様な記述になってしまっていたので、一話には冒頭に修正を入れておきました。
ですのでもし同じ様に思っていた方がおりましたら、まだ主人公は自分の外見を細かく知らないとの認識で、ここから読んで頂ければと思います。
長い前置きですいません!
元々部屋まで俺を連れて来た後は、メイドさんは部屋に入らないでとの指示をこの人が受けていたのを、俺は思い出した。そう思ってメイドさんの顔を覗いて見ると、予想通り困った顔をしていた。
だがすぐに諦めた様な顔になると
「…仕方ありませんね、元々そういう命令だったのですから構わないでしょう。」
そう言って扉に手を伸ばし、少しだけ開けておく様にすると、再び俺はお姫様だっこされた。
そして俺とメイドさんはこの部屋に入っていった。
…そこで入っちゃう辺、たぶんここでのメイド歴長いんだろうなー
その部屋の中は正にお嬢様の部屋という感じの部屋だった。…本当にまんまそういう部屋だった為、特に気になる点も無いくらいに。
そしてその部屋に入って左、そこには大量の服がかけられているのが見えるクローゼット、それに向かって唸っているお嬢様がいた。だが俺達が入ってくるとさすがに気が付いたらしく、すぐに俺達の方を向いてきた。
「あらもう終わったの、さすがに早いわね。」
「勿体無きお言葉、ありがとうございます。」
「それじゃあ貴方はもういいわよ、普段の仕事に戻って頂戴。」
「わかりました。」
メイドさんとお嬢様は二言程会話すると、すぐに俺は降ろされメイドさんは部屋から出て言った。
「さってと…とりあえずこっちに、って足枷着いてちゃ動けないか。」
部屋に二人きりにされると、お嬢様は直ぐ様俺の前まで歩いて来る。
すると先程メイドさんがやったのと同じ要領で、俺の足枷を外してきた。
そんな簡単に外しちゃっていいのかと思った俺は、少し戸惑った。
「あ、あのこれは。」
「ん?だって貴方どうせ抵抗する気ないんでしょ?するんだったら最初にしてるだろうしね…っと、それじゃ次!」
俺の足枷を外したお嬢様はクローゼットの方へと向かい、その中から服では無く、白い首輪を持ってきた。
「これはうちの、まぁいわゆる貴族みたいな高い身分の人の奴隷ですよーって証になる首輪よ。貴方には今日からこっちを着けてもらうわ、今の貴方のだと誰かに手出されたりする可能性あるからね。」
そう言うとお嬢様は俺の首輪に手を伸ばし、またしても足枷と同じ方法で外した。そしてその場所に手に持っていた首輪を付けられた。
…にしてもこれほんとどういう魔法なんだろ、聞いてみたいけどなー。今の所は良い人そうだけど一応俺奴隷だからな、もう少し我慢しとこう。
「よし!これで貴方は今日から私のよ。…っと、それでなんだけどさ。これから言う事は別に嘘じゃないから信じて欲しいんだけど、聞いてくれるかな?」
「は、はい。」
急に顔を近づけられて話しかけられた為、俺は少しびびってしまった。
…にしてもやっぱりこれは猫の嗅覚何だろうか、やたら良い匂いするんだよなー。まあそもそも彼女何ていなかったからまともに女の子の匂いとか嗅いだ事も無かったですけど!
「えー、こほん。…別に馬鹿にしたい訳じゃ無いんだけど。貴方は今まで外に出た事も殆ど無いだろうから、全然世間の事とか知らないと思うんだけどさ。それでも獣人族が基本的に嫌われてるって事くらいは知ってるかな?」
「まぁ、はい。」
「うんうん、まぁそうだよね。じゃなきゃこんなに怯えたりしてないもんね。」
すいません、それ怯えてるんじゃ無くて慎重になってるのと、こんな女の子と近い状況に慣れてないからってだけです。
「それでなんだけどさ、まず最初に私は貴方に言って置きたい事があるの。
…私ね!猫耳の獣人族が大好きなの!」
お嬢様は急に俺の方を目を輝かせながら見て、そして大方そんなとこじゃないかなと薄々思っていた事を、そのまんまで言ってきた。
「何か偉そうな奴ほど獣人族嫌ってる人って多いんだけどさ、正直私としては何でこんな可愛いのを嫌ってるのか理解出来ないのよね。まぁ特に好きなのは貴方みたいな子で、他は普通になんだけど。
でさ!つまりそういう訳だから…そう!そんなに怯えたりしなくていいよって!それが伝えたかったんだけど…どうかな?それともまだ会ったばかりの私じゃ、信用出来ないかな?」
そう言うと彼女はすごく穏やかそうな顔をしてきた。
(大体わかってきたな、この人はあれだ。奴隷として買ったけど別に酷い事したくて買ったんじゃなく、かといって対等に見るって訳でも無くて、本当にただペットとして可愛がりたいから買ったんだよって、そんな人だ。
…ちょっと難しい所だよなー、まぁ要するにおそらくこの世界での獣人族ってのは奴隷なのが当たり前なんだろう。だから初めから対等な立場とかって見る気が無い。
俺の世界で言えば猫を飼ってるとして、それをまるで家族のように見てる人だっているにはいるが、基本的にはペットって扱いなのが当たり前だ。そしてそれが普通って事になってる。
だからこの人にはきっと悪気なんて無いんだろう、獣人族が奴隷だってのは当然として、むしろ自分は貴方を奴隷扱いじゃなくてペットとして可愛がりたいってタイプの良い人だよって言ってるんだ。
ただし猫耳系に限るとか言う特殊なタイプみたいだけど。…てかそれなら何で女の子の俺、選んだんだろ。男の子の猫耳いなかったのかな…
ん?あ、いや俺男だけどね!?あくまで今の体で見ればって話だから!いやー危ない危ない、こんな考え方してたら思考まで女の子になっちゃう可能性あるしな。俺はあくまで中身が男の女の子として、女の子と一緒にいたいんだ!
…まぁ正直ペット扱いってのは俺としちゃあれなんだが、少なくとも酷い目に遭う事は無さそうだし我慢しよう。そしてここまで長くなっちゃったけど信用するかどうかに関しては…そもそも美少女で良い人だって時点で当たり前!)
「いえ、信用します。」
「…そっか、ありがとね。…そ、それじゃあなんだけどさ!…あーもう我慢出来ない!」
長い事色々考えていたが、それでもお嬢様は俺の返答を待っていてくれていた。そして返答を聞くと突然俺の体にしがみついて、そして思いっきり耳とか尻尾とかを撫でくり回してきた。
といってもさっきのメイドさんの様にでは無く、あくまで相手の事を考えてあげるようなやりすぎない撫で方だった為、正直普通に気持ち良くてふわ〜とした気分になった。
「あ〜、やっぱ思った通り良い感触。…って、あー!ごめん!ついうっかりやっちゃった…。」
だがそれでもお嬢様としては無理矢理やっしまった事を気にしてか、わざわざ俺に謝ってきた。そしてそれがあまりにも典型的な良い人な対応だった為、俺はつい笑みをこぼした。
「…ふふ、いえ、大丈夫ですよ。むしろとても気持ち良いくらいですので。」
言った後に、随分余裕で落ち着いた奴隷だなこいつ、とか自分で思ったりしたけど。
…まぁ、この人なら大丈夫だろうからね。
「そ、そう?にしても貴方随分落ち着いてるのね。」
「すいません、ですが最初に会った時の反応と、今話してくださった内容とで…ご主人様は良い人なんだろうなって思ったので、だから今はもう大丈夫なんです」
そこまでつい本音を丁寧にした言葉で言うと、お嬢様は驚きつつも嬉しそうな顔になった。…ちなみにご主人様って読んだのは何となくだ、奴隷なんだしそう呼んだ方が良いのかなーって。
「そ、そっか!それなら良かった!…これからよろしくね!」
そして最後には満面の笑みで俺を見てきた。
…あかん、俺あれだわ、もう絶対この人の事嫌いになれないわ。まぁ全然いいけど。
「こちらこそよろしくお願いします。ご主人様。」
「んーそれもいいけど…やっぱ名前で呼んで欲しいかな、ってそういえばまだ名前教えてなかったわね。
私はレア・フランドルって名前なんだけど…」
メイドさんでも名前で呼んで無かったけど良いのかな…まぁいいか、この人が喜んでくれるなら。
「わかりました、では…レア様、で良いでしょうか?」
「うん!それでいこう!それじゃ貴方の事は…あ、そういえば貴方は自分の名前って持ってる?奴隷の中には名前が無い子もいたりするけど…」
正確にはあるけどこの体には合わないなー、かといってこの体の名前何て知らないし。
「すいません、名前は無いです。」
「そっか、じゃあ…うーん、銀髪に青の瞳か…銀髪のギ、じゃ何か強そうだしな〜。近いのは白かしら、白と青…あ!シア何てどう?白のシと青のアで!…ちょっと適当すぎ?」
名前が無い事にしてとくと、お嬢様は俺の為に名前を考えてくれた。
…こんな美少女に名前付けられて嫌な訳あるか!
あ、ちなみに髪の色と目の色は知らなかったので、そういう色になってるんだ。とか思ったりもした。
「いえ!良い名前だと思います。」
「そ、そう?じゃあこれから貴方の名前はシアって事で…いいかな?」
「はい」
「…わかったわ、じゃあ改めてこれからよろしくね!シア!」
「こちらこそよろしくお願いします、レア様。」
「うんうん!…さて、それじゃあ」
何か良い感じに話が進んでるなー、これから楽しそうだ。そう俺が思っていると、お嬢様、改めレア様は最初に首輪を取ってきたクローゼットの方へ行った。
そしてこの時、俺はこの部屋に入る前に考えた事…服がなんだとかと言っていたのを思い出した。
「まずは服着替えましょっか!せっかく可愛いんだから着飾らない何て勿体無いもんね!私と背同じくらいだから私のでも着れると思うし、他にもシアを前に見た時…まぁシアはあの時寝てたみたいだったから覚えてないと思うけど。その時から同じ背くらいって解ってたから色々似合いそうな服揃えておいてみたのよ!
さぁこっに来て!」
そしてそれは思っていたよりも、もっとやばそうな事態だった。
(こんな普通なキャラ名なのに中々思いつかなくてここ最近ずっとそれで悩んでたのは内緒)