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猫はお風呂苦手なんですよ


それからメイドさんの手によってお姫様だっこされた状態のまま、俺は混乱と恥ずかしさとで借りてきた猫の様にじっと抵抗しないでいた。

 

 (まさか運ぶってお姫様だっこだとは。奴隷なんだから無理矢理歩かされるとか思ったけど…あーでもお嬢様の私物だからこういう扱いとか、そんな感じなのかな?)

 

何故にお姫様だっこなのかを考える事で一旦思考を逸らしていると、メイドさんは目的地に到着したのか、俺をさっと地面に降ろした。

ちなみにここまで一応景色も少し見ていた為わかったが、メイドさんに俺が抱き上げられた場所は、どうもこのお嬢様の住んでる屋敷前といった感じだった。

それからはその屋敷の中へと入っていき、ずんずんと広い屋敷を進んでいったのだ。

それとこのお嬢様の屋敷だというのは、内装の豪華さから明らかだった。

…いやー、見事に金色がいっぱい目に入ったよね。


 

 「服と足枷を外します、抵抗は…する気は無いと思いますが、くれぐれも大人しくしているように。」

 

 

メイドさんはそう告げると、俺の服と足枷をささっと取ってしまった。

ちなみに足枷を取る時、手をかざしてそこから光を放つ、なんて行為をしていたりした。すると何処にも割れ目の線など入っていなかった足枷が、パカッと真ん中に切れ目が出来て外れたのだ。

 

 (お、魔法ですか?てかこの足枷魔法関係してたのか。まぁ魔法あるなら利用するよな、鍵でカチャカチャやるよりよっぽど楽だろうし。…にしてもどういう魔法なんだろ、鍵空けの魔法とかかな。)

 

そんな事を考えていると、いつの間にかメイドさんは何故か不思議そうな顔をしていたが、すぐに元の真面目顔に戻ると俺に目の前にあった扉に入る様催促してきた。

 

 (…ああそういえば風呂って言ってたもんね、って事はこれお風呂場か。)

 

俺はそのまま催促されるがままに入って行った。すると中はちょっと高級なホテルの、大浴場みたいな感じになっていた。

その広さにちょっぴりわくわくした気持ちになっていると、これまたいつの間にか俺の隣に来ていたメイドさんが、俺の手を引っ張ってきた。

そして俺は、考えてみれば当たり前な事実に直面する事になった。


裸のメイドさんがそこに立っていたのだ。

 

 「うわっ!」

 

ついびっくりしてしまった俺は、手を掴んできたメイドさんの手を反射的に離しそうになる。だがしっかりと握られていた為に、その手が離れる事はなかった。

 

 「…やはり獣人は獣人ですか、ですが今更抵抗しても遅いですよ。」

 

そして少し冷たい目になったメイドさんは、俺をぐいぐいとお風呂場の端っこへ連れて行った。

ちなみにその時の俺はというと

 

 

 (え、獣人?そこ関係あるの?そして何でそのタイミングで冷ややかな目?抵抗しちゃったから?てかお風呂ってやっぱ本当に自分で洗うとかじゃなくて洗われる感じなの?俺これでも前世じゃ女子のチラ見する箇所とかだけで反応しちゃう様な奴なんですがまじで洗われるの?)

 

 

頭の中が再度パニックになっていた。

…大体は後半が原因だが。

 

そして気がつけば俺は、何処からか現れた(もはや何処から持ってきたのかわかんない)椅子に座らされた。

 

 「では洗うので目を閉じていてください。"ーーーー"」

 

とりあえずメイドさんの指示通りに目を閉じてみると、彼女は突然謎の言葉を発した。すると彼女の手から水が流れ出した。

 

 (これ完全に魔法じゃん!さっきの光るのとは違って完全に魔法っぽい!)

 

そんな感想を抱いていると、彼女は俺の体へとその手を伸ばしてきた。

 

 (…うん、落ち着け、落ち着くんだ俺。さっき目を閉じてろって言われたしな、だから俺は目を開ける事は出来ない、そして洗うのも自分じゃなくていいんだからただじっとしてればいいんだ。何か猫化したせいかめっちゃ良い香りがこの人からしてやばいけど、そこは我慢だ我慢。…どんな感覚なのかなぁ)

 

落ち着けと自分に言い聞かせつつ、俺は密かにちょっと期待を膨らませてみたりした。

…だがその水、お湯だったのだが、それが俺の体に触れた時だった。

 

何かゾクゾクとした感覚が俺の体を襲った。

 

 「ひあっ!?」

 

思わず俺は自分で出してて恥ずかしくなるような声を上げてしまった。

だがメイドさんはそんな俺の様子を気にする事もなく、俺の体にお湯をかけていく。

 

 「…ん、んん…ひっ!」

 「…少し静かにしてもらえますか?」

 

正体不明の感覚に襲われた俺は、我慢できず声を漏らし続けた。だがメイドさんがすごい顔で睨んできたので、何とか我慢しようとした。

だがその感覚が消える事は無く、絶え間なく俺を襲い続けるので、さすがに我慢の限界になりそうだった。

しかし、その我慢は結局あっさりと壊される事になった。

 

それはお尻の後ろから来た感覚だった…そう、尻尾にお湯をかけられたのである。それも汚れを取る為に、根本から先まで撫でられたのだ。


 「ひあぅ!?ちょ…ま、待ってくださ…んん!」

 「…はぁ、獣人族と言うのは本当に無駄に感度が良いのですね。

…ですが貴方に拒否権はありません、さっさと終わらせるので我慢してください。」

 「そ、そんなこ…あっ、い、言われまし…んんん!」

 

 

そしてそれ以後俺は体中を綺麗に洗われていったのだが、尻尾と、それと猫耳の部分を洗われる時はやたらと大きい感覚にびくびくしてしまい、終始声を止める事は出来ず、ずっと喘ぎ続けたのだった。

 

 「も、もういいんじゃ…ひっ!…ないで…あああ!」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 

 

 

 

 

 (…こんなに嬉しいようで疲れたような気分になったのはいつぶりだろう…)

 

お風呂からようやく出してもらえた俺は、もはや抵抗する気力もなく、ただ体をメイドさんに拭かれる行為に身を投じていた。

 

 (…にしても俺、今あんな声出るんだな。正直自分の体って自覚がまだ完全に持ててないから客観的に言うけど、元々喋ってて自分でも中々可愛い声だなとは思ってたよ。…でもあれはやばいわ!出してる自分が恥ずかしくなったっての!)

 

その間、先程の風呂の事を思い出して恥ずかしくなったりしていた。

ちなみに結果に関してはさすがにメイドさんだけあって、俺の体の汚れは完璧に落とされていた。

…ああそれと綺麗になった俺の肌は割と綺麗な白よりの肌色だった、洗う前まではそういう色なのかと思えるくらい黒っぽかったけど。

 

そして俺の体を拭き終えると、メイドさんは俺の体に白い簡素なワンピを持ってきた。

…そう、ワンピだった。しかもそれ一着のみ。

 

 「え…あ、あのこれ着るんですか?」

 「そうです、お嬢様の前に裸で行かせる訳にはいきませんから。嬉しいでしょう?本来なら奴隷は裸ですからね、お嬢様に買われた事に感謝しなさい。」 

 

困った俺はメイドさんに聞いてみたが、メイドさんに俺の考えが伝わる事などなかった。

 

 (…そうじゃないって!いきなりノーパンミニワンピとかレベル高すぎるって事ですから!てか本当に勘弁してって!恥ずかしすぎますからあああ!)

 

だが俺がいつまでもおろおろとしているのが苛つかせたのか、メイドさんは俺の両手を上で束ねさせてから、無理やり俺の体に服を通してきた。

ちなみにその後足枷だけは帰ってきた。これがまた本当に不思議な足枷で、魔法だとわかっていても不思議に感じる。繋ぎ目の所はただ別れてるだけなのに、ピカーってメイドさんがやるとすぐくっ付くのだ。

 

 「…まったく、これだから獣人は。それではこれから貴方の主人となる、お嬢様の元へと運びますが…言うだけ獣人の頭では無意味だとは思いますが、間違っても失礼の無いように。」

 

そしてまた酷い言われようを受けた後は、最初のお姫様だっこにされた。


 (めっちゃ足元スースーする!いやまぁ元々ボロ切れ着てたような感じだったけどさ、あれはもはや服だとは思ってなかったから恥ずかしくなかったんだよ!…けどこれは恥ずいって!

お嬢様だっけ、責めて下着くらいくれないかなお嬢様。…いやそれだと女物の下着になるのか、それはそれでまた別の葛藤が…。

まぁ幸いこの体見事にぺったんだから上はいらなそうだけどね、むしろ全身超ほっそりだし。奴隷だったから栄誉足りなかったとか、そんなとこだろうけど。…別にちょっとくらいはあってもとか考えてないからな!

…それにしても随分獣人嫌われてんだなー、でもペット用とやらがあるらしいし、人それぞれなのかね?この人は完全に嫌ってるタイプみたいだけど。)

 

運ばれてる間色々と考え事をしていると、いつの間にか俺の目の前には明らかに他の部屋とは違う豪華な扉があった。

メイドさんは俺をすっと置き、その扉に軽くノックした。

 

 「お嬢様、奴隷をお持ち致しました。」

 

すると中から返事が帰って来る、

…かと思ったのだが。


 「……あ!これも良いわね、こっちもあの娘に似合いそう。あーでもこっちも…」

 

中から聞こえて来たのは何やら作業をしてる様な音と、何かを選んでいるかのような、あのお嬢様の声だった。

そしてこの時、俺はある事を確信してしまった。

 

…これ絶対この後恥ずかしい思いをするイベントがある、と。

あくまでお風呂です(笑)

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