『うさぎ』討伐と解体スペースと。
『黒うさぎ』は跳ねまわりながらジンに近づく
『身体強化』と『速度強化』を再び唱え『黒うさぎ』の攻撃を見切り始めていた。
そして、『黒うさぎ』との距離を計りながら攻撃のチャンスを待っていた。
「何でこんなに巨大なうさぎが速いんだ・・・。」
『ぴょんぴょん跳ねる跳ねる~』
「下手に攻撃するとふっ飛ばされそうだ・・・。」
『正面から殴らず側面を殴れば??』
「側面・・・避けて殴るか・・・。」
ジンは『黒うさぎ』の攻撃に合わせ次第にギリギリの距離で避け始める。
そして、避けながら『黒うさぎ』の側面を『ドゴォ!』とぶん殴る。
『黒うさぎ』は殴られ10mほど飛ばされ・・・。
「あれ、一撃で倒した・・・?」
『魔力を纏っての一撃だから倒しきったのかな~』
「いやいや、それでも『黒うさぎ』を一撃か・・・魔力を込めすぎたかな??」
『そういえば魔力枯渇にはならないの?』
「ギリギリ大丈夫、街までは『速度強化』を唱えるほどは魔力量残っているよ。」
『それじゃ、『黒うさぎ』を持って帰ろう~』
「はいよ、それじゃアイテムに保管するよ。」
ジンは『黒うさぎ』をアイテムに保管し「はふぅ~」と深く息を吐き
その場に座り込んでしまう・・・。
「疲れた・・・魔法を使って逃げ回りながら攻撃は疲れるね。」
『それと魔力を纏いながらの攻撃でしょ?』
「そっか、常時3つの魔法を使っていたのか・・・そりゃ疲れるわ・・・。」
ソラはジンの膝の上に座り眠りながら・・・。
『暫らくゆっくりしよう~』
ジンはニコニコしながらソラを撫で始める。
一応MAPを展開しながら周囲を警戒していたが
1時間近く草原で『ぼ~』っとしてから街へと戻るのだった・・・。
ソラは街へ戻るまでジンの腕の中で眠り続け・・・。
次に目が覚めのは冒険者ギルドの解体スペースで
『黒うさぎ』を取り出した時の驚きの声を聞いて起きだし
慌ててジンの頭にしがみつくのだった。
ジンが冒険者ギルドに到着し
「あの『野うさぎ』の解体をお願いしたいんですが・・・」
「わかりました、それで『野うさぎ』はどこに??」
「マジックバックに保管してます、ここで出しますか?」
「向こうの解体スペースへ案内しますのでついて来てもらえますか」
ギルド職員がジンの前まで来てギルドの解体スペースまで案内を始める。
解体スペースはギルドの奥にあり室内は低温になっていた。
ギルド職員5人が大猪や黒熊などを解体していたり
冒険者立ち会いで肉や毛皮の交渉をしていたりしていた
「それではこの机の上に『野うさぎ』を取り出してもらえますか?」
ギルド職員は机を指差し『野うさぎ』を出してもらいたいと言ってくるのだが・・・。
明らかに『野うさぎ』よりも机が小さいんだが・・・どうしよう。
「あの机には載り切らないんですが・・・。」
「大型の『野うさぎ』なの?」
「はい・・・取りあえず出しますがいいですか?」
「机の上は無理な様だし・・・床の上にお願いします。」
ジンは取り出す『黒うさぎ』がギルド職員に邪魔にならない位置まで動き
「出しますよ~」と声をかけてから『黒うさぎ』を取り出す。
ギルド職員はジンが取り出した『黒うさぎ』に驚き声を失い・・。
他の解体をしていたギルド職員達も作業の手を止め『黒うさぎ』を凝視していた。
「あの解体をお願いしてもいいですか??」
ジンに声をかけられギルド員は・・・。
「は、はい、了解しました!!
ちょっと待っててもらえますか、ギルドマスターを呼んできます!!」
「え、あの、解体は・・・?」
「すぐに戻ってきますので、その場で待っていて下さい!」
「・・・はい。」
『黒うさぎ』を取り出していきなり放置ですか・・・。
『黒うさぎ』の肉を貰って帰りたかったのに・・・残念。
ジンが即行で帰りたいと思っていると
解体をしていたギルド職員達が『黒うさぎ』の周りに集まりだし
「これは『野うさぎ』なのか・・・?」
「角が無いから『一角うさぎ』じゃないのは確かだが・・・」
「それにしても黒いうさぎというのは見た事も聞いた事もないな・・・」
「それ以上に何故に黒いかが問題だ・・・これは食えるのか??」
ギルド職員達がガヤガヤ話をしていると
話し声がうるさかったのかソラが目を覚まし
目の前で暑苦しいギルド職員達の大声に驚きジンの頭に抱きつき
『なんでおっちゃん達がいっぱいいるの??』
「おはようソラ、ここはギルドの解体スペースだよ。
あの人達は解体をする方々だからね、怖くないよ。」
『いえ、めっさ怖いです。しかも大声だしているし・・・』
「まぁ、少しだけ待っていてね
解体をお願いしたんだけどギルド職員がギルドマスター呼びに言っちゃったし」
『何でギルドマスターを呼びに??』
「さぁ~、『黒うさぎ』だからかな??」
『そうなの面倒だね・・・早く帰りたいよ。』
暫らくすると解体スペースに大柄の冒険者がギルド職員と一緒に入ってくる。
「この黒い『野うさぎ』を討伐したのは誰だ!!」
次の瞬間、解体スペース内にいたギルド職員達はジンを指さし
「「「「「「彼ですよ!」」」」」