南の森への遠征③
ジンの筋肉痛と魔力枯渇は数日間続き森の探索を取り止め
チコとリコはジンの世話をしながらのんびりと過ごしていた。
クロは箱馬車を囲む様に『茨の森』を展開し
ソラとシロはジンの最後の一撃で陥没した地面を均し
『茨の森』の周囲の地面を『土魔法』で岩のように硬める。
土蟲対策とソラが言っていたが
倒した触手に生えていた牙に効果があるかどうか・・・。
久しぶりにゆっくり出来ると言う事で
クロの甲羅に座布団を敷きお茶を飲みながら
採取した果物や薬草を調べていた。
各果実は種類別にして木箱で二つほどあり
全体で二十を越える木箱分の果実を確保していた。
そのかわり薬草はめずらしい物だけを採取し十本一束ずつ採取してあった。
南の森は果実が豊富で薬草も豊富と言うか多種多様な薬草が生い茂り
今回の遠征では全ての薬草や果実の回収は無理のようだ。
ジンはMAPの情報を地図に書き記し果実のある場所や薬草採取場所を記し
次の遠征向け少しずつ準備を始めていた。
チコとリコは調理場で料理をしていた。
作り置きの料理ばかりを食べていたので
久しぶりソバの実入りの御粥を作ったり
ソバ粉で麺にしてパスタっぽいものを作ったり
ジャガイモから片栗粉を作り『川鳥の唐揚げ』を作ったり
もちもちの『いももち』を作り試食を繰り返す。
チコとリコは食感が面白かったのかお腹いっぱい試食をし
今はジンに寄りかかるように昼寝をしている。
ソラ達は唐揚げを美味しそうに頬張っている。
「んー、もちもち美味し。」
『唐揚げも美味しい~。』
『うまうま。』
『美味しいです。』
「昨日は頑張ったから今日はゆっくりしようなぁ。」
『『『はーい。』』』
「片栗粉も露店で買えればいいんだけどな。
自分らで作ろうにも手順が面倒だしなぁ。」
『料理が美味しくなるから頑張って。』
『そそ、美味しいから揚げの為に。』
『美味しいは正義です!』
『開拓村』で戻ってからの宿題が増えていく・・・・。
ルカ達に作り方を教えて専門で作って貰おうかな。
甲羅の幼木での木陰は昼寝に向いており
夕方までまったりとした時間を過ごすのだった。
三日程『茨の森』で過ごし再び森の探索をし
箱馬車は森の深部へと進むのだった。
進行方向の草を刈り道を作り
ある意味開墾しながら進み周囲の風景が変わり始める。
果樹実る木々が減り巨木の森へ足を踏み入れる。
巨木の森は不気味な獣と鳥の鳴き声に包まれ
クロは『魔法障壁』を二重で展開し
ソラとシロもまた『風魔法』で周囲の草を刈り取り吹き飛ばしていく。
チコとリコは弓を構えるのではなく魔法発動の準備をしている。
「まいったね、木々に隠れて結構な数の反応があるよ。」
「猿似のやつですか?」
「それ鳥似のやつ?」
「ソラやシロの魔法でも動きが無いから木の上にいると思う。
反応の数が多いから各自障壁展開で各個撃破でお願いね。」
「「はい。」」『『任せて。』』
「クロは地面からの攻撃に注意してね。
土蟲の対処はクロに任せた!」
『了解!』
ジンは『身体強化』と『速度強化』を展開し
ドゴォォォォ!
目の前の巨木を殴りつける。
巨木が激しく揺れたと思ったら木の上にいたモノ達が落ちてくる。
落下しながら逃げる者・・・もしくは落下しながらジン達に攻撃をする者。
ジンは次々と周囲の巨木を殴り続ける。
五本目の巨木を殴った所で木の上でこっちを見ていた者たちは消えていた。
そして、地面に落下した者達がジン達に攻撃を仕掛ける。
クロの障壁に阻まれ動きを止めた者はチコとリコの魔法で倒され
障壁を突破した者はソラとシロから蹴られ殴られている。
障壁を破壊しクロに近づく者もおり慌ててジンが『魔法障壁』を展開し
チコとリコが魔法で次々と仕留めていく。
足元からの土蟲への対処はソラが地中へ魔法を放ち倒していく。
そして、全て倒したと思ったら『蛇』が現れた。
森全体に反応があった『蛇』は箱馬車を囲む様に身体を動かしており
気が付いた時には巨大な口を開けて箱馬車を締めあげてきた。
クロの障壁を瞬時に破壊しジンに口を開け向かってくる。
ソラとシロが箱馬車の周囲に『土槍』を展開し『蛇』の身体に次々と刺さり
『蛇』が絶叫していくが箱馬車を締めあげる力が緩む事は無く
チコとリコが『魔法障壁』を展開していくのだが瞬時に破壊され
連続で障壁を展開し防戦一方な戦いをしていたが
ジンが『蛇』の顎を蹴り上げる・・・それも連続で!
顎を砕き頭を破壊するまで蹴り続け最後に踵落としをした。
『風魔法』を纏った一撃は『蛇』の首を斬り落とす。
『蛇』の頭部だけでもジンの肩ほどの大きさがあり
身体の長さが100m以上の長さもあり「これは食べるのも大変だな・・。」と呟き
物は試しかと思い『蛇』をアイテムボックスに保管する。
「あれま保管出来るのか・・・。
これなら追加で『蛇』を倒せるな。」
「障壁が一瞬で壊された・・・。」
「もっと頑張らないとダメ・・。」
「『蛇』もそうだけど土蟲も同時に襲って来ては対処に困る。
ソラとシロがいたから何とかなったけど危なかった。」
『土蟲嫌い。』
『うねうねにょろにゅろ』
「対空と対地下への攻撃を考えないとダメかな。」
「対空?対地下?」
「ジン兄さんの蹴り上げは対空攻撃?」
「蹴り上げは対空攻撃じゃないよ。
対空攻撃はチコとリコの弓矢と魔法かな。
対地下攻撃は僕が地面を殴った攻撃か
ソラが地面に魔法を放った攻撃かな。」
「空中への攻撃は命中するのが難しくて苦手です。」
「私も苦手・・・修練不足なのかな・・・。」
「この遠征中に実戦を重なれば上達するかな?」
「今も凄い数に襲われたし実戦する機会が多くて嬉しい?」
「どうだろう、『蛇』はデカイし土蟲はキライ。」
「それよりも今襲ってきた野獣は猿似よりも巨体な者。
大蜥蜴似の鋭い爪と牙を持つ者、鋭い嘴を持つ巨鳥。
昨日まで襲ってきた獣と違う者が多いな。」
「凶暴で俊敏な個体が多い・・・。」
「最後の『蛇』は倒すのは困難な気がするし。」
「『蛇』はリーナさんが言っていた『人喰い蛇』で間違いないだろうね。
大きいし口を開けて襲ってきたし・・・人なら一口でペロリだろう。
思わず蹴っちゃったけど普通はどうやって倒すんだろう?」
チコがギルドで聞いた話として『噂程度でよければ・・・。』と話しだす。
「複数のランク上位パーティーが数十人で討伐するらしいですが
討伐を成功しても半壊必死との事でした。
遠距離から魔法攻撃をしダメージを与えてから
接近し大剣や大槍で切断か貫通し倒すらしいです。」
「魔法で撃ち倒す事は考えないのか・・・。」
「巨大な身体と言う事で魔法で倒す事は不可能と言う事でした。
広範囲魔法も『蛇』が巨大すぎて発動まで時間がかかると・・・。
それに『蛇』は絞め殺すので接近されたら死を覚悟するらしいです。」
「魔法で作られた障壁を砕く『蛇』の攻撃は驚異だった。
『土槍』をも砕く威力で締め上げたし・・・。
クロ・チコ・リコの『魔法障壁』でなんとかなったけど危なかったね。」
「ジン兄さんが蹴りだけで倒した事の方が驚きなんですか?」
「確かにいくら魔法で底上げしていると言っても連続蹴りだけで倒すとは・・。」
「『身体強化』『速度強化』の多重展開だったし『魔法弾』を『魔闘衣』展開し
最後の『蹴撃』は蹴り足にだけ『風魔法』を『魔闘衣』を展開し
『蛇』に全力全開の一撃で蹴り抜いたからね。」
「最後の蹴りは蹴り抜いたと言うより斬り裂いた感じでしたね。」
「魔力全部を乗せた一撃だったから斬り裂けたのかわからないけど凄かった。」
「私は大口を開けた『蛇』に向かうのは怖くて無理です。」
「同じく・・・。」
「無我夢中だった・・・何より『蛇』を倒さないとみんなを絞め殺されそうだったし
蹴り続けても倒せるか微妙だった・・・蹴りを止めたら反撃されそうな気がして・・・。」




