雪が降らない冬期間の過ごし方②
『開拓村』でジン達がのんびりとポーションを作成している頃
黒飛蝗襲来での冒険者減少と食糧の円滑について
冒険者ギルドの会議室では街の代表者とギルドの代表者達が紛糾していた。
黒飛蝗の襲来時に進行上被害にあった街の復旧や各街や村での食害・・・。
畑は収穫後と言う事で来季に向けて土作りが必要と言う事。
果樹園は果実以外にも幹や枝も被害にあったので収穫まで時間がかかる。
街の被害は外壁の破壊が主で建物の破損は無いという話だった。
それ以上に黒飛蝗の襲来時に倒された冒険者が一番の問題だった。
『天災』と言える緊急依頼と言う事で冒険者達には報酬を事前に受け取っており
家族や子供達に不自由な思いをしなくて済むようにはなっていたが
働き手が亡くなったと言う事で半年は大丈夫だとしても
それ以降は生活が大変になるのは目に見えていた。
「それでは新しい働き手や専用に依頼を発行するか・・・。」
「下位冒険者と依頼を区別する必要がありますね。」
「それなら街の外より内部での依頼を増やした方がいいかも知れませんね。」
「採取依頼を増やすのも考えた方がいいかも知れませんし・・・。」
「子供達なら薬草採取でも大丈夫かもしれませんが?」
「薬草採取する子供達の護衛を新たに依頼としてもいいですし・・。」
この会議により冒険者ギルドでは『冒険者以外の薬草採取』と『薬草採取の護衛』
その二つの依頼は数年にかけて実施される事になる。
子供達も数年後には冒険者になり『冒険者以外の薬草採取』は無くなるのだった。
『薬草採取の護衛』依頼は初心者冒険者の依頼と言う事で人気があり
護衛依頼の練習として中堅冒険者も依頼を受けることあったと言う。
「それと同時に冒険者に弟子入りと言う感じで
冒険者ギルドで依頼をしてみると言うのはどうでしょう?」
「冒険者に弟子入りですか・・・難しいと思いますよ?
生活全般を冒険者らが負担する必要があるし無理じゃないですか?」
「んー、宿泊費はギルドで負担すれば大丈夫じゃない?」
「それなら初期費用として衣服や食費はギルドが負担で
宿泊に関してはギルドの空き部屋を利用すれば・・・いけるか?」
「冒険者ギルドで子供達に冒険者向けの講習をするのも手ですが?」
「薬草採取のやり方や武器の扱い方など初心者冒険者に必要な知識を教えてから
『薬草採取』をさせる方がいいと思うんですが?」
「ギルドで戦い方を教える冒険者向けに新たに依頼が発生しますし
何よりギルドの訓練場での講習なので優秀な子供なら冒険者らが声をかけるでしょ?」
「子供向けの対応はこれでいいとして・・・
家族ら向けに考えなきゃいけないけど・・・どうするかな。」
街の代表者の隣に座る女性が手を上げ意を決して
「街の東方・・・河を越えた向こう側の草原に新たに『開拓村』を作ってみてはどうでしょう?」
テーブルの上には街を中心とした地図が広げられる。
黒飛蝗の進行方向には被害があったと思われる街や村も記載されており
ジン達の『開拓村』や黒飛蝗襲来時に上位冒険者達が作った陣地も記されている。
地図上の黒飛蝗の進行で荒れた草原を指さしていたが
黒飛蝗の死骸を『火魔法』で燃やしており
大地の一部は焼け野原になっていたり
襲撃時に草原は戦闘で荒れ果てていた。
それでも来季は畑として活用するには条件的には最高の環境になっていた。
黒飛蝗の燃えカスや草原を燃やした事により土壌改良に
何より河が側にある事で生活用水は井戸を掘らずに済むと言う。
「『開拓村』を維持するには防壁や柵で囲む必要があるが?」
「それはギルドで依頼してみてはどうですか?」
上位冒険者らの陣地を指さしながら河を越え草原に印をし
「この場所を起点にして橋を掛けて草原の『開拓村』を形成する。
まずは橋を作り、次に作で囲い徐々に敷地を広げていく。」
「なるほど上位冒険者の陣地を活用してみれば住む場所は問題無いか・・・。」
「ギルドとしても長期間の依頼と思えばいいか。」
「住み込みで柵や防壁作りをするのもいいでしょうし。」
「川辺の『開拓村』に依頼してもいいと思いますが?」
「川辺の『開拓村』ですか・・・最近大量のポーションを納品していると言う?」
「そうです、夏頃から川辺で小屋建てをしていたんですが
気が付けば小さな村並の敷地になっていますね。
薬草採取や野菜作りなど最近はポーションを大量に納品してます。」
「川辺の『開拓村』はギルド管轄なんですか?」
「『青空旅団』というパーティーが管理してますね。
ギルドへの納品をお願いしてますのでギルド職員が数名常駐してますけど?」
「パーティー管理の『開拓村』ですか・・・。」
「初心者冒険者のパーティー二組が住み込みで生活しているはずです。」
「それでは三組のパーティーの『開拓村』と言う事ですか?」
「それ以外にもテイムした黒亀がいたはずですね。
黒亀が荷馬車を引き北の街から旅をして来たみたいです。」
「黒飛蝗襲来時にはポーションを大量に納品して頂いてます。
それと畑背収穫した野菜や大蜥蜴も納品して貰ったので
ギルドとしては大変助かっています。」
「大蜥蜴を倒せる実力ですか・・・上位冒険者が畑で野菜作りですか?」
「あ、いや、『青空旅団』のジンさんらはランクFですので上位冒険者じゃないですよ。
どちらかといえば採取冒険者ですよ・・・薬草採取やポーション作成の。」
「大蜥蜴を倒せる冒険者がランクF・・・何かちぐはぐな気がしますが?」
「『青空旅団』はギルドへは納品しているんですが
討伐依頼に関しては殆ど実績が無いと言いますか
大蜥蜴も討伐依頼としてではなくギルドが買い取ったので
ギルドランクは上がる事は無いと言いますか・・・。」
「それに大蜥蜴を持ち込んだのは常駐しているギルド職員でしたので
川辺の『開拓村』での品は適正価格で買い取りをしています。」
「それに報酬は露店で酒瓶や酒樽を購入したり
食材や調味料を大量に購入して戻って行くので
露店通りの亭主から言わせれば『お得意様』と言う話でした。」
「予想以上に酒樽を購入するので他の街への持ち込みかと思いましたが
川辺の『開拓村』では食堂で毎晩のように晩酌言う名の『飲み会』をしていると言う。」
「一度川辺の『開拓村』へ視察に行きたい気がしますが・・・。」
「視察は大丈夫だと思いますが川辺の『開拓村』が女性が多く滞在してますので
視察をする場合は女性多めでお願いします。」
「数日おきにギルドへ納品しているので事前に連絡してもらえれば大丈夫かと?」
「東方への新たな『開拓村』を作るにあたり視察は必要と・・・。」
「それではギルドでの冒険者向けの研修と講習と
新たな『開拓村』作りを今後の『アストランタ』の方針とします。」
『アストランタ』の代表者の挨拶で会議は終了した。
冒険者ギルドの代表者らは今後の方針を話し合い
川辺の『開拓村』への視察のお願いとギルドでの冒険者向けの研修と講習を取り決める。
この二日後に『開拓村』から来たリンダとリスターに視察の話を聞き
次のギルドへの納品後に一緒に『開拓村』へ赴き視察する事が決定する。
リンダとリスターは『開拓村』を視察しても大丈夫だと思い即決で決定したが
その後『開拓村』のジンやリーナに相談していなかった事に気が付くのだった。
南の街の手前の街『アストランタ』草原に囲まれた立地であり
街の東には林があり河が流れており釣りを楽しむ事も可能。
草原の奥には森があり動植物が豊富に生存している。
街道沿いには『アストランタ』があるが周辺には小さな農村が点在しており
冒険者達が各々で草原や森を開拓し『開拓村』を形成している。
『開拓村』へは定期的に商隊が赴き生活が成り立っているのだった。
冒険者ギルドは商人達に『開拓村』への支援をお願いしたり
新たな『開拓村』を現状を知り冒険者を派遣していた。
『開拓村』の維持は難しく五年以内は現状を維持できても
十年後には次第に衰退していく事が多くあった。
その為『開拓村』を作りにあたりギルドの協力が不可欠であり
定期的な商隊での買い付けが必要であった。
ギルドの長期依頼として『開拓村作り』があるほどだったが
柵や防壁を作り小屋建てをして生活をしていても
畑作りなどの農業に従事する事に慣れずに狩人として暮らす事になる。
数人なら狩人となり暮らす事は可能だが
村単位で狩人としての暮らしは周囲への生態系の破壊に繋がり
次第に暮らしが成り立たなくなり『開拓村』を放棄し
草原や森などには『廃村』になった場所が数多く点在していたが
野営時に活用したりして別の意味で役には立っていた。
『開拓村』を巡る商隊も『廃村』の位置も把握していた。




