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猫と旅する漂流者  作者: 與吉
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スローライフ緊急依頼。

『東部から天災来たる』


それは街にとっては数十年ぶりの天災だった。

前に鐘音が響いた時は魔物の氾濫時の事だった。

その時は数千数万の魔物が街を襲い長い時間をかけ討伐に成功した。

数え切れないほどの冒険者の犠牲と

無数の住民が犠牲になり魔物の氾濫は終局した。


人々は魔物の氾濫が再び発生したと思ったが

冒険者達は知ってる魔物の氾濫は『ダンジョン』が原因だと言う事を

そして、東部には『ダンジョン』が無いと言う事を・・・

「それでは今回の天災とはいったい・・。」

「魔物の氾濫じゃない天災か・・・。」

「魔物の氾濫以上の事が起きたのか・・?」


暫らく街の人々が冒険者が行商人が騒いでいたが

冒険者ギルドから1人の男性が冒険者ギルドの扉から出て


「これから緊急依頼がギルドから発表される。

掲示板にも書かれた通り天災が来る・・・それは魔物の氾濫じゃない。

それ以上に最悪が東部から間違いなく来る。


今回の天災と称される問題は『黒飛蝗の軍団』だ。


東部から大陸を移動し数を数万から数千まで数を減らしているとはいえ

それでも現状は最悪の一途を辿っています。


冒険者ギルドとしてはランクA~Bまでの上位ランカーは黒飛蝗討伐に

ランクC~Dの中位ランカーは街の周囲にある山村や農村に知らせに向かってもらう。

ランクE以下の下位ランカーは街の警戒と警護をお願いする。」


そして、掲示板にギルドマスターが言った内容に変更され

冒険者は各々ランクに合わせて相談しパーティーの代表がギルドへ入って行く。

緊急依頼は冒険者であれば断る事が出来ないものなのだが

それでも事の大きさに耐え切れずランクの低い冒険者達は街を離れる事になる・・・。

逃げた冒険者はギルドカードを返納する義務が発生し二度とギルドカードを作れなくなる。

それは冒険者としての死ぬと言う事・・・

冒険者の地位と名声を捨て逃げ出す者を止める者はいなかった。


冒険者ギルドでは各パーティーの代表が集まり30人ほどの冒険者が集まっている。

上位冒険者達は黒飛蝗の現在の状況を知りたい様だし

中位冒険者達は鐘音の意味を知り緊張した顔をしている。

下位冒険者は部屋の中にいる冒険者達に驚き緊張しまくっている。

そんな彼らの後ろにはギルド職員達も並んで待機している。

今回の近況依頼は冒険者とギルド職員との緊急依頼のようだ。


暫らくすると二階からギルドマスターがやってくる。

階段を降りながら部屋の中の冒険者達を見ながら『思ったより残っているな』と思い


「掲示板に書かれた通り『黒飛蝗の軍団』の討伐緊急依頼だ。

本来の黒飛蝗の軍団と違いが1つだけあります。

黒飛蝗の中には大飛蝗の姿は無かったと言う事です。

大型種の大飛蝗がいないのは僥倖ですが黒飛蝗が数千の群れが今回の討伐対象だ。」


ギルドマスターはそう言いテーブルの上に街周辺の地図を広げる。

地図には山村や農村の位置が記されており印が付けられてある。


「街の周辺には7つの山村と農村が点在しています。

中位冒険者パーティーのみなさんで各村を向かって今回の天災の説明をお願いします。

黒飛蝗は建物の中までは進入しない事は知っての通りです。

黒飛蝗が倒しきれずに村に向かう可能性もあるから村の護衛と避難をお願いする。」


中位冒険者達はコクリと頷いてから受付カウンターで緊急依頼を受諾していく。

村までの移動はギルドから数代の荷馬車の提供で二手に分かれて至急行われる手筈になっていた。


「下位冒険者は街を四方四門に分かれて警護をしてもらいます。

受付カウンターで待機する場所を確認後移動をお願いします。

各四門には滞在する部屋を用意しているので緊急依頼が終了するまで食事と宿泊費はギルド持ちだ。


緊急依頼の間の宿泊費などが無い事を知り下位冒険者のパーティーの代表は

少しだけ安堵し受付カウンターで自分らの担当している場所を聞きギルドを出て行く。


「さて、上位冒険者のパーティーには黒飛蝗の討伐をお願いします。

黒飛蝗は農地を食い荒らしながら移動をしている。

数日前に早馬で東方から黒い塊が移動していると報告があった

ギルドで調べてみると東方から大陸を縦断して西へ向かっている事が判明した。

数日後にはこの街にも被害が及ぶだろう・・・。

君達には街の東部の川辺に拠点を置き迎え撃つ。」


「街の防壁上から撃ち落とした方がいいんじゃないのか?」


冒険者の一人が防壁上からの攻撃を提案するが

ギルドマスターは首を振り話し始める。


「今回の黒飛蝗は通常のモノとは違うみたいです。

姿形は黒飛蝗と同じであっても飛行距離が桁違いだと話していた。

高く飛び長く飛行する黒い悪魔だと報告した者が行っていた。」


「方範囲魔法で撃ち落として息の根を止める・・・か。」

「もしくは広範囲攻撃で殲滅するしかないか。」

「早馬で荷馬車からの魔法攻撃が有効だと思うが?」

「逃げきれない時は喰い殺されるか・・・。」

「倒しきれなくても喰い殺されるがな・・。」


「魔力回復ポーションは準備してある。

ポーションの数だけ魔法を撃ち落としてもらいたい。

弓矢もギルドの倉庫から好きなだけ持って行ってくれ。」


ギルドマスターがそう言いテーブルの上にポーションや矢筒を並べて行く。

魔力回復や体力回復など各ポーションが大量にテーブルにのせられている。


「しかし、これ程の量を俺達が持っていって大丈夫なのか?」

「それなら大丈夫だ、最近ポーションの納品が多くてな。

ギルドとしては倉庫の肥やしになるよりは使ってやった方がいいだろう。」

「そうか、それならいいんだ。

それじゃ、俺達は東部の川辺に陣地を組むつもりだが食糧など買い足す必要があるな。」


食糧など必要な物資を冒険者達とギルド職員らが相談を始める。

地図を広げ陣地の場所を書き込みながら防衛ラインを確定していく。


「この街の南東の囲みは・・・?」

「あぁ、そこは新しい『開拓村』だ。

冒険者が小屋建てしてるんだが若手冒険者が何組か共同で暮らしてるな。」

「そうなのか?川辺の近くで危険な所に小屋建てしたもんだな?」

「大蜥蜴を倒せる冒険者だから許可したんだが

最近では野菜作りをしているし今回のポーションも『開拓村』の冒険者達が作成した物だ。」

「今回の緊急依頼の事は『開拓村』へは知らせたのか?」


「その事だが知らせた所で『開拓村』の冒険者たちはランクE以下の下位冒険者達だから

自分らの『開拓村』を護って貰おうと思っている。

数名のギルド職員も同行しているから大丈夫だとは思うがな。」


「それなら黒飛蝗討伐時に保護対象として考えなくても大丈夫だな。」

「『開拓村』の冒険者達も黒飛蝗討伐に参加する事はあるのか?」


「・・・襲われたら反撃をすると思うが

下位冒険者達なのでギルドから依頼する事はしない。

『開拓村』の代表と相談するつもりだが・・・戦力として期待はしてないぞ。

ポーション作成はお願いするつもりだから陣地へ直接持ち込めないかお願いするつもりだ。」


「その事についてギルドマスターにお話しがあります。」


上位冒険者達とギルドマスターの話を遮る様に受付嬢のリーナが話しだす。


「街の南東の『開拓村』ですが周辺から野犬や黒犬の姿が消えました。

川辺でも同様に大蜥蜴の姿も気配も無くなってます。

今はポーション作成をしていると思いますので陣地へ直接ポーションを持ち込む事は可能です。」


それを聞きリーナは地図に書かれた陣地の場所を確認していく。


「それと弓と矢を準備したので黒飛蝗が襲ってきても反撃する事は可能です。」


「黒飛蝗に弓矢で対抗するには攻撃力不足では無いか?」

「下位冒険者なら遠距離からの攻撃の方がいいのは分かるが・・・。」

「我々としては黒飛蝗に襲われる前に隠れていた方がいいんだが・・・。」


「無理はしません、『開拓村』には幼い子もいますし

ジンさんも無理な事はしないと思います。」

「それで何かジンさんに知らせる事はありますか?

『開拓村』に戻らなければいけないんですが・・・。」


「それなら黒飛蝗が東からやってくる事を教えてやってくれ。

もしもの時は『建物に篭る事』と『無理せずに攻撃をするな』とだけ伝えてくれ。

作成した『ポーションを直接陣地へ運んで欲しい』と言ってくれるか?」


「了解しました。」

「きちんと伝えます。」


ギルドマスターの伝言を『開拓村』のジンへ伝えるべく

リーナとリンダは急ぎ『開拓村』へ向け移動を始める。

移動しながらリーナとリンダはこれからの事を相談していた。


「それにしても黒飛蝗の襲来ですか・・・予想以上の事態ですね。」

「数千の黒飛蝗ですか・・・上位冒険者のパーティーで対処できればいいんですがね。」

「飛行した黒飛蝗に攻撃をするには遠距離魔法か強弓での一撃になるけど

数が多すぎるし魔力回復ポーションが足りなければ全滅する可能性もありますか。」

「黒飛蝗が過ぎ去るのを待つと言う選択肢もありますが

その後は食糧不足で争いが起きる可能性もあるか・・・。」

「犠牲無く対応できればいいんですがね。」


話の内容は深刻なのに街を出る前に追加で果実酒の大樽を2つ購入し

「飲まずにはいられないな。」とか「飲みながらの方がいい考えが出るか。」とか考えていた。


街も緊急時と言う事で露店の半分は店を閉め

食料品や保存食を扱う露店などは店を開けていた。

何故か酒を扱う店も同様に店を開けていたので

冒険者達は迷わず果実酒の大瓶や小樽を買い込んでいた。

露店亭主からも『頑張ってくれ』を声をかけられ『おぅ、任せとけ!』と拳を突き上げていた。









「黒飛蝗襲来まで数日の猶予があるが・・・果たしてどうなるものか・・・。」

「ダメな時は焚き火の部屋の地下室に避難するしかないか・・・。」

『開拓村』では午後から雨が上がり野菜の収穫をしていた。


「葉野菜は今日で収穫終了か。

明日からはジャガイモの収穫期かな?」


「それよりもカブとかダイコンが収穫できそうですよ。」

「冬期間前に収穫が終わればいいんですが・・・。」

「雪が降らないようだから気にしなくていいんじゃない?」

「そういえばそうでしたね。」

「干し野菜作りはどうします?」


「どうしようか・・・とりあえずリーナさんとリンダさんの話を聞いてから考えよう。」


「そう言えば緊急時でしたね。」

「いつも通りで忘れそうになりますね。」



街での緊急事案発生の慌ただしさも無く

『開拓村』は、ゆっくりとまったりと暮らしていた。


ソラ・シロ・クロだけは東方に目を向け

『何か来るね。』とか『反応は小さいけど数が多い?』とか『迎え撃つしかないか』と話し

『護りを固めるしかないかな。』

『全て撃ち落とせるかな?』

『林檎の木には近づけさせん!』

ジン達がのんびり構えているのにソラ達はやる気満々になっていた。

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