『開拓村』でのスローライフ。
『開拓村』に若手冒険者の第二陣が到着して半月が経過した頃
ジン達は冒険者と思われないほどのスローライフを満喫していた。
野菜を育て『新鮮サラダ』にして試食したり
食べきれない野菜は随時ギルドへ納品したり
川辺で釣りをし定期的に『焼き魚』を食したり
『開拓村』の敷地拡張時に襲ってきた大蜥蜴を倒し『串焼き』に調理したり
ジン達いを始め『開拓村』の住民と言う名の冒険者たちは住む場所と食べる事に満足していた。
やはりというか『開拓村』での食事は全員揃って食べる事が基本となっていて
焚き火の部屋を徐々に拡張して全員がイスに座り各々好きな料理を食べている。
ギルド職員のリンダ達3人の部屋や『草原の風』の4人の部屋は
焚き火の部屋とは行き来出来る様に通路を新たに作り
『開拓村』は全ての部屋を通路でつなぎ雨天時でも濡れずに移動を可能にしていた。
新人冒険者のルカ達の部屋は『草原の風』の隣に住居を作り
『開拓村』での生活を満喫していた。
『草原の風』の4人とは違う感じでギルド職員のリンダさんは教育を施していく。
『土魔法』を重点に置いた育て方からでは無く
最初に武器の適性を調べ自身を守れるほどの実力を教え込んだ。
新人冒険者の5人は『開拓村』に来る前は薬草採取をしていたらしく
『開拓村』の周囲にある薬草採取場所が気になっていた。
リンダ達は採取中に襲われても仲間を守れる様に戦う力を教えていく。
新人冒険者はリーダーの『ルカ』と『カミル』『ミミル』『ルルス』『ロシン』の5人組で
山村や農村の生まれで畑仕事をしていたので
『開拓村』の畑を見て知ってる野菜や知らない野菜を見つけ
野菜の事を仕事をしていたジンに話しかけたくて悩んでいるのを
チコとリコが見かけルカ達は畑の事でジンと意気投合して話し合っている事が多かった。
その為なのか最低限に身を守る術を身につけたルカ達4人は
相変わらずと言うか薬草採取に精を出していた。
朝錬で片手剣や片手槍の修練をしたり身体を動かし
午前中は薬草採取をし午後からは畑の世話をし
冒険者というより半分はジンの助手の様な仕事をしていた。
一緒に仕事をしながら拡張した『開拓村』の敷地を果樹園にしてはどうかと言う話になり
『開拓村』に新たに林檎や梨・葡萄などクロの好物の果実の木を植えていく。
果樹園の管理はルカ達4人とクロが担当していく
もっとも収穫に至るまで長い年月が必要なので気長に待つつもりでいた。
畑の世話をルカ達4人の手伝いもあり
ジンは『革細工』と『銀細工』でチコとリコに新しい小物を作り始める。
まずはシンプルな革製の腕輪を作りプレゼントをしたら
それを見ていた受付嬢のリーナも欲しそうな感じで見ていたので
リーナを始めリンダを始め『開拓村』の女性陣にプレゼントしていく。
作りとしては簡素でありながらシンプルな革の腕輪。
「やはり『革細工』スキルがLvUpしてる・・・。
作り続ければそれだけ上達と言う感じでLvUpするのか。」
「あのジン兄さんの革の腕輪は売り物じゃないんですか?」
「売り物として十分成り立つと思うけど・・・。」
「この革の腕輪までなら売っても問題無いかな。
本当に作りたい物は別にあるし・・・。」
「「?」」
「身を守れる小物を作るつもりだし。」
「小物で身を守る・・・魔道具の事ですか?」
「ジン兄さんは魔道具を作れるんですか??」
「魔道具と言うものは見た事無いけど・・・その魔道具と言うのは何なの?」
「魔法を纏いし装備品とか神秘を纏う品とか聞きましたけど・・・。」
「不思議な魔法道具だとも聞きましたけど・・・。」
「不思議な道具や装備品か・・・作りたい物とは少し違うな。」
ジンは『銀細工』スキルで1つの指輪を作り
『付加魔法』で『身体強化』スキルを指輪に付加する。
ジンが作れる銀細工では1つの魔法しかもLv1の魔初期魔法しか付加出来なかった。
それでも始めて完成した『銀の指輪』は綺麗に輝いていた。
「この『銀の指輪』は魔道具なのかな?」
ジンの手の中にある『銀の指輪』をチコとリコは見つめながら
『銀細工』で作られた指輪に何かの魔法を使ったのは理解したが
何の魔法なのかまではチコとリコにはわからなかった。
「この指輪には『身体強化』Lv1が付加してある。
試しにチコちゃん指輪に魔力を流してみな。」
「・・・うん。やってみる。」
指輪をはめたチコは指輪に魔力を流し・・・
『銀の指輪』が微かに光り輝いたのちチコに『身体強化』が身体に纏う。
「『身体強化』に似た感覚がする・・・。」
「ねね、お姉ちゃん・・・魔法を使ったのと同じなの?」
「少しだけ違うかな魔法を唱えたというより魔法を纏ったみたいな?
この指輪を使えば魔法を修得して無くても魔法を唱える事が可能に・・・?」
チコが『銀の指輪』を使った感想をリコに教えている。
確かにリコの言う通り修得していない魔法を唱える事は可能になろうが
それでは魔力不足に陥る可能性もあるし
ある程度というか魔力が無い者が使える代物じゃないみたいだな。
「いや、魔法を使えるのは魔力がある者・・・。
魔力が無い者は最初から魔法を纏う事は無理だが
魔法を修得する補助的な物として使うのは良いんじゃないかな?」
「魔法を擬似的に体験し修得の手助けをするっと?」
「それならルカさん達にお願いしてみては?」
「彼女達は魔法はまだ修得して無かったか・・・。」
「毎日の修練で魔力量が増えてますし魔法発動に問題は無いか・・・。」
「あのジン兄さん、出来れば指輪よりも腕輪の方がいいかと。」
「『銀の指輪』では誤解するかもしれないので・・・
『革の腕輪』の方がいいかと・・・。」
「誤解はわからないけど・・・腕輪が良いなら『革の腕輪』にするか・・・。」
チコに言われリコにお願いされジンは『革の腕輪』を作り魔法を付加する。
『身体強化』を付加した『革の腕輪』を4つと
「速度強化」を付加した『革の腕輪』も4つ作り
左右の腕に装備出来るように準備し
チコとリコは嬉しそうに『革の腕輪』を袋に入れ
嬉しそうにルカ達が働く果樹園へ駆けて行く。
ジンは再び『革細工』を用い『革の腕輪』と作り
装飾品としては簡易なシンプルな見た目の腕輪を作る。
時間がある時は細工作業をし『革細工』『銀細工』の修練をしていく。
2つの細工スキルがLvUpすると同時に付加する魔法も
『身体強化』をLv2で付加する事が出来る様になる。
もっとも『付加魔法』も同時にLvUpしていたので
どちらの魔法の影響でLv2の魔法を付加可能になったのかはわからなかったが・・・。
『開拓村』でのスローライフはジンの好きな事をし
気になった事をやった結果・・・冒険者ギルドにはない冒険者になっていた。
採取系冒険者から細工系冒険者に姿を変えていく。
この日からチコとリコも同じくジンの指導の元『革細工』と『銀細工』の修練を始める。
『付加魔法』に関しては不透明な所もあり教える事が出来ず
純粋に『細工師』として成長していくのだった。
ルカ達は魔法付加の『革の腕輪』により数日後には魔法を修得したのだが
『革の腕輪』で魔法を唱える事を覚えてからは
何故か『革の腕輪』無しで魔法を唱える事が出来ずにいた。
それでもいいとルカ達は思っていたのだが
ギルド職員のリンダ達には特定の条件下でしか魔法が使える事に不安視していた。
ルカ達は魔法を常時唱えるだけの魔力を手にしていたので
条件下でしか魔法を使えない事に不安は無く。
魔法を使う事が出来ると言う事だけで満足していたし
何より冒険者っぽくなった事への喜びだった。
東方の『黒飛蝗』は冒険者達との戦闘を経て
数万の軍勢は数千まで数を減らしていったのだが・・・
それでも天災と言われる状況に変わりなく。
ジンの住まう場所まで徐々に向かって来るのであった。
ソラだけは東方からの気配を感じていたが
何も言わず
何も語らず
今の状況を楽しんでいた。
それはジンなら何とかなると思っての事なのか
それは誰にもわからない事なのだが・・・。




