暮す場所を作ろう②。
「明日、小屋建てを始めます。」
ジンの話を聞いていた受付嬢は「少しお待ちください。」と告げ部屋の奥へ行き
地図と小冊子を手にし戻ってくる。
「まずは小屋建てする予定場所を教えてもらいたいのですが・・・。」
ジンは広げられた地図を指さすと受付嬢は何やらメモを取り始める。
そして、地図を見ながら街との距離を調べる。
「なるほどジンさんが言った薬草採取場所と川辺が近いと・・・
明日から小屋建てするという話ですが?
ギルド裏の簡易陣地?は・・・どうするんですか?」
「明日の朝には解体して買い出ししてから街を離れようと思います。」
「それでは暫くは街に来る事は無くなるとか?」
「いえいえ、ギルドへの買い取りとか納品をしに来ますけど?
それと今日も大蜥蜴を買い取りしてもらいたいんですけども・・・。」
「それでは解体スペースの部屋へ行きましょうか。」
受付嬢の案内でギルドの解体スペースの部屋へ向かう。
数名のギルド職員達が大猪や黒熊などの大型の獣を解体していた。
ジン達が解体スペースへ入ったところで忙しそうで目を向けただけで作業を再開している。
「大蜥蜴は3体取り出しても大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。
今日中の解体は難しいと思いますので明日の午後にでも報酬を取りにお越しください。」
そう言われ受付嬢から大蜥蜴3体を納めた証明書を受け取る。
「それでは『土魔法』の事について少しお話があります。」
「それは小屋建てに関係ある話ですか?」
「『土魔法』で小屋建てする冒険者は過去にいましたが
今現在では『土魔法』を習得する冒険者の数は減少傾向にあり
出来ればギルド職員もしくは若手冒険者に『土魔法』の修練と習得を兼ねて
ジンさん達の小屋建ての手伝いをさせてもらえないでしょうか?」
「若手冒険者と言う事は街の宿屋で冬期間宿泊不可の・・・・ですか?」
「冬期間中は依頼減少で必ずしも全ての冒険者が仕事が出来るというわけではないんです。
ギルドとしてはギルドランクに関係無く依頼を振り分けてはいるんですが
若手冒険者の依頼が少なく宿屋に宿泊出来ずに街を離れる冒険者がいるのも確かです。
それと一部の冒険者による窃盗や盗賊に身を落とす者もいます。」
「それで『土魔法』で小屋建てをして宿泊する場所をギルドで提供したいと?」
「せめて住む場所があれば宿屋の費用を他にまわせますし・・・。
なにより若手の冒険者と言いましたが女性の冒険者に宿屋で雑魚寝は抵抗があるらしく・・・。」
「冬期間中の若手の冒険者は宿屋で雑魚寝なんですか?」
「冬期間中の連泊と言う事もあり宿泊費を抑えると言う事で雑魚寝が基本ですね。
それと食事が1日1度という話ですが・・・寒いし狭いし冒険者達には不評なんですがね。」
「不評でも冬期間の野営よりはいいと言う事なんですか?」
「ジンさんも知っているように街の周辺では草原では野犬や黒犬の襲撃を考える必要があるし
川辺の周辺では大蜥蜴などに襲われる危険があります。
木造での小屋建てでは野犬や黒犬の襲撃は防げても大蜥蜴の襲撃に耐えれるわけもなく・・・。」
「そこで『土魔法』の小屋建てですか・・・?」
「小屋建ての周囲を『土魔法』で囲うだけでも安全を確保できると思うんですけども・・・。」
「なるほど、最悪『土壁』だけを修練し習得すれば安全を確保できる可能性があると?」
「そうです若手冒険者達を集めて冬期間中に『土魔法』の講習や訓練でもいいですし。」
「その辺はギルドで考えてください。
小屋建ての手伝いをしながら『土魔法』の修練をするのはいいですが
うちのパーティーには幼い子もいるので冒険者達が大勢来られても困るんですが?」
「最初は女性のギルド職員が派遣されると思います。
次に若手の女性冒険者パーティーが来ると思いますが・・・大丈夫ですかね?」
「大蜥蜴を倒せる実力があれば大丈夫ですけども・・・。」
「ギルド職員数人であれば大蜥蜴も問題なく駆逐できます。
最初は『土魔法』を教えつつ冒険者達を護衛する必要があると思います。
小屋建て予定地の安全面はどうなっているんですか?」
「一応、周囲を『土壁』で囲ってあるので安全ではありますが
『土壁』の外は危険な事には変わらないと思いますけども・・・。」
「それなら若手冒険者とともに中堅冒険者パーティーも派遣した方がいいかもしれませんね。」
「休む場所は提供できますが食事や宿泊するには色々大変だと思いますが?」
「最初は帆馬車を宿屋代わりにして寝泊りする予定です。
馬と御者は街へ戻りますが・・・帆馬車は改良すれば大丈夫でしょう。」
「そこまでギルドで考えているなら言う事はありませんが・・・。」
「ジンさん達が明日から小屋建てに向かうとして・・・
ギルド職員たちと若手冒険者達は3日後に街を発ちます。」
「それまでに僕らの小屋建てが完成している可能性がありますけども?」
「それなら完成した場所から新たに『土壁』で敷地を増やしていけばいい話です。
それに住む場所が増えれば若手冒険者達の住む場所も確保できるでしょ?」
「最後に今回の『土魔法』を教える報酬はどうするんですか?」
「それについてはギルドから多少の報酬はありますが
冬季間中の簡易陣地の周囲の警護をしようと思います。」
「警護は若手冒険者達がですか?」
「いえ、ギルド職員がです。
魔法の修練と共に戦い方の講習もするつもりですので
春には新人冒険者卒業出来ればと・・・。」
「ある意味ギルドの新人研修みたいですね。」
「そうですね。過保護すぎる気もしますが
新人の女性の冒険者を守りたいと思うギルドの考えだと思ってください。」
受付嬢はニコニコしながら話をしジンだけは「しょうがないか」と呟くのだった。
最後に食料は多めに用意する事と最低でも料理できる方が必要と教え
冒険者ギルドを後にするのだった。
ギルド裏の『青空旅団』の簡易陣地へ戻り先ほどの話をチコやリコに話し
食料と調味料を追加購入と秋冬に向けて厚手の衣服の購入してから南東の予定地へ向かう事になる。
この場での宿泊最後の日と言う事で焚き火を囲い『串焼き』を炙ったり
ソラやシロもチコやリコと仲良く『串焼き』や『焼き魚』を仲良く頬張り
ジンはクロを撫でながら「明日は荷台を運ぶけど宜しくね。」と話し
クロは『任せて~。』と話しながらリンゴを頬張るのだった。
大蜥蜴の報酬が良かったので冬期間中はのんびり暮らせるが
何もせずに春を迎えるのはもったいない気がして何をしようかと思い
新しくスキルを習得するかなぁと考えていた。
習得可能な魔法やスキル欄を見ながら『回復魔法』の上位魔法や『魔法障壁』の上位魔法があったり
面白そうな『付加魔法』や『雷魔法』に加え『結界魔法』など一般的ではない
殆どの攻撃魔法も習得可能だったりする。
スキルは両手剣や片手剣のスキルも習得可能だったが
今から武器を装備するのも面倒だなと思い無手で気軽な方がいいかと思い
攻撃スキルよりも『裁縫』や『細工』など裏方スキルを習得するのも面白いなと考え
革の上下を修復するスキルは習得しているので破損しても直せるが
新たに革で装備を作り上げることは不可なのでスキルLvを上げるのもいいかな?
果実酒を飲みながらジンの魔法やスキル構成をじっくり考える事がなかった。
過剰な魔法やスキルは目立ちすぎるしなぁ・・・。
今のランクEの冒険者らしく過剰な戦力は必要ないし
生活が快適になるスキルや魔法に限り習得するのは大丈夫だと考え
スキルポイントの消費と残量を考えスキルを構成していく。




