初面接と猫耳と。
ギルドの会議室には20人位の子供たちがイスに座っていた。
見習い冒険者という事で使い古された革の上下を身に纏い
少し緊張した彼ら彼女らはジンが部屋に入った瞬間
驚きつつも半数は落胆し・・・半数は緊張した表情をしていた。
ギルドの受付嬢に促されジンは挨拶を始める。
「初めまして冒険者のジンです。
こちらが仲間のソラ・シロ・クロです。
突然ではありますが僕達と旅をしてくれる仲間を募集します。」
それを聞いていた見習い冒険者達は一瞬『ざわざわ・・』していたが
受付嬢の「静かに。」という言葉でジンの声に耳を傾けた。
「旅の目的地は南の街『アリスリセ』馬車で数カ月の長旅です。
何か質問があれば説明しますが・・・?」
「あの仲間という事ですが・・・これは護衛依頼ですか?
僕らにはあなたを護る力は無いのですが?」
勝気な少年が緊張しながらジンに話しかける。
「護衛というか旅をしながら薬草採取をしてもらえればと思いますが・・・
ちなみに僕達は採取依頼はしますが討伐依頼はしません!」
「それでは採取作業をしてくれる仲間探し・・・冒険者を探していると?」
気弱な少女が手を上げて話しかけてきた。
「そうですね、一緒に採取してもらえれば嬉しいですね。
薬草の種類や採取の仕方などは一から教えますし大丈夫ですよ?」
「あのジンさんは薬草採取をしてもらう冒険者を探していると考えていいんでしょうか?」
「薬草採取や最終的にはポーション作成まで覚えてもらえれば嬉しいかな?
もちろん衣食住は僕が面倒をみますが・・・基本的に野営での自給自足になりますが・・。」
それを聞き数名の見習い冒険者が「ごめんなさい・・・」と口にし部屋を出ていく。
受付嬢は「やはり無理があったか・・・」と呟き
「数名残っていますが・・・どうしますか?」
確かに部屋の中には数名というか2人の子供が残っていた。
部屋から出ていった子供達とは少し違った感じがしたので
「あの子達も見習いの冒険者ですか?」
受付嬢は部屋の片隅でジンの話を「じーっ」と聞いていた・・・。
というよりソラとシロを「じーっ」と見つめていた。
「あの子達は見習いというか訳あってギルドで面倒を見ている子達です。」
確かに先程の子供たちと違い少しだけ雰囲気が違う
冒険者に憧れる感じじゃないし内気な感じがする。
それに何故か猫耳頭の上で「ぴこぴこ」動いているのが確認できた。
「彼女らは『猫耳族』です。
彼女達の両親が依頼中の事故で亡くなり
一時的にギルドで見習いの職員をしていたんですが・・・。」
「いいんですか、彼女達を雇っても?」
「それなら大丈夫です。
ギルドでの評判の良いですし、問題があるとしたら若すぎる?」
「どうでしょう・・・。
僕としてはソラやシロと仲良く出来れば問題無いです。」
「ソラとシロというのは子猫と子犬の事ですよね。
何で「じーっ」見つめているのかな?」
「さぁ・・・」
まずは話の続きをしなきゃと思い部屋の奥にいる彼女達に手招きする。
彼女達は嬉しそうにイスを持ち「トコトコ」と歩いてくる。
ジンの前に並んで座り「にこり」としソラとシロを見ながら
「可愛い・・・。」とか「きれい・・・。」とうっとりしながら見つめている。
どうやらソラやシロに見惚れて話し半分だった様だ。
それでも仲間になってくれれば嬉しいと思い
「まずは名前を教えてもらえるかな?」
ジンに話を振られ「ビクッ」として小声で
「・・・チコです。この子は妹のリコです。」
「・・・・・リコです。」
「チコちゃんとリコちゃんね。
ソラとシロが気になるみたいだから・・・。」
ジンがそう言うとソラとシロは『しょうがないなぁ』と思いながらも
「かわいい」とか「きれい」と嬉しい事を言われたのでニコニコしながら
チコちゃんとリコちゃんの膝に乗り甘えだした。
最初何があったのか分からない2人だったがソラが「にゃー」と鳴くと
チコちゃんが緊張しながらも撫でていく。
するとシロも「わん」と鳴きながらリコちゃんを見つめると
リコちゃんは「えへへ、かわいい」とニコニコしながら撫でていく。
「チコちゃんとリコちゃんは僕達と一緒に旅に行く事になるけど・・・大丈夫なの?」
チコちゃんは首を傾げつつもソラを撫でている手を止める事はしなかった。
「大丈夫とは?」
「この街を離れる事になるんだけど・・・?」
「私はリコと一緒なら問題ないです。
それにソラちゃんやシロちゃんと一緒にいられるなら大歓迎です!」
「お姉ちゃんソラちゃんも撫でたい・・・。」
「はいはい、こっちにおいで~。」
「うん♪」
チコちゃんとリコちゃんは膝を突き合わせソラとシロを同時に撫でていく。
ソラとシロは2人に撫でなれ気持ちよさそうにまったりしている。
それを見てクロも『撫でて~』とジンにお願いしてきたので
「どうしたクロも撫でてもらいたいのか?」と言い抱きしめながら撫でていく。
クロを撫でているジンを見ながらチコちゃんとリコちゃんは
「「クロちゃんも撫でていいですか?」」と聞いてきたので
「重いから少し待ってね。」とチコちゃんとリコちゃんの目の前まで行き
「座りながら撫でてね。2人には重いから抱っこは無理だよ。」と言い聞かせ
おそるおそる手を伸ばしクロを撫でていく。
「えへへへ、クロちゃんは綺麗な黒い甲羅なのね。」
「背中の木もかわいい・・・。」
クロは気持ち良さそうにしている。
チコちゃんとリコちゃんがソラ達をニコニコしながら撫で撫でしている。
受付嬢は「まぁ、こういう事もあるか・・。」と呟き
「それでは今回のジンさんの冒険者を雇うと言う件ですが
チコさんとリコさんの2人を雇うと言う事で宜しいでしょうか?」
「はい、彼女達とパーティーを組みたいと思います。
彼女達の冒険者に手続きと彼女達の装備一式を揃えて貰いたいんですが?」
「手続きの方は引き続き大丈夫ですが・・・
装備一式は何を揃えればいいんですか?」
「革の上下を2組と普段着と下着も5組ずつお願いしたいのですが・・・。」
「革の上下は冒険者用ですよね?サイズ的に大きすぎますが?」
「僕が手直ししますから大丈夫です。」
「なるほど・・・、普段着と下着ですが私が選んでいいんですか?」
「僕が選ぶのは少し違うと思いますのでお願いします。」
「了解しました。明日までに準備しますが支払はどうしますか?」
「それなら今すぐお願いしても良いですか?」
「そうですね、あの彼女達はあのままで大丈夫なんですか?」
「ギルドへの毛皮の納品後に戻るので大丈夫です。
彼女達は今日はどこに泊るんですか?」
「いつも通りギルドの部屋に泊ると思いますが・・・なぜです?」
「ソラ達と離れるかどうか・・・。
あのまま裏庭の簡易小屋に泊っても大丈夫なんですが・・・どうです?」
「あの子達が納得したら一緒に泊っても大丈夫だと思うんですが・・・。」
「わかりました、戻ったら相談してみます。」
その後、ギルドに白狼や大狼の毛皮を納品し受付嬢に買い物をお願いするのだった。
再び会議室に戻ったジンは部屋の中でチコ達がソラ達とニコニコしているのを見ながら
今日は連れて帰ろうと思い「今日からうちで寝泊まりするから荷物を持ってきて~。」と話すと
チコとリコは嬉しそうに会議室を飛び出し・・・暫らくするとカバンを抱えながら戻り
「「今日からお世話になります!」」と声を揃え挨拶をした。
ジンはニコニコしながらチコとリコの頭を撫でながら「おかえり!!」と言うと
ソラやシロにクロも『『『にゃー・わん・きゅー(((おかえり)))』』』と声を揃えるのだった。
「「えへへへ、ただいま~」」
チコとリコは照れながら挨拶をしソラとシロは嬉しそうに2人に抱きつくのだった。
猫耳族のチコとリコが仲間になった。




