魔力枯渇問題と攻撃魔法。
次の日のジン達は冒険者ギルド系列の食堂で子猫と一緒に食事をしていた。
ジンはパンと野菜と肉入りのスープを食べ
子猫には小皿にミルクを美味しそうに飲んでいた。
朝ご飯を食べながらジンは食堂の亭主に昼ご飯用の食事をお願いしていた。
「それじゃ、一応弁当を用意したんだが・・・これでいいのか?」
亭主はテーブルの上に更に盛られたサンドイッチとミルクの小瓶があった。
ジンはサンドイッチとミルクの小瓶をアイテムに保管し
「ありがとうございます、ミルクの小瓶は返却ですか?」
「返却すればミルク代を割り引くけど・・・どうする?」
「それでは晩ご飯の時に空き瓶をお渡ししますね」
「はいよ、猫を連れての冒険者は初めて見るが・・・大丈夫なのかい?」
「俺は冒険者になったばかりなので薬草採取をしようかと・・・」
「それがいい、無理をして討伐依頼をして怪我でもしたら大変だからな!」
「ええ、無理はしません・・・。それに子猫が一緒だと採取をしていても周囲を警戒してくれますし」
ジンはミルクに夢中の子猫を撫でながら話しかける。
子猫は撫でられたのが嬉しかったのか「にゃーにゃー」と答えてくれる。
「それにしても賢い猫だな・・・俺達の話を理解しているみたいだ・・・」
「うちの子猫は賢いんです♪」
ジンは子猫を抱きしめながら撫でまくる。
子猫は嬉しそうにジンの顔をぺろぺろと舐めてくる。
「それにすごく美人さんでしょ」
「確かに賢くて美人だな、猫なのが残念だ!」
ジンと亭主は「「あはははは」」と笑いながら子猫を褒めまくる。
子猫は2人の話を聞きながら嬉しそうに「にゃー」と答えていた。
ジンは子猫がミルクを飲み終えてから朝ご飯と昼の弁当分の金額を支払い
「それでは、御馳走様でした」
「あぁ、頑張っといで!」
「はい、行ってきます!」
「にゃー!」
ジンは子猫を頭に載せ冒険者ギルドへ向かうのだった。
その後、食堂では子猫を頭に載せた冒険者の話題に持ちきりになるのだった。
冒険者ギルドには冒険者の姿は無くギルド職員達が忙しそうに仕事をしていた。
ジンは冒険者ギルドの扉を開け「おはようございます」と挨拶をすると
「おはようございます、昨日は魔力枯渇っぽかったですが大丈夫でしたか?」
「ギルドに戻ったて報酬を貰った後の記憶が曖昧なんですが・・・」
「部屋まで付き添いましたが・・・ベットに寝る事は出来ましたか?」
「目を覚ますとベットの上でしたので何とか大丈夫だったみたいです・・・記憶に無いんですが」
「昨日のジンさんの症状は魔力枯渇と言われる症状です」
「魔力枯渇ですか・・・症状としては意識を失うと言う事ですか?」
「それもありますが・・・
心身共に弱っている状態なので採取中や討伐中などの依頼中には気を付けて下さい」
「気を付けると言う事ですが・・・魔法を使うなと言う事ですか?」
「魔法を唱えた時の魔力の消費量を考えて魔力枯渇ギリギリの感覚を覚える修練をするのが一番かと」
「安全な場所で魔法を使い身体で魔力量を感じるしかないか・・・」
「草原や森の中で魔力枯渇で倒れたら危ないですし
何より今の時期は草原には黒犬や野犬など闊歩している状態では・・・危険すぎます!」
「それでは極力魔法を使わずに危険な状態になった時に魔法を唱えた方がいいんですか?」
「危険な状態で魔法を使う??戦うと言う事ですか?」
「いえ、『速度強化』を唱え逃げます!」
「2~3体の野犬なら逃げ切る事が可能でしょうが
黒犬の集団に遭遇したら逃げ切れると思えないのですが・・・」
「それなら戦うしかないですが・・・俺は攻撃向きに魔法は修得してないんですが・・・」
「『火魔法』の『火矢』とか修得してないのかい?」
「はい、戦闘で使えそうなのは『速度強化』と『身体強化』のみですね・・・」
「それなら『無魔法』の『魔法弾』を修得する事をお勧めするよ」
「『魔法弾』ですか・・・どんな魔法なんですか?」
「簡単にいえば魔力の塊を放つ魔法かな?
魔力量に応じて威力も向上するし初心者向きの魔法だと思うよ」
「わかりました、依頼の合間にでも魔法の修得をしてみます」
「あぁ、無理はしないようにな!」
「それじゃ、俺たちは昨日に引き続き薬草採取に行きます!」
「それなら薬草を10本1束で結んでもらえるかな?」
「わかりました、結ぶの紐は何を使えば??」
「それならこの紐を使ってくれ」
そういうとギルド職員はテーブルの上に50cmに切られた紐の束を置き
その中からジンに10本の紐を手渡すのだった。
「とりあえず、紐を10本渡すからお願いするよ」
「わかりました、薬草の長さは不揃いでも大丈夫ですか?」
「昨日と同じ要領で採取したみたいで大丈夫だよ」
「了解です、1~2日で10束は無理なので気長に待っていて下さい」
ジンは紐を背負いのリュックに入れ背負い直してから
「それじゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい、無理は禁物だからね!」
「はい!」
「にゃー!」
ジンと子猫は声を揃え返事をしながら冒険者ギルドから草原へ向け移動を始めるのだった。
昨日の魔力枯渇の事もあり草原へは『速度強化』を唱えずに徒歩で移動するのだった。
一応はMAPを常時展開し赤マーカーが現れたら即座に逃げれる様にしていたのだが・・・
1時間程歩くと昨日の薬草採取場所へ到着しアイテムから紐とスコップを取り出し
ジンは薬草採取を始めるのだった・・・子猫はジンの頭の上で周囲をきょろきょろ警戒していたが
暫らくすると子猫はジンの頭の上で昼寝を始めるのだったが
ジンは薬草を採取しつつMAPを見ながら安全を確認し
昼前には薬草10本1束にした物が3束完成し
「これなら10束もすぐに採取可能かも!」と思いはじめていたが
普通これほど正確に薬草採取が可能と言う訳では無く
ジンは『無魔法』の『鑑定』と『魔法弾』を修得したのだった。
これでジンのスキルポイントは残り4つ・・・。
ジンの修得した魔法は『回復魔法』『生活魔法』『身体強化』『速度強化』『魔法弾』『鑑定』の6つの魔法を使用可能になった。
今の時点でジンのスキルポイントは残り4つ・・・。
逃げて薬草採取をしただけなのでLvUpもしてないし、今のジンは魔法を覚えたての素人状態・・・。




