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猫と旅する漂流者  作者: 與吉
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『土壁』で創った簡易小屋。

ジンは薬草採取場所に『土魔法』で簡易小屋を作り

焚き火でお湯を沸かし紅茶を飲みながら『野うさぎ』の串焼きを炙り

ソラは串焼きが炙り上がるのをジンの頭の上で「ジー」と見つめていた。


「今日は『野うさぎ』の串焼きだけど・・・ソラも串焼きで良かった?」

『焼串好き~』

「それとミルクもあるからね」

『いつもより豪華な気がする~』

「いつもは『野うさぎ』の串焼きは晩ご飯の時にか食べれないからね。」

『そう言えば・・・何でかな?』

「串焼きが酒に合うからかな?

『ローランド』さんが串焼き食べながら酒飲んでたでしょ」

『そういえば・・・ジンは酒飲まないの?』

「んー、寝る前に部屋に戻って魔力の修練したいし

何より酒に飲まれそうで・・・」

『酒に飲まれそうって・・・?』

「昔より酒に弱くなってる気がする・・・

すぐに酔いが回って頭が痛くなるの・・・」

『そうなの?』

「それよりもオーナーの料理が美味しいから飲まずに食べていた方が良いし」

『うん、いつも美味しい食事好き~』

「オーナーには大量に料理を作って貰ってるから・・・」

『ジンが料理するんじゃないの??』

「料理はするけどオーナーの作った『野うさぎ』のスープやステーキもあるし

もちろん串焼きもオーナーと一緒に大量に準備したし」

『おー、草原に何泊も出来るね~』

「もちろん、ソラのミルクも買い込んだし

果実や野菜だけじゃなくパンや干物も大量にアイテム内に保管してるよ。」

『そんなに買い込んでお金は大丈夫なの・・・?』

「ギルドにポーションを納品したから所持金はたっぷりあるよ」

『それならいいんだけど・・・

ジンは食べる事を一番に考えてるよね・・・』

「当然でしょ、食べる事が第一で次に大事なのは寝る事かな?」

『食う寝る・・次は??』

「んー、生きる?」

『生きるなの??』

「そだよ、薬草採取とポーションの納品で働いていく事が出来るし

『野うさぎ』を狩って解体し料理する事が出来たし

それに料理を修得した事で美味しい料理をソラと食べれる!」

『何気にジンの冒険者としてのスタイルは強くなるというより

生き残る事を優先した冒険者って感じだね~』

「まぁ、草原の真ん中で焚き火で串焼きを炙るのはどうかと思うが・・・」

『それが大丈夫、簡易小屋の周囲に『野うさぎ』の反応ないから~』

「MAPを見ながら周囲を警戒しているけど・・・

串焼きの匂いにつられて『野犬』でも来たら嫌だな・・・」

『その時はぶっ飛ばします!』

「ソラがかい??」

『イヤ、ジンが全力で!!』

「了解~」


ジンは頭の上のソラを撫でながら『腹減ったな~』と思うのだった。

その後、串焼きを頬張りながら簡易小屋で昼寝をしながら

午後も薬草採取をしこの場で一泊する事を決めるのだった。


野営するにはパーティーを組み交代で見張りをしながら

夜の『野犬』や『黒犬』の襲撃に備えるのだが・・・

ジンは夜は寝たいと考えていたので・・・

簡易小屋を『野犬』や『黒犬』の襲撃に耐えれる様に壁を厚くしたり

窓やドアを極力小さく作り出入りを制限したりした。

それに住みやすさも重視し道具屋から布団一式を購入したり

トイレとお風呂を追加で作り宿屋と同等の暮らしが出来る様にした。

この贅沢簡易小屋は宿屋の裏庭で『シオン』さんや『アロズ』さんに披露した時には


「野営するだけなのにお風呂はいらないんじゃ・・・」

「それよりも一人で野営する冒険者はいない・・・」

「何で野営するのに布団で寝るの・・・?」

「『野犬』や『黒犬』対策で壁の厚さを1mにするって・・・防壁じゃないんだからさ・・・」

「うちの宿屋よりも防御力高いんじゃ・・・」


宿屋のオーナーや『シオン』さん『アロズ』さんの3人から

やりすぎとも取れる意見を聞きジンは『完璧だな・・・』と呟き

ソラはジンの簡易小屋を見ながら『この家で暮らしてもいいんじゃない?』と思うのだった。


「それで簡易小屋はこのまま建てておくのかい?」


ジンが裏庭で作りだした簡易小屋を見つめオーナーが話しかけてきたので

ジンは少しだけ考え首を横に振りながら


「この簡易小屋は『土壁』の修練用に創った物なので

何度も作り直しをして短時間で創れる様にならないと・・・

それに簡易小屋をそのままにすると邪魔なんじゃないですか?」

「その小屋なら冬期間に格安で冒険者に貸し出せると思ってな・・・」

「あぁー、確かにお風呂とトイレがあり寝る部屋もある・・・」

「無いのは調理場だけか・・・、確かに初心者冒険者なら借りたいと思うかもな・・・」


オーナーと『シオン』さん『アロズ』さん3人の会話を聞きながら

冬期間の冒険者の暮らしが気になり話を聞く事にする。


「あの冬期間の冒険者はどんな感じなんですか?

3人の話を聞く限り大変そうな気がするんですが・・・」

「この街でも冬期間はギルドの依頼は半分以下になる

薬草採取は無理だし討伐依頼も緊急性のない者以外は皆無になる。」

「商隊の護衛依頼があればいいが・・・

それ以外ではポーションの納品などしかないかな・・・」

「それじゃ、冬期間は仕事無しという事ですか?」

「そうなるな・・・、だから冬期間中は南の街へ仕事を探しに行く事もあるし

それ以外では冬期間中は大部屋に雑魚寝で過ごす冒険者もいるはずだ・・・。」

「大部屋で雑魚寝・・・隣町へ仕事探し・・・」

「ジンはポーション作成が出来るから仕事が無くなる訳じゃないだろ?」

「冬期間に備えてジンは薬草採取をし薬草の確保をした方が良いかもな」

「あの冬期間まで・・・後どれくらいの時間があるんですか??」

「3カ月後には寒くなるから薬草を保管した方が良いな

もしくは、薬草を乾燥させて保存する事をお勧めするよ。

「乾燥薬草ですか・・・」

「天日干しをすれば長期保存も可能だしな」

「乾燥薬草の方がポーション作成時の成功率が高いとも聞いたことあるし」

「野営後には乾燥薬草を作りましょ~」

「まずはジンさんは野営を無事成功させて帰ってきて下さいね」

「もちろんです!」


その2日後には野営をする為に草原へ向かっていた。


そして、草原には宿屋で見せた簡易小屋よりも堅甲な創りの小屋が建つのだった。

その小屋は魔物の襲撃も耐え街の防壁以上に防御力に優れていた事をジンは知らない・・・。

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