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死神さんの日常

作者: ないとめあ

はじめまして私は死神です。


死神として生を受け早三年、私はお師匠様の

厳しい修行を乗り越え人間界にやってきました。


私の姿は人間には見えないみたいですが、そういう類いの者に敏感な方は私の気配は感じられるようで突然こちらに振り向かれたり、その場に立ち尽くして動けなくなる者もいました。


それから七日間の間、人間観察をしてわかったことがあります。病気や事故などで死に際が近い人にはどうやら私を感知することが出来るようです。そして私自身も人間の死が近い者は感覚でわかるようになりました。死神の名は伊達じゃありませんね。


八日目の朝、死の匂いを感じて私は民家に侵入しました。死神なので罪にも問われませんし、物体を通り抜けることも可能なので問題はありません。


民家の中には一人の少女が腕から大量の血を流して倒れています。すぐ側には鋭い刃に血が滲んだカッターナイフが転がっています。微かに意識はあるようで消えるような声で私に話かけてきました。「私を…殺して」と。少女は最後にそれを言い残し意識を失いました。


このまま放っておくと持って20~30分というところでしょうか。この少女の家族も日曜日ということで、寝入ってしまっていて誰も気付いていません。死神とはこのようなイレギュラーな死を迎える際に本来人間が持っている生命力を刈り取るため、神様が作り出した存在です。


七日間の間沢山の死ぬ間際の人間と立ち会いましたが、性別、年齢層問わずに人自ら死を選ぶのは珍しくありませんでした。私はいつもなら深入りせずに見過ごしていましたが、私(死神)に向かって「殺して」と頼んできたのは貴女が初めてでした。お願いされると、ふふ…逆の行動を取りたくなりますよね?


私は寝ている少女の母親と父親の意識奥深くに入り少女の部屋を見に行くように語りかけました。すると、少女の母親と父親はふらふらと少女の部屋に向かって行きます。父親がまず少女の部屋の扉を開けると後ろから母親も入ってきます。少女の惨状を目撃した両者は意識を覚醒させ少女の元へ一目散に駆けつけていきました。


ふふ。貴女はしっかり愛されているじゃないですか。私が両親の意識体に入りこんだ際に少女に対しての暖かい気持ちが流れこんできました。少女に何があったのか今になってはわかりませんが、あの両親なら彼女はもう大丈夫でしょう。


死神さんは今日も人の死に際に立ち会い、行き場を失った人本来の命力を刈り取っています。今一度、身の回りや自分の体の異変には注意しましょう。あなたのすぐ後ろに……死神さんが居るかもしれません。





さて、次の標的は…誰ですかね?


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