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エリーとの出会いは、ダニエルにとって衝撃的なものでありそれからの生活は充実したものになっていった。

毎日のようにエリーに会っては、たわむれて遊んでいた。

そう!!とてもいい遊び相手ができたのだ。

 エリーは自分の棲み処に案内し仲間たちを紹介してくれたが、念話ができたのはエリーだけでほかの子たちとは意思の疎通ができないようだ。

 しかしダニエルは他の子たちにも愛情を注ぎ可愛がっている。この肌のなめらかさだとか、冷たいなかに隠されたぬくもりだとか、意外となついてくれるところだとか、なんともいえない魅力がある。もちろんエリーが一番大好きだけれども。


「あれ~~~こんなところにいたんだ。

エリー、気づかなくてごめんね。」


「...。」


どうしたの?何かあったの~嫌なことあった?

もしかしてお友達にいじめられたとか?


「・・・・・・」


きこえてるのかな?

だ・い・じょ・う・ぶ~~?


「・・・・うん。あ、いや。

なんだろう・・・・・

さいきん、声がきこえにくい。なんていうか、なんていってるのかわかんなくなってきた。」


え!どうゆうこと?僕の声がきこえにくいってこと?


「聞こえてるんだけど、りかいできない、みたいな?」


 そうか~、そっか。もしかして君が前にゆってた、時間ぎれってことかな?

エリーには果たすべきことがあって、そのために生まれてきた。みたいなはなし?

じゃあ、エリーは役割がおわったら・?どうなっちゃうの?

もう逢えなくなっちゃうのかな、もうお話できなくなっちゃう?

....それともまさか死んじゃうなんてことないよね!!


「それはたぶん、だいじょうぶ。しなない。」

「でもねんわでおはなしできなくなる。たぶん。」


生きていてくれるなら良かった!っておもえないよ。

僕は今までエリーに支えてもらってたんだよ。ずっと寂しかったけど、エリーがいてくれたから元気になれたんだ。

 それが急にお話できなくなっちゃうなんて、悲しすぎるよ!!もっとずっとお話してたいよ。

 

 「私もダニエルだいすき。・・ときがきた・・・のかな?」


 エリーは小さな胴体をダニエルの細くて青白い腕に巻きつけて這わせ、力いっぱい抱きしめているようにみえる。エリーは自分の想いをダニエルに伝えるために精一杯の表現をしている。震えるほど力を入れてまきついている、そんな姿をみてダニエルは自分の心のタガが外れそうになる。

 ごめんね、エリー。僕なんかのためにこんな思いをさせてしまって。僕と出会ったせいで、こんなに悲しい思いをさせてしまったんだね。

それに、もっと大切にしてあげれば良かったよね。ずっと一緒にいて、そばにいて隣で寝たりして。

だいすき、だいすき、だいすき。


 ぼくは気持ちを抑えられなくて、エリーをギュッと抱きしめようとした。

けれどそれは叶わなかった。

一瞬のことだった。

ひまわりの花の香りがした。みずみずしく、あたたかい、生命力にあふれた大きなひまわり。

その香りとともにエリーは姿を消した。


腕の中にいたはずのエリーが瞬く間にいなくなってしまった。

ダニエルは驚きすぎて心臓が止まりそうになった。ただその場で自分の手のひらを顔に近づけ眺めては、さっきまであったはずのまだある腕のぬくもりを確かめている。

そうしてしばらく身体が固まって、思考停止していた。

だが、あの香りが鼻からはいってくると、自分の中にエリーが戻ってきたような気分になる。

エリーの残した香りを逃がしたくなくて、精一杯吸い込んだ。







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