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第六十四話

「お呼びでございますか?マリアさま」


「えぇ…ゲンナイ君の事を話しておこうと思ってね?」


「さようでこざいますか……ならば、チンも呼んだ方が良いのでは?」


「そうかもしれないわね……ゲンナイ君?チンも呼ぶけど、かまわないかしら?」


「えぇ、大丈夫です」


「そう……ならセバス?チンも呼んできてちょうだい」


「かしこまりました……」


そう言うと、セバスさんは部屋を出て行った。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「さて…セバスがチンを連れて来たことだし、わたくしから説明するわね?」


「お願いします」


「それじゃあまず始めに……これは秘密よ?誰にも話してはいけないわ。いいかしら?」


「かしこまりました……」


「わかりました」


「わかり…ました」


上から、セバスさん、アンナさん、チンさんの順である。

チンさんは、少し戸惑っているようである。


「次に、今から話すことは事実よ。信じられなくても信じなさい?」


「かしこまりました……」


「わかりました……」


「わかり…ました……」


「じゃあまず始めに……ゲンナイ君はこの世界の人ではないわ。異世界人よ……」


「「「…………」」」


三人が沈黙する。


「驚くのも当たり前だけど、受け入れて。彼は異世界人なの……」


「「「………………」」」


沈黙が続く。


「異世界人…というのはつまり、こことは違う世界があり、彼はそこから来たという事ですか?」


最初に沈黙をやぶったのは、セバスさんだった。


「えぇ、そうよ。……わたくしも最初は信じられなかったわ。でも、彼のランクカードには、しっかりと異世界人と書いてあるのよ……」


「「「………………」」」


再び沈黙があたりを支配する。


「それは……見せてもらうことはできるのですか?」


今度沈黙をやぶったのは、意外なことにチンさんだった。


「ゲンナイ君、いいかしら?」


「えぇ……かまいませんよ?俺としては、説明するよりは早いと思いますし?」


「ありがとう。……それじゃあカードを出して、可能性を見せてあげてくれるかしら?」


「わかりました。どうぞ……」


俺は、ランクカードを取り出し、可能性まで表示させる。




ゲンナイ・カノ

15

Sランク


所持可能性

「異世界人との会話」

「エリカとの絆」

「世界についての知識①」

「魔法の担い手」

「マリアとの絆」




俺がランクカードを見せると、再び沈黙が訪れる。


「確かに……異世界人と書いてありますな。しかし、初めて聞きましたものばかりですな……この「エリカとの絆」のエリカとは、エリカさまの事ですかな?すると……こちらの「マリアとの絆」とは、マリアさまの事?」


「そうみたいです……実は俺自身、よくわかってないんですけどね……」


「さようでございますか……」


「これでわかったかしら?ゲンナイ君がうかつに自分のことを話せないわけが……」


「確かに。これは秘密にしなければなりませんな……」


セバスさんがうなずく。


「珍しいものを見せていただきました。ありがとうございます」


少しはずれたことをチンさんが言う。


「ゲンナイさま、すみませでした……。これは確かに、私ごときが気軽に聞いて良い内容ではありませんでした……申し訳ありません」


アンナさんは、俺に対して深く頭を下げる。


「いいですよ、別に。マリアさんの使用人なら信じられますし、なによりさっきは、俺自身も大人気なかったです」


「そう言っていただけますか……ありがとうございます」


「いいえこちらこそ、信じてくれてありがとうございます」


俺とアンナさんは互いに頭を下げ合う。


「さて!これで話は終わりよ。全員下がってかまわないわ」


マリアさんが三人に下がるように指示を出す。


「「「かしこまりました……」」」


三人は三人とも、頭を下げてから部屋を出て行った。

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