第三十八話
最近では一番短いです。
どうやら体調を崩してしまったらしい…
「ヤッ!タッ!ハッ!」
俺は攻撃してもいいと言われたので、全力でエリカを攻める。
先ほどの一戦で、エリカの戦い方はだいたいわかったので、今度は俺の戦い方を見せてやる!
「ヤッ!ハッ!タッ!セイッ!」
右、左、裏拳、ストレート。
俺は攻撃の手をゆるめずに、エリカを後退させていく。
「ヤッ!ハッ!タァァ!」
ジャブ、ジャブ、ストレートの要領で、エリカに大きい一撃をくわえる。
しかし、
「フフッ、ちゃんと戦えるじゃないっ。…女性とは戦えない性格だったんじゃないの?」
そう言って軽口をたたくエリカに、俺が放った大きい一撃は、簡単に防がれ、逆につかまれてしまう。
「今度はこっちの番よっ!」
そう言ってエリカは、つかんでいる俺の右手を引くことで、俺のバランスを崩し顔面をねらい攻撃をしかけてくる。
「クソッ、やられるかよっ!」
俺は、エリカが俺のことを引っ張った力を利用し、エリカの背後へと前転の要領で回り込む。
「シッ!はぁぁ!」
俺はエリカが振り向く前に、エリカの背中へと掌打をくりだす。
「キャッ、危ないわねっ!」
すんでのところで、エリカが前に跳んで回避する。
そしてちょうど、互いに初期位置を入れ替えたかたちで向かい合う。
「なにが「女性とは戦えない性格」よっ!背後から攻撃するなんて、やる気満々じゃないっ!」
「そりゃあ「ゲンごとき」なんて言われれば、本気を出さざるをえないだろうよ…俺にだって、男のプライドがあるからな…」
「ゲンも男の子なのよね。…いっちょまえにプライドなんかあるんだから」
「そりゃあるさ、男の子だからな。…しかし、今のを避けられるとは思わなかったよ…エリカも、さっきは本気じゃなかったのか…」
「そのとおりよっ!さて、続けましょうか?」
「いや、今のを避けられるんじゃ…俺は勝てる気がしないよ。攻撃が当たらないんじゃ、負けは無くても勝ちもないからさ…」
「そう?…まぁ私も、負ける気はしないけど…勝てる気もあまりしないのも確かね…」
「んじゃ、組み手はここまで…ってことでいいか?」
「そうね…かまわないわ。少し汗をかいたし、お風呂に入りたいから…」
「この家、風呂なんてあるのか!?あるなら俺も入りたいんだが…」
「良いわよ、少し待っててちょうだい?お風呂をわかさないといけないし、私が入った後でかまわないでしょ?」
「わかった。それでかまわない」
「なら手伝ってくれる?お風呂の準備」
「了解した」
「じゃあ、ついてきて。まずは水をはるところからよ」
そう言ってエリカは家の中へと入っていく。
「わかった」
俺も、エリカに続いて家に入った。




