第二十話
第二十話です。よろしくお願いします
「運ぶのを手伝ってくれる?」
準備ができたらしく、エリカから声がかかる。
「もちろん。この容器をテーブルに並べればいいのかな?」
「そうよ。鍋ごと持って行って、テーブルで取り分けるの」
「わかった」
俺は、エリカが鍋を置けるようにテーブルの中央をあけて、両端に食器を並べる。
「今日はスーピットっていう魔物のスープよ…。おいしいんだから」
「それは楽しみだな。はやくよそってくれよ」
「そんなに急かさないでよ、今持って行くわ」
そういってエリカが鍋を持ってくる。
「パンを出してくれるかしら?あっちの棚に置いてあるから」
「わかった」
俺は、エリカが目で指し示した棚から丸パンを2つ取り出す。
「これでいいんだよな?」
「えぇ、それであっているわ…。こっちの準備もできたから、座って食べましょう」
「了解」
俺はエリカに丸パンを1つ手渡し、自分も席に座る。
「今日の糧を与え「いただきます。」って!!神への祈りを捧げないの!?」
「こっちではそうなのか…、俺の世界っていうか国では、「いただきます」って言うだけなんだよ」
「そうなの?私達は神様にお祈りするのよ…「今日の糧を与えてくれし事に感謝を。」っていってね」
「そうなのか…」
「そっちの「いただきます」ってどういう意味なの?」
「これか?これは「食事を作った人や、材料を作った人、それに食材となった命に感謝を込めて」って感じだな」
「なるほど。私達のお祈りと同じ様な意味なのね」
「そうだな…。うーん、これからはそっちに合わせた方がいいのだろうか?」
「そうねぇ…人族は多種多様な文化を持ってるから、自分の故郷の風習だと言えば、大丈夫だと思うわ…」
「そうか…。ならあらためまして、いただきます」
「私も。今日の糧を与えてくれし事に感謝を」
俺は、エリカが祈りの言葉を言うのを待ってから、スープに口を付ける。
「うまいっ!」
俺は、一口食べた瞬間に叫んでしまう。
「味が濃厚なのにしつこくない…。これは何で出汁をとったんだ?」
「このスープに入れてあるのは、スーピットだけよ…。スーピットのスープには、それ以外の物を入れないのが一番なのよ」
「そうなのか…。こんなうまいスープが、一つの食材だけでできているなんて…さすが異世界だぜ」
「そんなにおいしい?」
「あぁ!今まで食べた中で一番だぜ!」
「そう、ならよかったわ」
「ありがとな。こんなうまい物を食わせてくれて」
「どういたしまして。まぁ、今日はたまたまだけどね…。スーピットは捕まえるのが大変だから」
「そうなのか?なら、ラッキーだったぜ…」
「そうね。運が良かった「おかわりっ!」ってもう食べ終わったの!?はやすぎでしょ」
「そうか?これでも味わって食べたのだが…」
「まぁ良いわ。よそうから、器を貸して」
「あぁ…ありがとう」
「どういたしまして…。パンはどう?そのままでもいいけど、スープにつけて食べるともっといいわよ」
「そうか、ならつけて食べてみるぜ。………うまいっ!」
「よかった」
「エリカもどんどん食べろよ。俺が全部食っちまうぜ?」
「そうね…。って私が作ったんだから、立場が逆でしょっ!」
「はははっ。そうだな」
「まったく…」
俺は、エリカと会話しながら食事を楽しんだ。
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