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遠い世界で  作者: G・Y
8/23

不本意

今週中に、更新することができました。


物語は一向に進みませんが、トンデモ設定だけでキャラクターが動けなくなりそうで・・・


もう少し、このような感じが続きます。

8:不本意




泉を前に、一人立ち尽くす。辺りはいつの間にかすっかり暗くなっていた。


「今のは、なんだったんだ?」


『精霊』に問う。


《『魂の記憶』です。かなり、珍しい現象だと思いますよ》


また知らない言葉・・・『祝福』を受けたことである程度の事は理解できたのではないのか?


「よくわからん・・・つまり何なんだ?」


《『精霊』が持っている記憶を元に、『擬似的』に『生存していた生物』を作り上げた現象です。》


『祝福』を与えた『精霊』は眷属を、その生物に『憑か』せるという。

『憑いた精霊』は、生物と『共感』し『成長』する。

『生物』が死を迎えたとき、『憑いた精霊』は『基となる精霊』と『同一化』する。


そして、『精霊』は多くの記憶と経験を引継ぎ・・・存在し続ける・・・


「『精霊』とやらは、死んだ人間を作り出せるのか・・・」


《幻のようなものですよ。それに、あなたの『力』の影響が強かったのですよ。『普通の精霊』は『過去の記憶』を強く引き出せないのです。》


《『精霊の記憶』があなたに『何か』を伝えたかったようですね。それに『精霊』達が力を貸したのでしょう。》


記憶が意思を持ったとでも・・・本当に何でもありだ。


それにしても先人・・・という奴なのか、おそらく同じ世界から来た人たちの『記憶』とやらなのだろう。

見ただけで『日本人』と、判断されたのは・・・アジア系を細かく判別出来るような経験でもあったのだろうか?


真実は、分からない。知るすべも無い。


それでも、『コチラ』で『アチラ』の『コトバ』が聞けた事で、随分楽になった気がする。


しかも、あの言葉を真に受けるなら『この世界』は『元の世界』と、それほど違わないらしい。

折角見つけた住人が幻で、また一から人を探さないといけない現実も多少は楽になったと思いたい。


それに、腕の怪我も何故か治っている。完全な幻というわけでもないらしい。

右腕に巻きつけてあったYシャツも何処をみても見当たらなかった。


「『贈り物』で『何でもアリ』ってのを警戒するいい教訓だったな。」


これも、ある意味収穫だった。出会う相手すべてを疑うのは何だが、少なくとも馬鹿みたいにすべてを信じるよりはマシだろう。


彼らが、どれほど前の『記憶』かは分からない。時が経てば、生き物の形態も生活様式も変わるだろう。

単純に信じてしまうことも出来ないが、人が住んでいそうなことが分かっただけでもよしとしよう。


どういう理屈なのかは分からないが『世界』は近しい『世界』から、俺を招いたようだ。



辺りを見回すと、いつの間にか森から出ていた。傍に、『ハウンド』の死体はない。

全く別の場所のようだが、日も落ちてしまった為確認することもままならない。


今更だが、魔物の類に襲われ無くてよかったと気づく。



大きく息を吸い込み、そして色々な思いを乗せて吐き出す。

時間がどの位経っているのか、感覚だけでは分からないが・・・長く感じることだけは間違いない。



いつの間にか随分張っていた肩をまわしながら、ふと空を見上げたとき、思わず息を呑む。


「これはこれは・・・見事なもんだ。」


そこには、見たことも無い満天の星空が広がっていた。

残念ながら『月』にあたる天体は見あたらない。が、一つ一つの星が、かなり大きい。


「綺麗なもんだ・・・」


ポツリと漏らした言葉は誰に聞こえるわけでもなく、夜空に解けていく。


《今日は『星の精霊』が、随分多いですね。》


訂正、傍に聞いている『存在』がいた。

返答の意味が分からず、『精霊』に目を向ける。


《空にいるのは『闇の精霊』と『星の精霊』です。貴方の『知識』からすればおかしいのでしょうけど。》


こいつ・・・俺の『知識』を『知っている』のか?


目も前の『存在』が、なんなのか分からなくなる。『理解』出来ない事は『恐怖』へつながる。


《私が貴方に憑いた時、貴方の『知識』を『頂き』ました。》


事後承諾の上に、全く悪びれず告げられた。


《今更ですが、私は貴方が『この世界』で生きていくための『相棒』なのですよ。》

《貴方の疑問に、答える為にも、貴方の『知識』を得ることは『不可欠』ですから》


本当に今更だ。『相棒』とやらが聞いてあきれる。


「それなら、お前は俺の考えがわかるってわけだ。」


嫌悪感もあらわに告げた言葉に、『精霊』は答える。


《いいえ、『憑いた時』に得られたのは、知識のみですから。感情や思考までは分かりません。》


不便なことこの上ない。今更、『俺の記憶を見るな』と拒否が出来ないのだ。

全ての疑問に、自動で何でも答えてくれてもいいだろうに。



・・・あまりの恐怖と、理不尽さに全てがどうでもよくなる。『この世界』の全ては俺の敵か?

もう、何もかもがどうでもいい・・・こんなところには、居られないし居たくない。


それでも、自殺できるほどの度胸が湧いてこない・・・おそらく、俺はもう気が触れている。

周りが全て信じられないのだ。『死』という選択を取ってもおかしくない筈だ。


・・・それでも・・・



「俺は、『元の世界』に帰りたいんだよ。」


俺は、傍に漂っていた奇妙な人型の『精霊』とやらを見つめる。

夜の中でも、まるで波紋のように歪んで見える存在に変化があるようには見えなかった。


《もちろん、貴方を『帰す』事が私の存在する意味につながります。》


「・・・」


《・・・》


微妙な沈黙。相手が何を考えているのか分からないが、


「結局、どんな『存在』だったとしても、俺はお前に頼るしかないわけだ。」


そう、呟くと星空を見上げる。


《『不本意』でしょうけど、私は貴方を『裏切る』事はありません。》


『精霊』というのは、随分と冗談が下手な存在らしい。



「それじゃ、歩きながら・・・もっと詳しく話せよ。『帰る』為に『生き残る』必要があるんだからな。」


そう言いつつ、歩き出す。

幾ら星が明るくとも、昼間のように遠くの景色がみえるわけではない。


何処へ、向かっているのか全く分からない・・・

それでも、こんな綺麗な星の下なら・・・当ても無く歩くのも悪くないと思えたから・・・



今回から、あとがきもつけることにします。


色々なことが起こりすぎるて、脳の許容量を超えると・・・という感じでした。

自暴自棄&大暴れも考えましたが、物語が終わってしまいそうでした。


でも、そういうのもありですかね。

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