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遠い世界で  作者: G・Y
3/23

精霊

連続投稿 その2です。


説明ばかりでお話は進みません。

まだ、当分進みません。

3:精霊


目を覚ますと、目の前に『何か』がいた。


周囲は、青白く光る洞窟のようなものだった。光源は、あの『部屋』と同じだろうか・・・


目の前の『何か』は、人のような形をしていた。

胴のようなものから1つの頭・二本の腕・二本の足のようなものが伸びているのが判る。


『何か』は地面に立っていない。寝ているわけではもちろんない。

空中に浮いている・・・ふわふわとではなく、空中にしっかりと固定されているようにピッタリと・・・


しかし、そのことよりも驚愕なのは『何か』は、そこにハッキリとあるのに、歪んでいて・・・透き通って見えた。

無重力の中、水が溜まればこのようになるのだろうか?そういった不思議な『何か』が目の前にあった。



《気がついたね?》


『何か』がさらに歪んだと同時に声がした。


《説明する・・・のは面倒だね?悪いとは思うけど『直接』教えてあげるよ?》


と、同時に『何か』が襲い掛かってきた。

逃げることも、どうすることも出来ず、『何か』に体を包み込まれた。


息も出来ず、声も出せない。

目も開けられる、何も聞こえない。


『何か』に包まれて、どれくらい経ったのだろう。

生きてはいるのだから、長くではないだろう。


『何か』が自分から離れると同時に、何かを求めるように大きく息を吸い込み吐き出す。


そして、理解する。自分の今を。この場所を。この『何か』が何なのかを・・・






ここは、自分のいた日本ではない。

地球ですらない。

他の惑星でもない。

世界が違うのだ。


異世界。


陳腐な言い回しだが、そういうもののようだった。



自分は、この『異世界』に引き込まれたようだ。

理由はわからない。方法もわからない。


ただ、あの『部屋』は『違う世界の生き物』を『この世界につれてくる』ために作られたらしい。

何故?どうして?・・・疑問は尽きないが、そこまでは判らない。



そして、目の前にいる『何か』の正体は・・・精霊らしい。


精霊・・・信仰の対象であったり、空想上の存在であったり・・・様々な解釈はあるものの、実物をハッキリと見たことはないし、実際『地球』では無いと思う。



判ったのはそれだけ。

それ以上は、判らない。



《君が知覚できることや、ハッキリとした疑問にしか答えることは出来ないからね?》


精霊とやらは、そういった。



「元の世界に変える方法を知りたい」


そういう疑問に対し、精霊は


《『世界』が君を呼んだ理由を解決すれば戻れるんじゃないかな?》


と、答え


「『世界』が俺を呼んだ『理由』を知りたい」


という疑問に


《僕にもハッキリ分からないから、答えようがないよ?》


と、答える。役に立たない・・・


《運命とか宿命とか・・・君たちの言葉で言えばそういうものかな?》


精霊は続けて、そういった。



「とにかく、何かをすれば戻れるんだよな?」


という、疑問に対し


《たぶんね?》


という、返答しかない・・・



《ま、とにかく生きることだよ?この『世界』で『何か』をするには、死んでちゃできないからね?》


不吉な事、この上ないことを言われる。



『精霊』とやらは、物知りらしいが『俺の知らないこと』は知らないらしい。


たとえば、襲ってきた『熊』は『クアロス』という名前で『結構強い』という情報は出てくるが、他の生き物の事は答えられないようだ。

理由は『俺が見たこと無いから』だそうだ・・・



《本当は、『ちゃんとした』手順を踏むんだろうけどね?君は珍しいから、ちょっと苦労するかもね?》


《とりあえず、君の最初の『贈り物』を決めておこうか?》


《この世界に、生きるものが最初に受ける『祝福』だよ?その生き物の属性を決める感じかな?君の知らないことだけど、これは決まりごとだから話せるんだよ?》


《とりあえず、最初の『贈り物』は僕の『祝福』だよ。君の属性は僕になる》


よくわからないことを、まくし立てられる。

『贈り物』やら『祝福』やら、言葉の意味しか判らない。


そんな中、激痛が体中を駆け巡る。

全身が痺れるように、引きつるように。内側から握り潰されるような感覚。


「がぁぁぎぃぃ」


あまりの激痛に言葉も出ない。

倒れているのか座っているのか・・・おそらく倒れているのだろう。感覚が無い。

転げまわることが出来たら、少しは楽に慣れるだろうか?そんな疑問の中、激痛は続いた。


どれほど続いただろう?感覚がおかしくわからない。

激痛は嘘のように治まり、代わりに酷い頭痛が襲い掛かる。


「死にたい・・・・」


頭をかき混ぜられるような痛み。体の感覚はあるものの、頭を抱えるくらいしか出来ない。


二つの痛みが同時に来ていたら、本当に死んでいたかもしれない。



転げまわっていた俺は、突然部屋の明かりを消すように意識を失った。


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