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遠い世界で  作者: G・Y
2/23

プロローグ(2)

連続投稿になります。


説明が長く、少しくどい感じがしますね。

プロローグ自体が異様に長くなりそうですので、おかしな場所できるかもしれません。

2:プロローグ(2)


ここは山の中腹なのだろう。

麓には広く森が広がっているように見える。


外は急斜面というわけでもなく、かといって緩やかでもない。



亀裂から外へ出た時、初めて自分の格好に気がつく。


深い緑のTシャツの上にカジュアルな灰色のYシャツ、色の深いジーンズに黄土色のブーツ・・・

自分の着ている服装には見覚えがある。間違いなく、自分の持っている服である。


両手は酷く傷だらけだった。石の中で暴れまわったのだから仕方がないのかもしれない。

指の一本一本をゆっくり折り曲げる。

幸運なことに、指も腕もおかしな方向に曲がっていたり動かなかったりすることは無かった。


ここに来て余裕が出来たのか、現状を認識し始める。


(ここ、どこ?何でこんなことに?)


とりあえず、自分がどうなっているのかを確認しようとした時に視界の端を何かが動いた。


そちらに視点をあわせると、非常にスタイルの良い熊がこちらに走ってくるのが見えた。

二足歩行で・・・


「意味がわからららら・・・」


パニックなのかテンパッたのか、判らないが嫌な汗が噴出すことだけは感じられた。


よく見ると熊は熊ではなく『不思議な熊』であることが判る。


どうでも良かった。



急いで亀裂の中に戻り、通路の方向へ走り出す。


が、『扉』があった場所から通路の先へ行こうとした瞬間やわらかい何かに阻まれる。


間違いなく、通路は先が見えないほど続いている。

しかし、そこから先へ進むことが出来ない。


『扉』がゆっくりと持ち上がっている。双方向感知の『自動ドア』らしい。


どうでも良かった。



通路の先へ行こうと、手を伸ばすが・・・風船か何かに阻まれて全く進むことが出来ない。


亀裂を振り返ると、『不思議な熊』が顔を覗かせている・・・

どうも、『不思議』なだけでなく『大きな』ようだ。


「ゴォァ」


叫んでいるわけでもないだろうに、非常に大きな鳴き声だ・・・


こちらの様子を見ているのか、そこから近寄ってこない。

人工物の通路を見て、周囲の様子を警戒しているようだ。


(この熊は、二足歩行の上に非常に頭もよろしいようで・・・)


こちらが、囮だと思っているのだろうか・・・そのまま、どこかへ行って欲しい。

『大きな不思議な熊』と見詰め合うこと、ほんの僅か・・・相手の目が哂ったように見えた。

こちらの怯えが理解できたのだろうか、ゆっくりと亀裂からこちらへ入り込んできた。


あちらは、ハッキリとこちらを認識している・・・隠れる場所の意味もない。


ふと、横を見ると『扉』が開き続けている。

『扉』は十分に開いており、『大きな熊』でも追ってきてしまうかもしれない。

しかし、通路にいても良いことにはならなさそうだ


気づくと相手は手を伸ばせば、もう触れられそうな距離まで近づいてきていた。


「もう!洒落にならんて!!」


叫びながら、唯一の逃げ道である『扉』の中へ身を躍らせる。


『熊』は先ほどまで、自分がいた場所に屈み込み此方を見つめていた。


・・・ギリギリですよ・・・


間一髪なのか、もう手遅れなのか判らないが、少しだけ寿命は延びたみたいだ。


こちらを見ながら『熊』は『扉』の枠に手をかける。


「ゴァグァゴァグァ」


何を言っているのか判らないが、「落し物です」と言ってくれているようには聞こえなかった。



『熊』はついに、足を踏み出しゆっくりと『扉』を潜り抜け・・・られなかった。



『開き続けていた扉』は、『大きな不思議な熊』が潜り抜けようとした瞬間『閉まり始め』、轟音と共に『下を通ろうとした何か』を『押しつぶした』



『何か』が潰れるような音は、『扉が閉まった』音で聞こえなかった。

しかし、水のような『何か』と、焼肉屋で見かけるような『何か』が周囲に飛び散ったのは判る。


当然、正面にいた自分の体にも・・・



恐怖と歓喜、嫌悪や安堵・・・複数の感情が自分を満たすのが感じられた。

指が、腕が、体中が震える。

痺れる様な感覚に、お腹の底から声を出そうとした瞬間



《こんにちは?》


ハッキリと声が聞こえた。


驚き、周囲を見回すも声の主は見当たらない。



「だ、だれだ?」


声が震える。思考が鈍る。それゆえに恐怖が襲い掛かる。

判らないものへの恐怖のみが。



《怖がることは、ありませんよ?》


そう、声の主は告げる。

信じられるわけが無い。


《知りたいこと、知らなければならない事があるでしょう?》


突然の物言いだ。

言っていることは良くわからないが、まずお前が誰かをまず知りたい。


《このままでは埒があきませんし・・・何よりも勿体無い?》


何を言っているのか判らない。


「あんた、一体なんなっ!?」


疑問の声を発した瞬間、酷い眩暈に襲われる。

口を開いたら、吐きそうだ。

立ち上がることも出来そうにない。


目を開けることも出来ず、意識が薄れいくのが判った。



《答えられる疑問には、答えてあげますよ?でも、今はここから離れましょう?》



誰かもわからない声が聞こえた気がした・・・

9/18 内容に若干の修正

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