『占い』
今回は繋ぎ部分ですので、短い・・・はずです。
時間の概念を無理やり入れたので、説明的な部分が多くなっております。
普通の時間にしても良かったのですが・・・異世界なら面倒な設定もありだろうという結果、こうなってしまいました。
17:『占い』
突然だが、この世界の『1日』は長い。
『気分的』ではなく、『実際』に・・・だ。
この世界の『1日』は『1周期』とされている。『昼夜』1セットで『1周期』。
『太陽の精霊』と『星の精霊』が一回りするから『1周期』と、されているらしい。
『太陽』は昇るのではなく、中天にじわじわ現れる。夜になるときには、地平に沈む。そして、翌朝?にまた現れる。
改めて、この世界が『精霊』に支配されている事に『ゾッとする』。
そんな『不自然な1日』も、『30周期』で『1節』とされている。
『精霊』の力が関係するらしい。詳しい話は、聞くことが出来なかった。
そして、何故か『8節』で『1齢期』と纏められている。
非常にわかりにくいこと、この上ない。
基本的に『日雇い』の俺は、全てを細かく理解することは諦め、『周期』だけを重点的に理解した。
そして、気づいたことが冒頭の件だ。
俺は、時計の類を持っていなかった為、あくまで体感・・・で、なのだが。
寝て起きる。そして、仕事をする。終わったら、寝る。
もちろん、食事等の時間も含めての話だが、それでも『余る』。
奇妙な感覚に疑問をもっていたところ、『精霊』が、
《『元の世界』の、約1.5倍です。》
さらりと、言ってきた。知っていたなら早く言って欲しかったが、俺も最近は無視を決め込んでいた為、大声で文句は言えないのかもしれない。
俺は基本『昼の時間』の仕事を請けている。『夜の時間』の仕事もあるらしい。
『斡旋所』は正しく、『斡旋』してくれるだけで、『選ばせて』くれない。
基本的に職員が、『査定結果』から、その人に出来る仕事を『斡旋』するだけだ。
『読書き』が出来なれれば、書類仕事は無理だろうし、『腕力』が必要な仕事ならば、それなりの『査定』結果を出した者にしか任せない。
俺は『読書き』も『この街の常識』を知らない為、接客にも向いていない。
その為、俺が『斡旋』される『仕事』は、殆どが力仕事の建築の手伝いだ。
この街は、まだ発展途上にあるらしく、城壁の内外に住宅を建てたり、新しく城壁を組み上げたりすることがある。
匠の技を見ることが出来るかと期待することもあったが、『組み上げた壁面用の石』が『1枚の石になった』時点で諦めた。『石の精霊』の力がどうとか言っていたのだが、有り難味が全く無い。ガッカリ感が半端ではなかった。
5周期もすると、若干だが生活にも体が対応できるようになってきた。
『余裕』が、生まれたと言ってもいいかもしれない。『この世界』の事も、多少わかってきた。
気に入らないが、『精霊』には適当に疑問を投げつける。『精霊』は、確かに『俺の疑問』に答えてくれることがある。
しかし、本当に『人の生活』に関しては無関心なようで、そう言ったことに関しては『知らない』の一点張りだ。それでも、『この世界』の事を知り、『帰る』為の『助け』にはなるだろう。
そして、俺はその日初めて『夜の時間』の仕事を請け負った。
たまたま、起きた時間が『夜になったばかり』だったのと、城壁内の『明かり』の点検という『仕事』が軽かったのが決めてだった。
仕事に出る前に、誰かに呼び止められた。振り向くと、そこには、あの『占い師』が立っていた。
正直、この『占い師』は避けたいところだ。『査定』以後、顔を合わせることも無かったため油断していた。
「こんにちは」
出来うる限りの、笑顔で挨拶をしてみる。
『占い師』は、煙管のようなものを蒸かすと俺の目を見てきた。
逸らしてしまったら、『やましいこと』があるように見られそうで、若干向きになって見つめ返した。
「今日は、何か起こりそうな夜ね。」
・・・非常に嫌な、物言いだ。仕事は請けてしまっている。
さすがに、『嫌な予感がするのでやめたい』とは、言えない。
「私の『占い』に出たのよ。残念ながら・・・何が起こるかわからないのだけれど」
女が、そう続ける。
本当は、わかっているんじゃないかと勘ぐってしまうほどの言い回しだ。
「気をつけて・・・貴方に『害』は、なさそうだけれど・・・」
いよいよ、布団を被って寝たくなってきた。
仕事を請ける前に声を掛けてくれと叫びそうになったが、流石にその物言いは無いだろうと踏みとどまる。
「・・・ご忠告、感謝します。仕事が開けたら、真っ直ぐ帰ることにしますよ。」
そういうと、俺は『斡旋所』の扉を開け仕事に向かった。
空は、星明りが綺麗で・・・何故かとても寂しい気分にさせる夜だった。
上手い掛け合いが書けるようになったら、コメディタッチな物語も書いてみたいものです。