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遠い世界で  作者: G・Y
14/23

査定(3)

頭の中にある展開を、文章で表現することは難しいですね。


今回は、いつもにも増して偏った考えに寄っています。

私の知識が、ちょっと偏っているのが原因です。

14:査定(3)



身体能力の『査定』が終了したあと、次は『2個目の査定』かと思っていたのだが『2個目の査定』まで、若干時間があるらしい。『受付の女性』が言うには、『身体能力の査定』後は、大体動ける人がいない為、時間を空けるらしい・・・そんなことだろうとは予想できたが。



『査定』事態は、何度も受けることが出来るらしい。あの『査定』を受けるのが新人だけならば、仕事にはならないだろう。

また、自信が付いたら『再査定』を申し込んだらと言われたが、当分はごめんだ。


受け取った『コイン』は、やはりこの世界の『通貨』だった。

2種類の『コイン』が、数枚・・・価値は、よくわからない。さすがに、人に聞くわけにもいかず後回しにする。



とにかく、折角の『軍資金』と『休憩時間』だ。無駄に過ごす必要は無い。

食事が出来る場所を聞くと、『斡旋所』内にある食堂を紹介された。本来は『斡旋の登録』後から、使用できるそうだが問題ないそうだ。



少し広めな空間に、机や椅子が不揃いに並んでいた。入り口でメニューを選び支払いを済ませ、セルフで取りに行くサービスのようだ。

既に食堂の受付には数人の列が並んでいた。最後尾にならび、取引の様子を伺う。


希望の食事を伝え、提示された金額に対し、その金額のコインを渡すシステム。

金額と出されたコインの枚数、受付の人間が伝える『確認』の言葉を聞き計算する。


袋に入っていたコインは2種類。『鉄色の丸』と『銅褐色の四角』。

模様らしきものもあるが、何が描かれているのかは全くわからない。


とりあえず、使用しているのは『銅』ばかりなようだ。どういった経済概念をしているのだろうか。


自分の順番になり、メニューが読めないため『受付の人のお勧め』でお願いする。

提示された金額に相当するであろうコインを渡す。相手は特に怪しがる事無く受け取り、番号が書かれた札を渡してきた。札を受け取り、食事を受け取るカウンターに並ぶ。


出てきた料理は、固いパンとスープ、メインは『何かの肉の焼いたもの』だった。

周りを見ても、普通に食べている以上おかしなものではないだろう。

悩むのも馬鹿馬鹿しいので、気にせず食べてみる。・・・羊のような臭みの強い肉だ。が、飢えていたと言っても間違いではない俺は、気にする事無く綺麗に食べてしまった。


お腹も膨れ、幾分か眠くなりながらも受付に戻る。

次の『査定』までは、まだ若干の時間がある。少しベンチで休もうか・・・そう思い、ベンチに座って目を閉じる。睡魔が襲い掛かってくるが、人目のあるこんな場所でどうにかなるものでもないだろう。俺は抵抗する事無く、睡魔の攻撃に身をゆだねた。



軽く方を叩かれた感触に、意識が覚醒する。

周囲の明るさに、目が慣れるように、ゆっくりとまぶたを上げていく。


「よく、おやすみでしたね。」


俺の方に手を置き、困ったような顔をした受付の女性が話しかけてきた。

涎でも出ていないかと気になって、口元を確認するが、あとは付いていないようで一安心。



「私はどの位寝てしまっていたのでしょう?」


「いつからいらっしゃったのかはわかりませんが、それほど長い時間ではありませんよ。」


俺の疑問は、そういって返される。『具体的』な時間の概念をを知りたかったのだが・・・聞き方が悪かったか。



「それでは、『呪い(まじない)の査定』に向かいましょう。」


そういうと、受付の女性は俺を先導するように歩き出した。

呪い(まじない)の査定』・・・全く、創造が付かない。やはり、『精霊の祝福』による何かなのだろう。


女性の後を付いていく。

先ほど身体能力の『査定』を行った方向の逆方向に向かっているようだ。

ホールから通路に入っていき、何個目かのドアの前でとまる。

他に見えているドアと特別変わりは無い。


「ココが『呪い(まじない)の査定』の部屋になります。私はご一緒できませんので、終了しましたら、査定票を持って受付まで来てください。」


そういうと、女性はドアを軽くノックする。

中からの返答を待つ事無く、ドアを開ける。


「『査定』を希望されている『アーエ』さんです。お願いします。」


そういうと、受付の女性はドアの前から体を外し、俺に入るように促す。

部屋の中は薄暗く、僅かな明かりしか見えない。若干、入るのに勇気が必要な部屋だ。


「大丈夫ですよ。さっきみたいな事はありません。」


入室を躊躇していた俺を安心させるつもりなのだろう・・・女性はあまり、役に立ちそうも無い保証をしてくれた。


俺は、軽く肩をすくめて見せると、「失礼します」と、一応の挨拶をして中に入る。

後ろから「それでは、また後ほど。」という言葉と、ドアが閉められる音が聞こえた。


部屋の中には、御香だろうか?何かの煙と匂いが充満していた。

ドアが閉められると、いよいよ部屋は暗くなる。目が慣れていないので迂闊に歩くこともできない。


「コチラへ。暗いから足元には気をつけなさい。」


部屋の奥から、女の声が聞こえた。落ち着いたような・・・何かを言い聞かせるような・・・


何か違和感を感じつつも、俺は部屋の奥へと進む。

カーテンで遮られた先に、小さな机と椅子が一つ。椅子の向かい側に濃いワインレッドのシーツを頭から被った様な姿の人物が一人。机の上には水?が入った透明な器が置いてある。


「そこへ、お座りなさい。」


目の前のシーツが、声の主らしい。おそらく今回の『査定員』がコイツなのだろう。

感覚的に、コイツは気に入らない。そう感じた。


俺は無言で椅子に腰掛ける。

すると、女は器の中に片手を入れ、ゆっくりとかき回し始めた。


「それでは、これから『査定』するわね。リラックスしていいのよ。」


こちらの何を聞くでもなく、そう言うと器の水をまわし続ける。

これでは『呪い(まじない)』ではなく『呪い(のろい)』だろう・・・


その行為は暫く続いた。器の中の液体は一定のスピードで回り続ける。


ふと、俺の頭にとある考えが浮かぶ。

暗い部屋、独特な匂い、しゃべり方、単調な動作に集中させるような行為・・・催眠術の段取りか・・・


催眠術の類を使用して何をするのか・・・俺が『異世界』の人間だとバレているのだろうか・・・?

疑問は尽きないが、行為は続く。

『軍人』のように、頭が切り替わることは無いが、『軍人』になれた性か以前より落ち着いていることができる。


意識して、手の動きや器の中を見ないように目の焦点をはずす。

匂いはどうにもならない。思い切って頬の内側を少し噛み切る。

想像していた以上の激痛に、顔を顰める。

口内に血液特有の鉄臭さが広がり、匂いそのものが気にならなくなる。

おかしな薬品だった場合には、もうどうにもならないだろう。


「私の質問に答えてもらえるかしら?」


女が声を出す。突然だったため、正直かなり驚いたのだが驚きすぎて反応が出来なかった。


「はい」


口内の血が止まらないため、余分なことはしゃべれない。

俺はそれだけ言うと、シーツの隙間から見える女の顔を見据える。

暗さになれた目にもハッキリとは見えない。老婆というほどを取っているようには見えないが、子供というわけではない。暗く、判断が曖昧だが、30代~50代くらいだろう。


「貴方の名前を教えなさい。」


・・・これは、偽名対策か・・・?それとも、『本当の名前』を聞いて『契約』とやらをさせるのか?

どちらにしても、正直に答える事は出来ない。


「アーエ・・・です・・・」


それらしく、答え相手の反応をうかがう。


「・・・」

「・・・」


長い沈黙が、部屋を支配する。

女も俺も、相手から目をそらせることはない。

ふと、女の口角が上がるように見えた。俺も釣られるように、口の端を吊り上げる。

相手はそれなりに様になっているようだが、俺の方は引きつっているだけかもしれない。


「ま、十分でしょ。」


突然、女はそういうと立ち上がり、背後のカーテンを開けた。

強い光が、闇になれていた俺の目を焼く。咄嗟に目を閉じ、腕で庇ったが間に合わなかった。


「馬鹿では無い・・・ということね。文字の読書きが出来ないという話しだったけど、不思議ね。」


風が吹いたのを感じる。窓でもあけたのだろうか。未だに目を開けられない俺には確かめるすべが無い。


「座っている姿にも、粗野な印象は受けないわね。部屋に入るときに挨拶するなんて、どこのお貴族様かと思ったわ。」


女が、俺の周りでカーテンのようなものを開けているような音が聞こえる。


「育ちの良さと、高い教育を受けたような印象ね。」


俺が目を開けられるようになると、タイミングをあわせたように目の前の椅子に女が腰掛けるところだった。

先ほど頭から被っていたシーツは脱いだようだ。シーツの隙間から見た時よりも若い印象を受ける。


「・・・すごい方法を取るのね?そんなに嫌だったかしら?」


女は、そう言うと自分の口の端に指を当て、そのまま真っ直ぐにおろした。

おれはその行為を見て、自分の口元を腕で拭う。血がこすれた跡・・・どうも、出血はかなりひどい様だ。


「まぁ、ほって置いても治るでしょう。」


女が、無責任に告げてくる。女を睨むように見ると、口元を布のようなもので隠しているところだった。

そこで、女の格好に気づく。

ゆったりとした服に口元を隠す布。中東の人が宗教的な観念でこのような格好をしていたような気がする。

だが、今の俺の感想としては『似非占い師」』言ったところだ。


俺が睨んでいたことに気づいたのか、『似非占い師』の目元が僅かに下がった・・・笑ったのか?


「それじゃ『本当の査定』をするわね。」


そう軽くいうと、目の前の女は机の上の器をひっくり返した。

『査定』話は次回で終了です。


実際の仕事描写は、ほぼ書きません。

ココまで、時間を進めなかった分、かなり大雑把に時間を進めてしまいます。

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