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遠い世界で  作者: G・Y
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プロローグ(1)


こんにちは。知人の影響で、少し物語的なものを書いてみました。


自身、こういったものは初めてです。

色々と試しながらやっていこうかと思います。


視点が定まらなかったり、物語の流れが不自然だったりするかと思いますので

しっかりとした、物語を期待されている方はご覧にならない方が精神的によいかと思います。


それでは、ここまで見ていただきありがとうございました。


1:プロローグ(1)



「いてっ」


何かが手に当たり、目が覚める。

周囲は暗い、を通り越し真っ暗と言える。


「背中も痛いし・・・」


まるで、地面に寝かされているような違和感。

周囲の様子は、まったくわからない。

腕を持ち上げ・・・ようとすると、気がつく。


「あれ?なんか、硬い・・・?」


自分が、仰向けになっていることは間違いないだろう。

だが、手を持ち上げてみると硬い何かに当たる。

腕を広げてみても、同じく硬い感触が帰ってくる。


「え?なに?なに?え?」


自分の声だけが耳に残る。

疑問に答えてくれるモノはおろか、自分以外の音も聞こえない。



恐怖



その感情だけが、心を支配する。


何処なのか、わからない。

どうしてなのか、わからない。

何が何なのか、わからない。


自分の置かれた状況に混乱し、理性などというモノは何の意味もなかった。


両手を暴れさせる。

周囲の感触は硬く、冷たい。

手のひらも、甲も傷だらけであろう。

痛みはあるが、その様子を見ることは出来ない。


少しの光すら、ここには無いのだから。


「ひっひっぅ」


叫びたくとも、喉の乾ききり声にならない。

手で、顔を覆うように感触を確かめる。

酷く濡れている。

泣いているのであろうが涙なのか、鼻水なのか・・・

怪我をしたであろう、手からの出血なのか判らない。



「ヒッヒヒヒッ」



気が狂う



自分が、目を覚ましてから数分も経っていないだろう。

だが、その僅かな時間は精神を蝕むには十分な時間だと感じた。



もう、駄目だろう・・・



何故か、その事だけが冷静に理解できた。


すべてを諦め、ほんの少し残っていた何かを手放そうとした時、急に体が浮き上がるような感触に現実に引き戻された。


ガガガガガガ


揺れている・・・しかも、強烈に!


地震だと、気がついた瞬間に何かを悟る。

・・・自分は地震で閉じ込められた・・・のだと。


揺れは治まることなく、寧ろ強くなっていく。

腕も満足に広げることが出来ない空間で、体を支えることも出来ずに周囲に打ち付けられる。


ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ


揺れにより、何かがずれているのか・・・すぐ耳元から何かが擦り合わされるような音がする。


と、同時に目の前に僅かな光が漏れてくるのが見えた。


助かった!!


何も考えられなかったはずの頭は、現金にもその光を浴びた瞬間回り始める。


この揺れにより、覆っていた瓦礫がずれたのだろうと推測する。

まだ、体を確かめることは出来ないが、強い痛みもしびれも無い。

潰されている場所が無いと、安易に楽な思考へ落ちていく自分に呆れるものの、心は助かったという歓喜に満たされていた。


自分の体の真上に来ていた瓦礫と思われる物体は完全に視界から消え去り、僅かながらも蒼い光が差し込んできていた。


揺れが収まり、動くことが可能になると、急いで上体を起こす。


・・・次が来たら、やばいかもしれない・・・


家族や友人の事も一瞬、頭を過ぎったが自身を優先させる為に立ち上がり周囲を確認する。


「え?」


間抜けな自分の声が響く。

足元の自分が今までいた場所を確認し、もう一度周囲を見回す。



広い空間・・・おそらく10畳以上あるであろう『石のようなモノで作られた部屋』

自分が閉じ込められていた・・・『周囲と同じような石で作られた精巧な棺桶』

周囲を照らしている蒼い光・・・『蛍光灯や太陽ではなく、薄ぼんやりと部屋自体が光っている』



そこは、酷く現実離れしたナニかであった。


周囲には、自分が寝ていたであろう『棺桶』と同じものが4つ・・・

すべての蓋は外されており、中には何も入っていない・・・

他には、本当に何も無い部屋・・・

違和感と恐怖『以外』が何もない『部屋』だ。


よく見れば、部屋の隅に石造りと思われる扉があることが確認できた。


「とりあえず、外へ出よう」


自分に言い聞かせるように、独り言を言う。

何か行動を起こさなければ・・・何か言葉を発しなければ、何かに押しつぶされてしまいそうで・・・


喉が痛い。腕が痛い。背中が痛い。頭が痛い。


それら全てが、自分を自分として繋ぎ止めてくれている感覚に感謝しながら扉の元へ歩く。



『扉』の前までくると、ゴリゴリという音と共に扉が真上に持ち上がる。

石で出来ているのならば、数tはするであろう物体がゆっくり上がっていく光景は、周囲の奇妙さもあわせて現実離れしていた。


『扉』が自分の頭はるか上・・・3mほどまで持ち上がった瞬間・・・元の位置に落ちてきた。

その光景を一歩も動くことも出来ず呆然と立ち尽くしていたが、落ちた(閉まった)轟音と衝撃でへたり込む。

心臓が早鐘のように打ち続け、鳥肌が体中に広がる感覚に震える。


と、また『扉』がゆっくりと動き出す。

様子を見続けると、先ほどと同じ場所まで持ち上がると同じように落ちてくる。


2度目であっても、その光景は体に良いものではない。


少し『扉』から離れると、『扉』は動く様子も見せず部屋には静寂が訪れる。


再度『扉』へ近づくと、ゆっくり『扉』が持ち上がる。

そして、同じ場所で落ちてくる。


「酷い自動ドアだことで・・・」


何か動物を閉じ込める罠にも見えるが、おそらく間違いないだろう・・・

これは『自動ドア』だ。


『扉』のそばにいると、ゆっくりと『開いて』いく・・・

自分の腰辺りまで、開くと手を扉の下に潜り込ませて直ぐに引き抜く。

『扉』は変わらず、『開き』続けている。


「大丈夫・・・なのかな?」


同じように、何度も手を入れては出してみる。

『扉』は『開き』続けている。


『扉』が落ちてくる場所まで様子をみる。

同じ場所まで持ち上がった『扉』は、同じように『閉まった』



大きく息を吸い吐き出す。


『扉』がまた、開き始める。

その様子をじっと見詰め続け、腰を少しかがめる。


自分の胸辺りまで開いた時に『扉』の向こう側へ走り抜ける。

『扉』の向こう側がどうなっているかを、考えたのは走り抜けた後だった。



『部屋』の外は通路になっていた。

左側へ長く続く通路。

右側へは・・・まぶしい光が漏れてくる亀裂!


「外!」


単語しか発することが出来ないほどの歓喜!

亀裂は人が十分通り抜けられるほどの広さで広がっていた。


亀裂から顔だけ外へ覗かせる。



そこは・・・見たことも無いほど雄大で自然にあふれた・・・やはり、見たことも無い風景だった。

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