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化物彼女に溺愛中!

作者: こをり

挿絵(By みてみん)

「おっはよー!マイハニー!」

「土に埋まれ」


化物彼女に溺愛中!


「今日は授業に出るの?」

「出ない」

「じゃぁ屋上で待ち合わせだね」


笑顔で言ってみたけど彼女には効果が無いみたいだ。

今日も相変わらず包帯やバンソコが痛々しい。何度見ても大丈夫?と聞きたくなってしまう。

あ、自己紹介がマダだったね!

俺は顔良し、運動神経良し、成績良しの完璧人間それが俺!

え?ナルシストって?まさか!ここまで完璧で自信がなかったら彼女の横なんて歩けないよ!

あぁ、彼女ももちろん顔良し、運動神経良し、成績は…授業出ないからちょっとわかんないなぁ。


「・・・卯月<ウヅキ>?調子が悪いのか?」

「し、心配してくれるなんて!千空<チアキ>大好き!」

「…っ!抱きつくな!」

「あっごめん!傷痛かった!?」

「……」


千空はスタスタ早歩きで先に行ってしまった。

またやっちゃった。

千空の全てについ体が動いてしまうこの癖を何とかしなきゃ!


「っていっつも思ってるんだけどなぁ」


思うだけじゃ中々直らないなぁ。向上心はあるんだけど・・・向上しない。

本日一回目のため息を吐きながら千空の背中を見つめた。


◆◇◆◇

「卯月くん!」「うーづき!」「おはよー」「ねぇ聞いてよぉ」

群がってくる女子を横にやり何とか自分の席に着く。

はぁ、2回目のため息を吐くと無意味と分かっていながら千空の席に目をやる。

あそこが埋まる事はめったに無い。

理由は簡単。皆千空のことを『化物さん』と恐れているからだ


茶髪で鬼のような目、女とは思えない力で容赦なく殺しにくる『化物さん』

まぁ、実際売られたケンカは全部買ってるし、力も強いけど・・・


「あんなに可愛くて優しいのに」

「なぁに?また惚気か?」


ボソッと呟いた言葉は親友の翠<ミドリ>が拾った。

困ったように笑いながら俺の前の席に座るこいつは飄々としていてつかみにくい。

それも慣れて逆に付き合いやすい。


「惚れないでね?千空は俺の」

「はいはい。千空ちゃんに惚れる奴なんてお前くらいだよ」

「なんで?」

「怖いじゃん」

「ぶっ殺すぞ」

「タイムタイム!暴力はんたーい!」

「あんなに可愛くて優しくて意外と料理好きで可愛いものは即購入の千空が怖いわけないだろ」


むしろ愛しい。そう断言してやると翠は小さく拍手。

もちろん今のは翠が聞き取れるくらいのボリュームで喋った。


「なんで小声?」

「今の台詞をどっかのクソが聞いてしまったらどうすんの!」

「・・・お前にドン引きする」

「違う!千空の可愛さに気づいちゃうでしょーが!」

「・・・え?ん?」

「はぁもう良いよ、翠と話すと疲れる」

「それ俺の台詞だっつーの!」


ギャーギャー言い合いながらチャイムが鳴ったのでいったん休憩。

授業を聞き流しながら俺は翠の頭の中を見て見たいと本気で思っていた。


確かに彼女はちょっと力が強い。

でも子供や女には不器用ながら優しいし敵意を出さなきゃ殴られることは無い。

ちなみに俺は一目惚れ。この話は今度しようじゃないか(ハハハッ)

それから彼女の事を知れば知るほど好きになり、最近はやっと会話のキャッチボールが出来るようになった。


キーンコーンカーンコーン

千空のことを考えているとあっという間に昼休み


「なー卯月ー」

「俺屋上!」

「・・・行ってらっさーい」


翠に見送られながら猛ダッシュ。一分一秒でも千空と長くお喋りするために俺は走る!

右には重箱、左はぬいぐるみ。

今の俺の攻撃力はMAX以上!千空をメロメロにできる!(はず)


バンッ!

勢いよく開けたドアから見える一面の空。俺はその空なんかに興味0。

右、左、上、前。上!


「千空みっけ!」

「・・・うるさい」


機嫌が悪そうに見えるけどこれは彼女の照れ隠し。

いつも俺が来るのを待ってくれるのだ。

それはもちろん!俺のことを愛して「弁当」


「・・・頼まれてたぬいぐるみも直しときました」

「ん」


大丈夫。だって俺のこと好きじゃなかったらこんな笑顔見せてくれないもんね。

涙を見られないように拭い、重箱を並べてやるとウキウキと箸を遊ばせた。

うん。可愛い


「千空」

「・・・」(食べる事に集中)

「好きだよー」

「・・・・」

「めっちゃ好き!」

「・・・・・うるさい」

「千空はめっちゃ好きの方がグッとくるのか」


覚えとこ。頭の中心部に叩き込んでおく。

千空は顔こそ無表情だが耳が真赤なのでごまかせてない。(可愛い)

俺は嬉しくて嬉しくて抱きつこうとしたけど朝のことを思い出し踏みとどまる。


「(よし!向上した!)」

「・・・」

「(大丈夫。てれた顔が見れただけでも俺は満足!)」

「・・・・・卯月」

「ん?どうしたの?玉子焼き甘すぎた?」


箸で玉子焼きを浮かせている千空に向き直ると重箱の中はほぼなくなっていた。

よかった。今日も俺のお手製弁当は気にいってもらえたみたいだ。

となると玉子焼きは微妙だったのか?


「千空?残してもいいよ?」

「・・・・今日もおいしかった」

「ほんと?ありがとう」

「・・・・」


むっとした顔の千空。そんな顔も可愛いけど彼女は何を俺に伝えようとしているのか?

あーテレパシーが使えたらな


馬鹿なことを考えてると決心(?)が決まったのか俺が直してあげたぬいぐるみを抱きしめぐいっと箸を持ち上げた。

そう、俺に向かって。


「・・・・?千空?いらないなら残して」

「全部おいしかったけど一番玉子焼きがおいしかった」

「それなら早く食べた方が」

「・・・・・」


え?ちょガン飛ばさないで。

俺のほうに向いている箸と玉子焼き。照れながらガンを飛ばす千空。


「・・・・」(ジッ)


まさか、これは・・・・・・・・・

!!!!!アーンと言う奴じゃないのですか!!!!!!


「・・・千空、か、掛け声(?)しないの」


「アーン」と可愛く言ってくれる事を進めてみたがどうやら無理らしい。

えぇい!掛け声(?)なんて無くても千空がココに居るだけで俺はご飯8杯はいける!


よく分からない決意をしながらパクッと一口。

やっといてなんだけど、ものすっごく恥ずかしい。千空も同じなのちょっと俯いている。


「・・・あーん」

「Σっ///」


ワンテンポ遅かった掛け声。

でもその可愛さと愛しさは言葉で表すのが難しいくらい、とにかく、最大級なのだ!!


「~~~~~っ千空!!」


抱きつこうと両手を広げ前に行こうとした瞬間


キーンコーンカーンコーン・・・・


玉子焼きよりも甘い空気だったのに無常にもチャイムでかき消されるなんてお約束過ぎるだろ!

いっそのこと!と、抱きしめようと動くと千空はバッと立ち上がってしまった。


「ちあきぃ~」

「情けない声を出すな」

「だってコレはあんまりでしょ」

「・・・・帰りにしろ」


あぁ、なんてかっこいい返答。

皆さん聞きました?あ、やっぱ聞くな。この可愛い声も表情も俺だけのものだ。


抱きつくのは帰りとして、俺はそっと千空の手を握りってみる。

小さくて細い手は冗談じゃなく本当に折れてしまいそう。

でも、彼女はそんなに柔じゃない。俺が一番知っている。


「大好きだよ」

「・・・・知ってる」


でも、まだまだ知らない君ばかりだから。

これからもずっと、ずぅっと傍に居させてね。




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― 新着の感想 ―
[一言]  感想を頂いてから三ヶ月も経ってしまい……お、覚えていらっしゃいますでしょうか?(びくびく) どうも、昼猫です。  恋愛は書いたことないというか書けない人なので、すごく尊敬します。羨ましい…
2010/12/19 07:51 退会済み
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