◆第32話『反撃の序曲――王妃探偵と亡国剣士、真なる七曜を暴くために』
風が鳴いていた。
帝都の空に、黒き影が翳る。
《帝都粛清計画》と名付けられた七曜盟・異端派の襲撃は、
結果的に未遂に終わったとはいえ――
その“意図”と“規模”は、帝国の中枢に深く爪を立てた。
王妃探偵局の各支部には、次々と暗殺未遂と爆破事件の報が上がる。
そのすべてに共通していたのは、ただ一つ――
“王政と王統を支える記憶”への徹底的な破壊行動。
王家、記録、魔導史、研究所、そして“血”。
七曜盟は、ただの権力転覆ではない。
この王国そのものを“過去から消し去る”計画に入っていた。
•
王妃セシリアは、探偵局本部の“記録室”に立っていた。
炎に包まれた魔導書の残骸を見つめながら、
彼女は静かに呟いた。
「……やっぱり、“記録”が狙われている。
ただ命を奪うだけなら、こうまでする必要はない」
「つまり……」
レイが隣で答える。
「“過去を消すこと”こそが目的ってことか」
セシリアは頷いた。
「彼らは“真実そのもの”を葬ろうとしてる。
それも、“王家が本来持っていた歴史”……
もしくは、“それに繋がる者たち”の記憶ごと」
•
その時、重々しい足音が記録室へと響いた。
「王妃殿下。帝都議会の使者が到着しております」
そう告げたのは、王政庁の警護隊長。
だが、その背後に立つ男の顔を見た瞬間――
セシリアは、無意識に背筋を正していた。
男の名は――ゼノ・リュクス。
帝都議会の“内政顧問”。
だが本当の顔は、《七曜盟“本流”》の元構成員であり、
現在は“異端派”の暴走を止めるため、秘密裏に動く《内通告発者》。
•
ゼノは、静かに口を開いた。
「貴女が探している“真なる七曜”――
それはすでに、“分裂”しています」
「分裂?」
「《七曜盟・異端派》は、“歪な七芒星”と呼ばれる派閥に過ぎない。
だが、本来の七曜盟は、かつて“調停者”であったのです」
•
ゼノの語る真実は、衝撃だった。
七曜盟は、千年前、各大陸の王家を監視し、
“王統の暴走を止めるための審判機関”として設立された組織。
だが時代が進むにつれ、
内部の権力争いや“王統の血”に魅せられた一派が“正統”を捻じ曲げた。
そう、《異端派》とは、
本来の七曜盟から“追放された裏の宗派”だったのだ。
•
「今のラシュファーンを名乗る者は、“本来の当主”ではない」
「つまり、偽者……?」
「正確には、“七曜の名を盗んだ者”です。
だが、やつは“古き王統の継承術”を操る方法を得た。
それが……《器》としての貴女の存在に繋がる」
•
セシリアの指がわずかに震えた。
「つまり私は……」
「最後の“真の記録者”。
そして、王国を再定義できる唯一の血統」
•
ゼノは、封筒を取り出す。
「これは、“異端派の本拠地”の一部座標です。
かつて《七曜の祭壇》と呼ばれた禁忌の地。
そこに、今のラシュファーンと、その右腕――“粛清部隊長ノルド”がいる」
レイが剣を手に取る。
「やっと、“敵の巣”に踏み込めるってわけか」
セシリアは、静かにうなずいた。
「ここからは、“反撃”よ。
七曜盟の偽りを暴くため、
私たちが“真の七曜”を取り戻す――」
•
こうして王妃探偵と亡国の剣士による、
《帝都反転作戦》が始まった。
すべての記憶を守るため。
すべての嘘を裁くため。
そして――自らの“存在”を取り戻すために。
(つづく)
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