◆第28話 『滅びの夜に踊った旗――亡国の真実と、七曜盟の名』
帝都の深夜。
風がうねり、塔の鐘が密かに鳴った。
仮面舞踏会の帰り、セシリアは旧書庫へと戻っていた。
彼女の前には、封を開けたばかりの一冊の書――
**『ナザリア終夜記』**が広げられている。
それは、かつて滅びたナザリア王国の“最期の夜”を記した記録。
しかも“焚書対象”とされ、今なお王国では禁書扱いの極秘書物である。
ページを捲った先には、あるひとつの章題が刻まれていた。
――《七曜盟》の来訪と、王統断絶の記録
•
時を遡ること七年前。
ナザリア王国、王都ゼルアミア。
その夜、国は《二重の炎》に包まれていた。
ひとつは“外”からの攻撃。
もうひとつは“内”からの裏切り――
そしてその裏切りを導いたのが、《七曜盟》という名の影だった。
•
「王宮北門が、崩されました!」
「王妃様が……!」
悲鳴とともに、城内は地獄と化していた。
その最奥、王女の私室に駆けつけたのはレイ=アルディオス。
「殿下! ここから逃げてください!」
「レイ、これは……本当に、終わりなの?」
美しく、気高く、そして儚げな王女。
その胸元に、ひとつの紋章が刻まれていた。
七つの光点が輪を描く、異形の刻印。
「この紋章……“彼ら”が現れたあとに、突然身体に浮かび上がって……!」
王女の瞳が怯えていた。
「“彼ら”って誰だ?」
「……“七曜盟”。
名を名乗ったのは一度だけ……
私たちの“血”に興味があると、言っていたわ……!」
•
七曜盟。
それは、七つの国と七つの貴族を“裏から操っている”とされる謎の結社。
表向きはどの記録にも載らない。
だがその痕跡は、魔導契約、血の継承、そして国家の崩壊と共にある。
•
王宮を包囲したのは、ナザリア軍の“反乱派”と、
外部から流入した“顔のない傭兵団”。
だが、どちらの背後にも《七曜盟》の支援があった。
武器、金、魔導技術、そして何より“情報”。
「敵は、我々の“王室の避難経路”まで知っていた。
内通者がいたとしか思えない!」
レイがそう叫んだとき、
王女はふと、静かに微笑んだ。
「……ごめんなさい。
きっと、その“内通者”は、私の近くにいたわ」
「……殿下?」
「わたし、知っていたの。
ナザリア王家の“血”には、ある《継承の秘密》があることを。
それを探っていた“異邦の者たち”がいたことも。
……でも、どうしても、誰も信じられなかったの」
その言葉を残し、王女はレイに“ある小箱”を託した。
「この中に……“真実”がある。
いつか、あの王妃に渡して」
•
レイは彼女を抱えて脱出しようとした。
だが、次の瞬間――
「王女殿下は、国家反逆の嫌疑により、拘束する!」
現れたのは、王家の諜報部だった。
そして、その中央に立っていたのが――
ギルバート=カイネルの父。
王女の処刑は、その場で下された。
レイは彼女を抱きしめたまま、剣を抜いた。
「……真実を殺して、何が正義だ……!」
だが、背後からの奇襲により、レイは深手を負い、
気を失ったまま、火の海へと沈んでいった。
その命を救ったのは、地下に潜っていたナザリアの孤児集団だった。
•
――そして今。
セシリアの前には、静かにその“真実の箱”が開かれていた。
中にあったのは、
王女の日記、王家血統図の隠された頁、
そして、七曜盟との交信を記録した一枚の契約文書。
『七曜盟への返答――
王統は拒否する。血は渡さない。
我らは、王であり、盾であるべきだから』
•
セシリアはその書類を胸に抱いた。
「ナザリアは、“真実を拒まれた”のではない。
……“真実を守ろうとした”のね」
だから、七曜盟は滅ぼした。
そして今――
帝都で再び“同じ構図”が動き出している。
•
(七曜盟。
あなたたちはまだ、この世界を“裏”から操作しているのね)
だが、今度は違う。
“真実を暴く者”は、もうこの世界に存在している。
そして彼女は、王妃であり、
かつてすべてを奪われた者たちの“代弁者”でもある。
――裁きの幕が、ゆっくりと上がっていく。
(つづく)
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