◆第26話『帝都に潜む亡霊たち――開かれた“復讐の扉”』
帝都――ルミナリア・グラン。
それは王都ヴェルセリクの外縁に築かれた、王国最大の都市。
政治、軍事、商業、そして闇。
すべてが集中し、すべてが交錯する“もう一つの心臓”と呼ばれる地。
その街の地下――
誰にも知られぬ古代廃路の一角で、一人の青年が倒れていた。
傷だらけの身体。
焼け焦げた外套。
だが、その眼だけは、
“復讐”という名の決意に、はっきりと染まっていた。
•
――彼の名は、レイ=アルディオス。
かつて“王国の炎”と呼ばれた、滅びたナザリア王国の近衛隊長。
七年前。
王家が粛清された夜。
レイは民を守るため“裏切り者”の汚名を着せられ、仲間を見殺しにして逃げ延びた。
彼の罪は、生き延びたこと。
そしてその胸には、ただひとつ。
「……あの日の嘘を、裁く。
奪われた真実を、この手で奪い返す」
亡き王女との誓い。
そのために、彼は再び帝都へ戻ってきた。
だがこの地で、すでに“王妃探偵”もまた動いていたとは――
まだ、誰も知らない。
•
時を同じくして。
王妃セシリアは、仮装した馬車の中で、ゆっくりと書類をめくっていた。
その横には、リィナとノエル。
そして“情報の鬼”と呼ばれる諜報分析官・フィランが同行していた。
「帝都ルミナリアでは、近頃、三件の連続爆破と四件の失踪が発生しています。
いずれも“貴族”かつ“旧ナザリア派閥”に連なる家系。
明らかに“誰か”が、消している」
「亡国の血筋を断つような……そんな動き」
リィナが、声を震わせる。
「ええ。
この裏には《復讐者》の影がある。
そして、それを泳がせている“第三勢力”の存在も」
•
帝都には、王家の目が届かぬ“統治外区”がある。
正確には“切り捨てられた街”。
ナザリア残党、貧民、孤児、元奴隷――
法と秩序の外で生き延びる者たちが寄り集う、闇の坩堝。
そこに、奇妙な噂が流れていた。
──“王妃探偵が帝都に現れる”──
•
「情報が漏れている?」
フィランが低くうなる。
「探偵局の誰かが、動いてる可能性があります」
セシリアは薄く目を閉じる。
「……また“内通者”?」
「違います。
これは、“故意に私を帝都へ誘い込もうとしている手口”です」
セシリアの脳裏に、一人の男の顔が浮かぶ。
ギルバートとは異なる、もっと深い闇を背負った“亡霊”のような存在。
•
その頃、帝都・統治外区の酒場で。
レイ=アルディオスは、フードを被った少女から一枚の紙を渡されていた。
『王妃探偵、帝都潜入中』
――下部に小さく、王妃の紋章が刻まれている。
「……セシリア=フォン=リーヴェルト。
お前が、真実を暴く者か。
なら……この“嘘の都”で、どちらが先に“真実”を見つけるか勝負しよう」
彼の眼は、すでに戦いを覚悟していた。
•
夜。
帝都の中心で、セシリアは仮面舞踏会の招待状を手にする。
それは、旧王家に連なる“帝都貴族”からの極秘文書。
差出人の名は――
『アルディオス家現当主より』
「……ようやく、姿を現したわね」
セシリアの指が、書状を握りしめた。
レイ=アルディオス。
亡国の剣士。
そして今なお“真実を求める復讐者”。
帝都に、再び《嘘と復讐の火花》が散ろうとしていた――。
(つづく)
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——
ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!
その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。
読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。
「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!
皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。




