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帝国魔獣災害戦記  作者: 夕餉
迷宮魔核輸送作戦
9/50

決着

「最後の一撃で決めるぞ!」


隊長グレンの叫びとともに、帝国騎士団は決戦の陣形を組んだ。


黒獣王バロウは、先ほどの「闇雷砲」による攻撃で大量の魔力を消費していた。


しかし、まだ倒れたわけではない。


むしろ、鋭い眼光を向け、再び獲物を仕留める機会をうかがっていた。


「このまま長引けば、やつはまたエネルギーを吸収し、さらに強くなる……!」


副隊長ヴォルフが焦燥を滲ませながらも、手にした雷撃槍を構え直す。


魔導士隊長エリオットは、すでに新たな魔法の詠唱に入っていた。


グレンは剣を強く握りしめ、決意を固める。


「我々が護るべきものは、迷宮魔核だ!」


もしバロウに突破を許せば、輸送していた貴重な超大型魔核は奪われ、計画は頓挫する。


それどころか、バロウ自身が魔核の力を取り込み、さらなる脅威となる可能性すらあった。


「ここで終わらせる!」


グレンの号令とともに、戦いの幕が再び切って落とされた。


「戦術・双翼の陣」発動!


帝国騎士団は「双翼の陣」という包囲戦術を展開する。


左右の部隊が翼のように広がり、バロウの進行を阻止しつつ、


正面部隊が囮となり、決定的な攻撃を叩き込む時間を稼ぐ。


「囮部隊、耐えろ! 盾を重ねろ!」


重装騎士たちが並び立ち、巨大な盾を連結させて「盾壁」を形成。


バロウの鋭い爪が降りかかるが、盾が衝撃を吸収し、隊列は崩れない。


しかし——


「クソッ! すごい圧力だ!」


盾の向こうで呻く兵士たち。


一撃ごとに衝撃が走り、土煙が舞い上がる。


それでも彼らは耐えた。


なぜなら、その間に——


「魔導士隊、準備完了!」


エリオット率いる魔導士部隊が、


- *「封鎖魔法陣」と「魔力収束砲」**の準備を整えたからだ。


「発動!」


エリオットの詠唱が完了すると、バロウの周囲に


巨大な魔法陣が出現し、彼の動きを鈍らせる。


「今だ、全砲門開けェェッ!」


魔導士隊が一斉に魔力砲を撃ち込む。


炎、雷、氷、風——あらゆる属性の魔力がバロウに襲いかかった。


ズガァァァァン!!!


爆発音が響き渡り、バロウの巨体が炎と光に包まれる。


しかし——


爆煙の中から、再び立ち上がるバロウ。


毛は焦げ、傷だらけになりながらも、まだその瞳は光を宿していた。


「こいつ……どこまでタフなんだ!」


グレンたちは歯噛みする。


だが、その時——


「隊長、バロウの動きが鈍っています!」


とある兵士が叫んだ。


そう、先ほどまで「戦いながら成長していた」バロウが、


いまはそれをやめ、呼吸を荒げていた。


「……限界が来たか?」


グレンはバロウを見据えながら気づく。


戦闘中に「エネルギーを吸収して強化する」能力の代償として、


バロウは急激な成長に体が追いつかなくなっていたのだ。


ここが討伐の好機!


グレンは全力で剣を握りしめ、叫ぶ。


「トドメを刺すぞ!!!」


「総員、突撃!」


帝国騎士団が一斉にバロウへと駆け出す。


騎士たちの槍が、剣が、バロウの体に突き立てられる。


グレンは剣を構え、バロウの心臓を狙う。


「……これで終わりだ!」


バロウが最後の力を振り絞り、鋭い爪を振り下ろすが——


その攻撃よりも速く、グレンの剣が閃く。


「——斬ッ!!!」


剣がバロウの胸を貫き、血飛沫が舞う。


黒獣王バロウは、一度大きく身を震わせ——


そのまま、ゆっくりと膝をついた。


そして——


「——グゥゥ……」


静かに、倒れた。


黒獣王バロウ、討伐完了。


「勝った……!」


騎士たちが歓声を上げ、地面にへたり込む。


息を整えながら、彼らはようやく安堵した。


エリオットは魔法陣を解除し、ヴォルフは槍を地面に突き立てる。


グレンは、バロウの亡骸を見下ろしながら呟く。


「……お前の強さ、見事だった。」


バロウはただ本能のままに戦った。


強くなるために、ただひたすら進化し続けた。


それは、騎士としての彼らと、どこか似ているようにも思えた。


「だが、俺たちも……守るべきものがある。」


この戦いで、多くの仲間が傷ついた。


しかし、最も重要な「魔核」は無事だった。


これで、帝国の未来は守られる。


「行くぞ。輸送隊を再編し、出発の準備を整えろ!」


こうして、魔核の輸送は無事に再開される。


彼らがたどり着く先に、


- *「機械人形計画の未来」**が待っている。

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