発令
グラディアの進行による壊滅的な被害を受けた帝国は、最優先で災害復興に取り組んだ。
崩れ落ちた都市、焼け落ちた大地——復興には、5年もの歳月を要した。
そして、復興が一段落したその年、帝国政府は**「決戦機動兵器・機械人形計画」**を正式に発令する。
「10年後の災厄を繰り返さないために——我々は、備えねばならない。」
帝国皇帝の宣言とともに、帝国軍・技術班・魔導工学師たちが結集し、かつてない巨大兵器の開発に乗り出した。
機械人形の基本設計には、1年の歳月が費やされた。
前例のない規模の機動兵器を作るため、技術者たちは帝国の英知を結集することとなる。
「全高は最低でも30メートル。」
「グラディアと対等に戦うなら、それ以上の巨体が必要だ。」
「歩行機構は? そんな巨体が本当に動くのか?」
「通常の魔導機構では出力が足りない。」
「ならば、魔核動力を用いるしかない。」
しかし、魔核を使った動力機関は前例がなく、軍内部でも「本当に実用化できるのか?」という疑問の声が相次いだ。
それでも、技術者たちは試行錯誤を重ね、1年かけて機体の骨格・装甲・駆動機構の理論設計を完成させた。
だが、この時点でまだ「動かせる見込み」はなかった。
動力源がない——圧倒的な出力不足に直面したのだ。
「動力問題に直面」
設計が完了しても、機体を動かすためのエネルギーがなければ意味がない。
「魔物の核では出力が足りない。」
「ならば、複数の核を使う案は?」
「魔核同士が共振を起こし、暴走する危険がある。」
通常の魔導機関では、機体の全重量を支え、武装を稼働させるだけのエネルギーを供給できない。
このままでは、機械人形計画は頓挫する。
「……だが、希望はある。」
その時、帝国南部のダンジョンで、過去最大規模の魔核が発見された。
もし、それが機械人形に適応できるのなら——
この計画は前進する。