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目覚めと雑念




心臓が握られたのではないかと思うくらいに苦しくなって、目を開けた。


ん……?目が開いた?…あれ?俺、生きてる?もしかして病院?


ぐるりと目だけを動かして見れば、白一色の天井に間仕切りのカーテン。

口元には酸素マスク。目線を横に向ければピッピッと規則正しい音を立ててモニター動いている。


少しほっとしたが、嫌な夢を見たからか、汗をすったパジャマが少し湿っている感じがして気持ち悪い。


間違いなく病院だ。俺、死ななかったんだ…。


酸素マスクをずらそうと手を動かそうとしたら、ズキッと脇腹に激痛が走った。

さっきとは違う汗が噴き出してくる。

手どころか指を動かしただけで涙が出そうに痛く、とてもではないがナースコールなんて押せやしない。

息がハッハッと荒くなっていくにつれ、モニターの音も速くなっていった。

嫌な事は続くものなのか、母や奥様(あの女)の声が聞こえてきた。


「アンタなんかいらない」「永遠に寝ていて」


頭も心もかき乱すように響き渡る声に吐き気までしてきた。

酸素マスクの中に胃の中のものをぶちまける寸前で看護師さんが入ってきた。

そこでまた意識を失った。




「丹波さん、午後の検温の時間ですよ。あと、先生は後で来るので」


のんびりとした声で入ってきた看護師さんに体温計を渡されて熱を測る少しの間、体調なんかを聞かれる。

体温の次は血圧を計り、パソコンにカタカタと入力し終わった看護師さんはさっさと部屋を出て行った。


ちなみに俺は意識を失ってから丸一日寝ていたという事を聞かされてマジでビビった。

俺は健康優良児であると自負して()()。まあ、入院している今は何の説得力も無いので過去形だが。

そして本日は目が覚めてから入院生活3日目。看護師さん、理学療法士さんも俺とは一定の距離をとる。

線引きというか、明らかな腫れ物扱いなのだ…。

病院スタッフがそんな感じなので他の患者さんとも距離がある。おかげでリハビリのときの居心地の悪さときたら…。


そんな中、担当の先生からは色々と教えて貰うことが出来た。

まず、警察は俺に事情を聞きたいらしいが、先生が俺の心身の状況によると言って断っていたらしい。

さっさと片付けたいし、母さんの事も気になっているので、俺の方は大丈夫だと言えば、とりあえずこの後警察に話をしておくとのことだ。

多分明日にでもくるだろうね、と言われて無意識に脇腹をさすった。

そして肝心な入院費など。ずっと気になっていた。しかし病院側は()の扱いをどうするべきかと悩んでいると言われた。

丹波ショウ()は未成年で全てにおいて保護者の同意が必要である。手術なんて未成年じゃなくても同意が必要だというのに、どこにも連絡が出来ない。

事情が事情なだけに個室にいるため、大部屋との差額も発生しているし、とにかく病院にいるだけで俺は貯金が減っているということだ。

母子家庭であったから、バイトが出来た。その貯金はあるが、その前に俺って保険使えんの?

不安は顔に出ていたらしく、先生はソーシャルワーカーさんも入るから大丈夫だよと励ましの言葉をかけてくれが不安なものは不安だ。

顔色が悪いと言われ、話しはここで終わった。

先生が出て行き、ドアが閉まるとともに急に孤独感に襲われた。


ごそごそと布団の中に潜り込み、体を小さくして抱き込みたかったが脇腹が痛くて断念した。

結局、仰向けの状態で胸の前で腕を交差するに落ち着いた。

これ、ファラオじゃね?と余計なことを考えられるくらいには俺の神経は図太いみたいだ。


のんびり ちんたらと書いております。

誤字脱字などありましたら教えて頂けると助かります。

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