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安楽椅子ニート  作者: お赤飯
95/141

風習 噂編

D「あ、どうも。お待たせしました。お久しぶりです。」

男「お久しぶりです。」

D「マネージャーさんは?」

男「ある程度、話は聞いているとの事で、別の現場に。話だけなら僕だけでもご対応できる、との事で。」

D「あ、そうですか。・・・・じゃ、これ、今回の企画書なんですけど。唐沢さん。どうぞ。」

唐沢「ありがとうございます。」

D「あの、今回、企画しているのが、いわゆる特番のホラー企画でして。廃村になった村に行って、レポートしていただく、というVTRコーナーです。」

唐沢「はぁ。」

D「ここにも書いてあるんですが、唐沢さんと一緒に、売り出し中のアイドルの子も同行します。」

唐沢「二人レポートで、よろしいんですか?」

D「まぁそうなんですけど、まだ、このアイドルの子が、ロケ慣れしていないって事もありまして、ええ。唐沢さんに頼ってしまう部分が多々、出てくると思うんですが、ああ。その点、ご了承いただけたらと思うんですが。」

唐沢「僕がメインで、アイドルの子がアシスタント、みたいな感じで考えてよろしいんですか?」

D「・・・私が想定しているのは、唐沢さんがメインで、アイドルの子は、賑やかし。ワーキャー言ってもらえればいいかなって思っています。本人にも、そう伝えてあります。唐沢さんに頼ってくれていいと。」

唐沢「井口さん・・・。それはちょっと。」

D「いや、あの、唐沢さんに負担がかかるのはホント申し訳ないと思うんですが、実際、たぶん、使えないと思うんですよ?だったら最初から、唐沢さんに全回しお願いしちゃった方が、うまくいくかなって思いまして。」

唐沢「・・・進行、飛んじゃっても、後で文句言わないで下さいよ?」

D「あ、それはもう。ロケですから。アクシデント大歓迎で。」

唐沢「大歓迎でも困りますけど。・・・あと、確認ですけど、ドッキリとか、ネタを仕込んでいませんよね?あくまで、その、廃墟?でしたっけ、そこのレポートだけ?」

D「それはもちろんです。・・・今は、下手に仕込むとバレますし、シラケるんですよ。だったら、ゴキブリが出たとかの方が盛り上がるんですよね。・・・テレビも変わりましたよね。」

唐沢「なにがウケるか分からない時代ですもんね。じゃ、仕込みは無し。まぁ、その、その時のアレをレポートすればいいだけですね?」

D「はい、そうです。」

唐沢「こんな事、言っていいのか分かりませんけど、アイドルの子、見せ場あるんですか?ただ、廃村についてくるだけじゃうま味がないでしょ?」

D「テレビの露出も大事なんでしょうけど、こちらとしては、今のアイドルの子って、SNSのフォロワーが尋常じゃないんですよ。そういう層をこっちに取り込めないかっていう意図もあるんですよね。製作としては。・・・そういえば、唐沢さんはSNS、やらないんですか?」

唐沢「僕ですか?正直、メンドくさいじゃないですか。僕、アイドルでもないし。・・・下手にやっていると、アンチの巣になるから、事務所公式の奴だけです。全部、お任せ。」

D「もったいない。」

唐沢「・・・よく言いますよ? あんなのはアイドルが客集めの為にやっていればいいんですよ。」

D「それで、あの、夜が本番なんで、収録後、ホテルへ移動になります。もし、唐沢さんの予定が次の日、埋まっているのであれば、新幹線の手配もいたします。」

唐沢「ああ、そうですね。それはマネージャーに確認してもらわないとですね。まぁ、できれば、その日は、泊ってゆっくり帰りたいなぁ。でも、本番は9時くらいでしょ?」

D「そうですね。8時から9時くらいスタートです。10時バラシ予定で。」

唐沢「入りは?3時くらいでいいんですか?」

D「はい。そうです。5時くらいに、リハ。明るいうちに、リハしておこうと思っています。」

唐沢「わかりました。じゃ、あとは、マネージャーと相談してお返事させて頂きます。」

D「ありがとうございます。」

唐沢「・・・井口さん。もし、僕がナガレちゃったら、誰、使うんです?参考の為に、・・・・ちょっと、教えて頂けたら?」

D「はぁ。・・・・・バーブー長野さんを、」

唐沢「バーブーさんねぇ。・・・・なるほど。わかりました。回し前提って事ですね?はあ。なるほど。アイドルと絡ませてもスベらないですもんね。」

D「でも、第一候補は唐沢さんです。なにより俳優で、しゃべれる人って唐沢さんぐらいじゃないですか。なによりアイドルと並んで絵になるし。私、そこ、重要視してるんです。」

唐沢「そこは、有難く頂戴させて頂きます。ところで・・・井口さん。その、廃村。廃村のレポートとおっしゃってましたが、どういういきさつで、そこに決まったんですか?レポートするのはやぶさかではないのですが。」

D「実は、検証を兼ねておりまして。」

唐沢「検証?」

D「ええ。ホラー特番とお伝えしたじゃないですか。そのミニコーナーだと。実はユーチューブで話題なんですよ。その村。呪いの村だとか。それで」

唐沢「・・・呪いの村?」

D「本当に呪いがあるか、唐沢さんに検証していただく、と。そういう企画です。」

唐沢「呪い? 呪いの検証?」

D「ええ。私は呪いなんて信じていません。ですから、その廃村を散策して、レポートすると。ユーチューブがデマだった、っていうような台本で行こうかと思っています。」

唐沢「大丈夫なんですか? 本当に呪われたりしないんですか?」

D「はは。唐沢さんは呪いなんて信じているんですか? あんなのデマに決まっているじゃないですか?再生回数を上げたいだけのデマですよ? だってあれ、ユーチューブって再生回数でお金、入ってくるんでしょ?」

唐沢「そうかも知れませんけど。 まぁ、ちょっと、見てみて下さいよ。これ。その動画です。」




ユーチューバー「御用だ、御用だ、御用だチャンネル!鬼のへぇ~そぉ~?、こと、へぇーそぉーです。今日は掲示板で話題の、”呪いの村”にやってきました。実は、この村、もう既に人は住んでおらず、廃墟となっております。じゃあ、早速、村の中を歩いてみましょう!

この村、あまり、言うとバレてしまうので言えないんですが、中国地方の山間部にあります。地元ではかなり有名だったみたいですね。

”生け贄”の村、という事で。

この現代。この科学が発達した現代においても、その、生け贄の風習があったらしくて、人の血が多く流れたと、言う事です。 へぇ~そぉ~?へぇーそうなんです。

やっぱり、どことなく不気味ですよね。 ま、人がいないから不気味っていうのもありますけど、廃村になってから、かなり時間が経過しているようですね。

じゃ、へぇ~そぉ~の補足情報コーナー!

どうして”呪いの村”なんて言われているかと言うと、一説には、生け贄の呪い。そりゃそうですよね、生け贄にされたら恨みもしますよ。生け贄になった人に、村が祟られて、村が滅んでしまった、という話がある一方、

生け贄をやめてしまったから、神様に村が呪われてしまった、という説もあるようです。へぇ~そぉ~?

生け贄の方から考えれば当然ですよね。祟りがあるから、生け贄を捧げるわけで。生け贄を捧げなくなったら当然呪われますよね。ボクにも分かります。その、生け贄をやめてしまった、という理由が、村人がいなくなってしまったからだ、と掲示板には書いてありました。

村人、どこに行っちゃったんでしょうね?そこも気になりますが。

だんだんと、村の中央まで、やってきました。本当に、草とか木が生い茂ってますね。うわぁ。あ、虫、虫、虫! ああ、スプレーしたのに。 あ、あ、あ、虫、多いな。

ちょっと大きな家ですね。

入って見ますか?ちょっとだけ、おじゃましてみましょう。

ん?

なんか、いま、聞こえました? あとで、確認してみましょうか。とりあえず、お宅の中に入ってみましょうか。ガラスが散乱してますねぇ。危ない。危ない。ほんと、危ない。

おお。つい最近まで人が住んでいたような、感じすらしますね。


誰かいる? 誰かいる?


おい!誰かいるのかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!

失礼しました。

今、人の気配がした気がしたので。

怖いなぁ。こんな廃墟に。

人間が一番、怖いですけどね。廃墟で他の人と、ユーチューバーと会ったりするのが一番怖いですよ。ネタかぶりもそうですけど、人がいないの前提でやってるのに、人がいたら。

確かに、今、誰かがいた気がしたんだけどな。


音した?今、音した?

聞こえる。今、聞こえた。聞こえた、聞こえた。聞こえた。唸ってる、唸ってる、唸ってる。出よう、出よう、ここから出よう。

おおおおおおお おおおおおおおお おおおおおおおおお

なんなんだよ、なんなんだよ、動物?動物? 動物の声?


熊とか猿だったら、マズイなぁ。


あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


威嚇。威嚇。まずい、まずい、まずい。 とりあえず、車、車、車。

え?

え?えええ?

え?

エンジン、かかんねぇよ! エンジン、かかんねぇよ! どうしたんだよ! おい、かかれよ!

まずいまずいまずいまずい!

バッテリー? バッテリーあがっちゃった?


ああああ?


あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


電話、電話、電話、電話、ジャフ、ジャフ、ジャフ、

圏外? うわぁくそぅ 圏外かよぉおぉぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉっぉぉおぉっぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉ!


誰か見てる!誰か見てる! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! うわぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」




D「どうです?」

唐沢「あの、これ、本物ですか?」

D「どう見たって冗談でしょ? 何も映ってないし、何も音も聞こえないし、このユーチューバーが勝手にビビってるだけで。こうやって煽って面白がって再生回数を伸ばしているですよ。いかにもB級ホラーじゃないですか。カメラ、ブレブレで。いかにも緊迫感がありそうな演出。」

唐沢「ま、井口さんの言いたい事はわかりますが。」

D「でしょ?こういうの流行ってて、再生回数増やして、金、稼いで、バカみたいですよ。ですから、我々は、実際、この村に行って、デマだっていうのを検証しようと、そう思っています。ホラー企画にちょうどいいし。」

唐沢「あの、この動画はどうやって、アップされたんですか?」

D「どうなんでしょ?本人が動画ファイルをアップしたから、こうやってアップされているんだと思うんですけどね。」

唐沢「じゃ、この後、無事、村から帰れたと?」

D「そうなんじゃないんですか?分かりませんけど。この人じゃないし。」

唐沢「あの、霊能者っていうんですか?お祓いできる人、呼ばなくていいんですか?」

D「嫌だなぁ、唐沢さん、及び腰じゃないですか?この世に呪いなんてある訳ないですよ? 特に何かある場所じゃないですから、唐沢さんとアイドルで、夜中、歩いている映像を撮って終了です。一応、村のいきさつは、撮るつもりですけど。台本はそれくらいですかね。あとはフリーです。」

唐沢「・・・・どっちにしても、マネージャーと相談して、ご連絡差し上げます。」

D「唐沢さん、ぜひ、前向きにご検討下さいね。特番ですから、我々も力いれて頑張りたいと思っているんで。ぜひ、よろしくお願いします。」

唐沢「ええ。」




唐沢「おはようございます。おはようございます。」

D「唐沢さん、おはようございます。ご紹介しますね。こちら、アイドルグループ、チープドリーミンの夢我ちゃん。」

アイドル「おはようございます。あの、本日、ご一緒させていただきます、チープドリーミンの夢我です。よろしくお願いします。」

唐沢「こちらこそ、よろしくお願いします。井口さんから話は聞いてます。あまり、堅苦しくならないでやりましょう。」

夢我「ありがとうございます。まだ、テレビとか、あんまりやった事なくて。・・・唐沢さんにはご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします。」

唐沢「大丈夫。大丈夫。収録だから。あとから、どうだって編集できるから。そうですよね、井口さん。」

D「それはそうなんですけど。なるべく、ドキュメントタッチで、NGなしで撮ろうと思っていますんで。」

唐沢「ざっと本、読みましたけど、そんなハプニングが起きるような場所もなさそうですし。淡々とした感じになっちゃいますけど、大丈夫ですか?」

D「見せ場は、廃屋と、お寺でしょうか。その絵だけで、取れ高、稼げると思うんですよね。」

唐沢「・・・そのお寺、大丈夫なんですか?」

D「至って、普通の、使われていないお寺です。雰囲気があるってだけで、どこにでもあるお寺ですよ。」

唐沢「そりゃそうかも知れませんが。どこのお寺だって、夜、行けば、そりゃ怖いのは当然かも知れませんけど。」

D「実は唐沢さん。この夢我ちゃん。オバケが見えるんです。」

唐沢「え?」

D「一応、グループで、心霊とかホラーとか、超常現象の担当なんですよ。」

唐沢「え?今、アイドルってそういう風になってるの?」

夢我「いや、あの、ちがうんです。一応、ホラー担当?って事で、やっているんですけど。」

唐沢「そういうキャラ設定なの?・・・そういうの聞いちゃマズいのかな?マネージャーさんに確認とった方がいい?平気?」

夢我「キャラを作っているとかじゃなくて、私、霊が見えるんですよ。あ、いつもじゃないですよ。波長っていうか、霊と波長があった時だけっていうか。だから波長が合わないと全然、見えないっていうか。」

唐沢「ああ、そういう人、たまにいるもんね。はは、そうだね。」

夢我「ホントなんです! 霊が見えるってだけで、それで何が出来る事もないので、キャラも弱いんですが。」

D「これで夢我ちゃんがお祓いとかできたら、ね。最高なんだけどね。・・・・あ、お祓い、そういうカット、撮っちゃおうか?」

夢我「え?いや、でも、それは、」

D「雰囲気だけでいいんだからさ。お祓いのシーン、撮ろう。」

唐沢「井口さん。・・・・・あんまり、こういう所で悪ふざけしちゃうと、流石に、マズイんじゃない?」

D「夢我ちゃんが、祓いたまえ~祓いたまえ~って言っているだけでいいんだからさ。それで、何が起こる訳じゃありませんよ? 起きるんだったらもう起きてますよ。我々朝から入っていますから。ま、夢我ちゃん。マネージャーさんと相談してくるから。」

夢我「・・・・・あ、ああ、はい。」

唐沢「夢我さん。僕も出来る所はフォローするから。・・・・そんなに深刻に考えなくても大丈夫だから。」

夢我「・・・・ありがとうございます。」

唐沢「あと、夢我さん?それとも、夢我ちゃん、どっちの方が、いいのかな?ほら、夢我さんのキャラクターとか、あると思うから。どうしよう?」

夢我「そうですねぇ・・・・。”ちゃん”の方が、いいかな、と思います。」

唐沢「それじゃ夢我ちゃん、で。」

夢我「本当、あの、今日、唐沢さんで良かったです。なかなか、歌を歌うのと、テレビが勝手が違うので。」

唐沢「それはお互い様だよ。こんな、こんなって言って申し訳ないけど、こんな、誰が喜ぶのか分からないロケでも呼んでもらえるんだから。僕、ここだけの話だけど、・・・こういう、怪談話みたいな事、何が面白いのか理解できないんだよ。それに、あんまり、馬鹿にするっていうか、冗談も程があると、ダメな気がするんだよね。古い人間でごめんね?」

夢我「そんな事ないです。私も、テレビに呼んでいただけるだけラッキーだと思っていますから。・・・・でも、お祓いは、やり過ぎかなぁっと思うんですよね。やった事ないし、」

唐沢「コスプレ?・・・・コスプレみたいなもんだと、井口さんは考えているんだとは思うんだけどね。たぶん。」

夢我「私もそう思うんですけど、」

唐沢「僕から言ってあげようか? あんまりやりたくなって。」

夢我「あ、ああ。ああ、いえ。・・・・カッコだけするなら、別に嫌じゃないんですけど。バカなアイドルが、お祓いゴッコしてる、くらいにしか見られないとは思うんです。そういう役回りだからそれでいいんですけど、ただ、本職の人とか、そういう人が怒らないかなぁって。そっちなんですよね。」

唐沢「だよね。だよね。僕もそっちなんだよ。ロケするのは悪くないんだけど、冗談で済まなくならないか、それだけが不安なんだよね。」

夢我「唐沢さんでも、そうなんですね。」




D「じゃ、カメリハ、お願いします。」

唐沢「お願いします、お願いします」

夢我「お願いします」

D「立ち位置、こちらで。はぁい、3、2・・・」

唐沢「本日は、現在、掲示板で話題になっている、噂の廃村にやって参りました。唐沢です。それから」

夢我「あなたの夢を叶えちゃえ! チープドリーミン ホラー担当、ホラホラホラ! 夢我です、よろしくお願いします。」

唐沢「夢我ちゃん、よろしくお願いします。」

夢我「お願いします。」

唐沢「場所は明かせませんが、山間部にある廃村ですが、けっこう遠かったですね。」

夢我「だいぶ新幹線に乗りました。」

唐沢「インターネットの掲示板は、見た?」

夢我「見ました! 呪われた村だとか、生け贄の村だとか、ちょっと信じられない話題でした。」

唐沢「夢我ちゃんはホラーに造詣が深いと聞いてるけど、夢我ちゃんは、率直にどう思った?」

夢我「呪い、祟りの真偽は、分かりませんが、現代で、生け贄の風習があったなんて、驚きです。」

唐沢「そうだよね。今回は、現地で、噂の検証をしていきたいと思います。」

D「はい、OK! 唐沢さん、完璧です!夢我ちゃんもそれでいいよ。」

夢我「ありがとうございます。」

D「じゃ、次は移動して、先に、お寺でカメリハ、やっちゃいましょう。」



D「改めまして、カメリハ、3・2・・・・」

唐沢「では、移動してきました。村の、外れにあります、お寺と思われる場所です。とても、雰囲気がありますね。」

夢我「草も生え放題で、鬱そうとしていて、仕事じゃなかったら、来たいとは思えないです。」

唐沢「それは同感。ははは。境内を少し、散策してみましょう。夢我ちゃん、足元、気を付けてね。」

夢我「草で足元が見えづらいです。」

唐沢「廃村になったからとは言え、人の手が入らないだけでこんなに荒れてしまうもんなんだね。もう、本堂の壁も落ちてるし。当然、瓦も落ちてる。まぁ、危ないから、これ以上は近づかない様にしよう。」

夢我「そうですね。幽霊とか、そういうの前に、怪我しちゃいますもんね。」

D「唐沢さん、ちょっとだけ、中、入りましょうよ?」

唐沢「・・・井口さん。台本には境内のリポートってありますよ?中、入る、許可、もらってあるんでしょうね?僕、不法侵入とか嫌ですよ?」

D「あ、ああ。後で取りますよ。まだ、放送まで時間があるから、事後承諾で。」

唐沢「もし、撮影許可が下りなかったらどうするつもりなんですか?お蔵入りですか?」

D「撮るだけ撮りましょうよ。流せるかはまた後で考えればいいんで。」

夢我「井口さん・・・大丈夫なんですか?」

唐沢「うちは、事務所的に、危ない橋、渡れないんで。」

D「そんな事、言わないで下さいよ、唐沢さん。」

唐沢「マネージャーに聞いてもらってもいいですよ?うちは許可出さないんで。・・・いい?井口さん。タレントが不法侵入して、それでバッシング受けたら、タレント生命終わりなんですよ?井口さんはいいけど、僕のタレント人生、こんな所で棒に振りたくないので。」

夢我「私も、・・・同感です。」

D「・・・最近のタレントは度胸が無いっていうか、すぐ法律法律、言うし。だから使いづらいんだよ。」

唐沢「あのねぇ、井口さん、そういう問題じゃないでしょ?」

D「どうせ人が見ていないんだから関係ないでしょ? 俺はねぇ、遊びで来てるんじゃないの?こんな田舎の山の中に! ミニコーナーだからってナメてもらっちゃ困るんですよ?唐沢さん?」

唐沢「ナメてないし、むしろ、ナメてるのは、井口さん、あなたの方でしょ?」

D「何言ってんだ、あんた、」

夢我「ちょっ、ちょっと、ちょっと、」

D「夢我ちゃん、アンタも売れたいなら、少しは我慢して、こっちの言う事を聞いたら?別に脱げとか言ってる訳じゃないのに、さぁああ?」

夢我「いや、ちが、あ、あれ、あれぇぇぇ!」

唐沢「どうしたの?」

D「なに?」

夢我「あれ、あれ、そこ、本堂の中に、人が、人が、」

D「人?」

唐沢「カメテでもやってるんでしょ?」

D「やってる訳ないでしょ? ハンディ2台しかないのに、」

唐沢「じゃ、誰?」

D「知らないですよ。まったく、リハ中なのに。おい、誰だ! まだ、タレントが入らないってゴネてんだぞ?」

唐沢「ゴネてないでしょ?」

夢我「あそこです、あそこ!」

唐沢「井口さん、勝手に入っちゃマズイって言ってるでしょ?」

D「入らなくちゃ確認のしようがないじゃないか、何、言ってんだ、あんたは。 おい!誰だ!誰か、いるのか!おい!・・・・・夢我ちゃん、誰もいないよ?まったく、人騒がせだなぁ。あ、」

唐沢「どうしたの?」

D「何か、落ちてるんですよ。ああ、社員証?」

夢我「あの、それ、・・・・・マネージャーさんのです、私のマネージャーの・・・・・・・・・・・」

D「夢我ちゃんのマネージャー? タレントが入らないって言ってるのに、マネージャーはズカズカと本堂の中に入って。おたくの事務所も呑気だねぇ?」

唐沢「・・・そう言えば、ずっと夢我ちゃんのマネージャーを見てないんだけど?」

D「ああ、そうそう。夢我ちゃんのお祓いで相談に行ったら、いなかったんだよね。」

唐沢「いない?」

夢我「私、てっきり、井口さんとずっと相談しているのかとばっかり・・・・」

D「いや、知らないよ?」

唐沢・D・夢我「!」

唐沢「今、人が動いた!」

D「誰だ! 誰かいるのか! いるなら、出て来いよぉぉぉおおおおおお!」

夢我「嫌ぁ嫌ぁ嫌ぁ」

唐沢「マズイって井口さん! 勝手に入っちゃ!」

D「そんな事、言ってられないでしょ? おい!いるなら返事しろ!顔出せぇぇぇぇぇぇぇええええええ! おい、こら!」

唐沢「井口さぁぁん!」

夢我「待って、待て、一人にしないで!」

唐沢「うわぁ、床もボロボロだ。こんな所で撮影なんか出来るか!」

D「入って来ないんじゃなかったんですか?」

唐沢「だからそんな事、言ってる場合じゃないって言ってるでしょ?」

D「おい! 誰か、いるのか!・・・・誰もいないじゃない?」

唐沢「でもさっき、人が動いた気配がしたじゃない?井口さんだって見たでしょ?」

D「見てないけど、気配はしたのは感じたよ。」

夢我「もう出ましょ?」


ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・


唐沢・D・夢我「!」

夢我「なに?」

唐沢「遠吠えだ。野犬がいるんだ!」

D「じゃ、さっきの人影は野犬だったんですか?」

唐沢「野犬なら分かるでしょ?」

D「夢我ちゃんのマネージャーは、野犬にやられたって・・・・」

唐沢「そうとは言ってないけど、」

夢我「嫌、嫌、嫌、嫌、」

唐沢「遠吠えはまだ遠くだ。すぐには来ない。とりあえず、バスまで戻りましょう。安全を確保できなきゃ撮影だって、出来ないでしょ?」

D「それは、こっちが決める事だ。野犬の遠吠えじゃないかも知れないじゃないか!」

唐沢「どう聞いたって遠吠えでしょ?」

D「知らないよ? 唐沢さん、あんた、山に詳しいの?」

唐沢「詳しかないよ?でも、ここ、山だよ?山であんな鳴き声がしたら、野犬か、そうじゃなくたって獣の類だろう?」

夢我「・・・・オオカミ?」

D「あのねぇ、夢我ちゃん。オオカミは全滅してるの。流石にオオカミじゃないよ。もっと勉強した方がいいよ。」

唐沢「野犬も狼も似たようなもんでしょ? とりあえずバスに戻ろう。」

夢我「・・・・はい。」

D「ったく、人影だって、あれも何だったんだよ? !!!!」

唐沢「・・・・なに?井口さん。」

D「人だ! 人!」

唐沢「おい、待てって! 井口さん、どこ行くんだよ?」

夢我「危ない!嫌、」

唐沢「ああ、もう、あの人は勝手なんだから。」

夢我「戻りましょ、バスに。戻りましょ、・・・・・もう、気味悪いし。」

唐沢「でも、夢我ちゃん。君のマネージャーさんの社員証が落ちてたし、探さない訳には・・・・」

夢我「嫌です、嫌、戻ってから、安全な所で、考えましょ・・・・・」


ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥウゥ・・・・・・・・・


唐沢「また遠吠えだ。」

夢我「急ぎましょ」

唐沢「待ってよ、夢我ちゃん!」




夢我「あれ、あれ、あれ、」

唐沢「待ってよ、夢我ちゃん。」

夢我「あれ、あれ、唐沢さん。」

唐沢「え? は! えぇぇ? なんだよ、これ、はぁ?」

夢我「荒らされてる・・・・。」

唐沢「滅茶苦茶だよ、これぇ。機材も、荷物も、ああああああ。」

夢我「唐沢さん!」

唐沢「え?」

夢我「ダメです。ロケバスも、中が、滅茶苦茶にやられてる?」

唐沢「嘘だろ? はぁ! えええ? どうなってんだよ、これは?」

夢我「やっぱり、やっぱり、本当だったんですよ、呪いの村っていうのが。来ちゃダメだったんですよ・・・・」

唐沢「・・・・呪いなんてある訳ないじゃん。迷信だよ?そんなの。」

夢我「だって、マネージャーさんも帰って来ない、井口さんだって。・・・・ここは呪われているんですよ。」

唐沢「今更、ここで、呪いがどうとか議論したってはじまらないよ。ここにいれば安全だから。・・・・そのうち、ディレクターもマネージャーも帰ってくるよ。」

夢我「あの、動画。見せられた動画、あれ、井口さんはインチキだって言ってたけど、あれ、本物だったんですよ。きっと、そうですよ。私達も、あの人みたいに、なっちゃうんですよ。」

唐沢「馬鹿な事、言わないでよ。あんなの幾らでも作れるよ。素人だって作れる動画だよ。」


ウウウウウウウウウウウゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夢我「また唸ってる・・・・・・」

唐沢「いくら野犬でもバスの中までは入って来られないよ。」

夢我「あれ、本当に野犬なんでしょうか?」

唐沢「井口さんみたいな事、言わないでよ。」

夢我「呪われて死んだ人の霊なんじゃないでしょうか? だって、おかしいじゃないですか、野犬だったら野犬の気配がするし。あれ、犬の遠吠えじゃないですよ!人ですよ、人! 人の遠吠えですよ!」

唐沢「そんな馬鹿な。」

夢我「嫌あぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁ」

唐沢「夢我ちゃん」

夢我「私、本当は来たくなかったんです!でも、テレビにちょっとでも映ればSNSで話題になるし。」

唐沢「まあ、落ち着いてよ、夢我ちゃん。僕だって、こんなヤラセみたいな企画、好きじゃないよ。僕もちょっとでもテレビに映れば、次の仕事に繋がるし、超常現象なんて信じてないし、驚いたフリするだけでテレビに出られるんだから、そんな感じで、来ただけだから、怖がる必要はないんだって。」

夢我「おかしいじゃないですか、荷物が荒らされているし、ここの中だって、絶対、おかしいですよ!」

唐沢「荒らされているのは問題だけど。カラスとか熊の仕業かも知れないし。こんな山ん中なんだから、何もいないって思う方がおかしいんだよ?山の動物に警戒するべきだよ。」

夢我「熊?」

唐沢「人間より、霊より、熊の方が怖いけどね。ははははは。熊が出たら殺されちゃうよ。はははははははは。」

夢我「じゃあ、私のマネージャーさんは熊に襲われた可能性も・・・・」

唐沢「否定は出来ないけどね。熊は雑食で、何でも食う。ほら、こういうスナックだって食べるし、人間だって、人間の味を覚えたら、人間を襲うって言うし。熊とか野犬とか、とんでもない山だよ。まったく。・・・・少し、様子を見よう。ディレクターがいないんじゃ、撮影も何もできやしない。あのさ、夢我ちゃん。」

夢我「はい。」

唐沢「ほら、グループで、ホラーとか心霊現象の担当なんでしょ?」

夢我「ええ、まあ。・・・役回りです。」

唐沢「本当に見えたりするの?・・・・その、幽霊とか?」

夢我「あ、ええ。まぁ。」

唐沢「・・・本当に?キャラづくりとかじゃなくて、本当に?」

夢我「ああ、ええ。まぁ。はい。・・・波長っていうか、体調の波長が合っちゃったりすると、見えるんです。いつも見える訳じゃないんです。」

唐沢「波長ねぇ。」

夢我「自分の波長と合う幽霊しか、見えないんですけどね。」

唐沢「ああ。そうなんだ。じゃ、目の前の、コレは、見えていないんだね。」

夢我「これ?」

唐沢「・・・夢我ちゃんは、調子によって、幽霊が見えたり見えなかったりするんだろ?」

夢我「波長です」

唐沢「俺に見えてて、夢我ちゃんに見えないって、・・・・・」

夢我「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」



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