タケシ、ドラゴンを救出しに行く
タケシがガビンたちと交流し始めて数日、ガビンが訪ねてきたが何やら神妙な顔つきだ
「どうした?何かあったのか?」
「はい、大変言いづらい事になりまして・・・」
ガビンはおずおずと言いにくそうにしている
「どうした?」
「タケシ殿がこちらに住まわれるようになって数日、毎日女神様にはお祈りされているのでしょうか?」
「そりゃしているぞ?安全な場所が確保できるのもあの女神像のおかげなんだからな?」
「そうですか・・・実はですね、今島全体が浄化されようとしています・・・」
「ん?どう言うことだ?」
俺は説明を求める
ガビンが言うに先日島全体に住み着いている魔物が集まって会議をしたそうだ、その場で話し合われた内容が、今島全体が浄化されている問題なのだった、女神像は島に4体ありタケシが祈る事で4体がお互いに共鳴しあって浄化が促進されたらしい、浄化自体は瘴気が抑えられて凶暴化する仲間がいなくなるメリットがあるが、デメリットとして浄化されてしまった状態だとマナが上手く取り込めず魔物たちが住めない土地になってしまう事がある、そこで原因であるタケシをどうするかとの議題になったそうだ、そこで住めなくなる事を考えると凶暴化のリスクはあるが瘴気が濃いままの方が良いのではとの意見が多数を占めタケシに祈りを辞めさせても女神像の勢いが抑えられなければ、原因を作ったタケシを排除するしか無いのではとの意見でまとまりかけているとの事、
「おいおい、なんか知らないところで俺殺される流れになってないか?・・・・浄化がなくなっても瘴気が島全体を覆ったら?」
「もちろん私たちは反対していますが、浄化より瘴気の方が今までは進行が遅かったのです」
ガビンたちゴブリンは反対意見を言ってくれていたが、抑えるにも限度があるようだ
「一番良いのは、マナが正常な状態である浄化と混ざり合った状態に戻れば皆納得する事で、それにはドラゴン様が復活して昔に戻る事なのですが、今どのような状況にあるのかが確認できません」
「あぁ山のドラゴンか・・・ガビンたちは瘴気が出ている山には近づけないんだったな・・・」
昔はドラゴンがマナを調節して一番良い状態を保ってくれていたそうだ
「そうです・・・そこで提案を今日はしようと思ってやってきました」
ガビンは決心したような顔を俺に向けてくる
「どうやらタケシ殿は女神様の祝福を受けておられるようです、この浄化された空間を居心地が良いと言っている事がその証拠になります、多分タケシ殿は人間で言うところの神官に類する力があります」
ガビンは驚いたことにただのトラックドライバーである俺が神官の力があると言ってきた
「いやいや、俺にそんな力はないよ?」
「いや、確実にその力がおありです!!」
即答だった・・・・
「・・・まぁ・・・とりあえず話を進めよう・・・」
「はい、その力があるタケシ殿ならあの山に行ってドラゴン様がどのような状態になっているのかを確認できると思います、どうか今どのような状況になっているのかの確認とできる事ならドラゴン様を復活させてくれないでしょうか?」
とんでもない事を言い出した、俺に山に行ってドラゴンを復活させろとは方法もわからないのに・・・・ぶっちゃけ丸投げだ・・・・
「一人で?・・・」
冷ややかな目をガビンに向けながらタケシは尋ねてみる
「私たちは近づけませんので・・・・」
ガビンは申し訳なさそうにそうおずおずと言った
「それにもしもドラゴン様が復活して島全体が昔のように戻れば、魔物だけではなくタケシどのにも多大な利益になります」
「そうなの?・・・」
冷や汗をかきながら尋ねた俺にガビンがいう
「はい、もしそうなれば魔物たちからは島に受け入れられるでしょうし、山が復活すれば、タケシ殿が欲しがっていた貴重な鉱石が取れます」
そうだった、今満足な道具がないのも鉱石がないからだ、道具が作れればもっと生活が豊かになる、俺はこの世界で必ず生き残ると決心したのだ。
「・・・わかった、行ってみる」
俺は決心を新たに、山に行くことを決めた!!!
・・・・というか、実は山には一度行って登頂しているのだ、そんなに瘴気が濃いとは思わなかったが、あの山のどこかにドラゴンの棲家のようなものがあるのか?
「そうですか!!ありがとうございます!!それでは出発は七日後、島全体の各種族から一番の戦士を選出して行けるところまではお供します!!」
各代表にこのことを報告しに行くとガビンは意気揚々と帰って行った
「どうしたものかな、あの山にもう一度行くのはいいが、途中の獣は魔物たちが倒してくれるだろうか?前は隠れながら行って三日だったな、今度もそれぐらいは片道かかる事を覚悟して準備するか、今の問題はドラゴンをどうやって見つけるか、どうやって復活させるかだな・・・」
七日後、ガビンたちがやってきた、この世界にきて初めてみる魔物たちがいた
ゴブリン代表ガビン
リザードマン代表 ゴラン
獣人族代表 コラルド
巨人族代表 スミス
この島で、選りすぐりの戦士たちだった、他にも種族はいるそうだが、今回は少数精鋭との事だった
代表してガビンが
「お待たせしました、こちらが今回同行するものたちです」
それぞれがあいさつしてくれた
「じゃあ早速ですが向かいましょうか」
とガビンが先頭に立って歩き出した
それにしてもこの島には様々な種族がいるんだな、これまで出会わなかったのは島の反対側のエリアの集団だったり、俺が過度に敏感になり過ぎて拠点からあまり離れなかったのもあるだろう
拠点を離れて二日、魔獣たちは島の戦士たちが片付けてくれて俺はあまり何もすることがなかった、ちなみに魔物はコミュニケーションがかなりとれる、過度に恐れることはなかった、
二日目の夜、野営をしている時に、皆で雑談などをしていた
「なんか、俺がこの島に来たせいでこんな事になってしまってすまないな・・・」
と俺が言った時に、リザードマンのゴランが
「そんなことはない、タケシ殿が来てくれたおかげで、いつかは島全体が瘴気が満ち滅ぶ運命だったこの島が、今急展開を迎えている、島の長老たちは保身にばかり目を向けるが、いずれはドラゴン様の様子を誰かがなんとかしなければならなかったのだ、そこに現れたのがタケシ殿だ、これは運命のようなものだと思う」
続いて獣人のコラルドが
「そうです、もしドラゴン様が復活するなら島も昔のように戻りますし、もしそうならなくてもいずれ来ていた、島に住めなくなるという事態が前倒しになったようなもの、今まで誤魔化してきたものを、しっかり目を向ける時期が来たということです」
ガビンも
「そうですぞ、私は今までこの島が淀んだ空気に包まれていたものを、タケシ殿が台風の目となり吹き飛ばそうとしているように感じており、大変歓迎しているところなのです」
巨人族のスミスは寡黙な男だったが、目を閉じ肯定しているように思えた
「そうか、まぁ俺もこの島に来たことは運命なんだと思い、できることは協力するよ」
次の日
「では我々はこのあたりまでのようです」
とガビンが立ち止まった
「そうかわかった、ここまでありがとう」
と一同に感謝を伝えた
「どのくらいの時間がかかるかわからないから、皆は帰ってくれ」
ガビンたちはここに残ると強く主張したが、瘴気が濃いここの場所にとどまらせる事の方が心配だと俺がいうと渋々といっった感じで引き上げて行った
「さぁてと、とりあえず山のふもとまで行ってみるか」
ガビンたちを見送った俺は、山に向けて歩き出した
出てきた魔獣たちは、風チェンソーで薙ぎ倒しつつ、食べれそうな魔獣は解体しておく、今回は携帯しなければならないから、少量を葉っぱに包んで排膿に詰めておく
山にたどり着いたタケシはとりあえず山の麓を一周してみる事にした、頂上には何もなかったので、中腹から麓のかけて何かがあるはずなのだ
しばらく歩いていると、坑道らしきトンネルがあった、そこは
「これはやばいな・・・・」
坑道からは大量の瘴気が漏れ出していた、タケシでもこれはわかる、気を抜くと一気に意識を持っていかれそうになる
「多分この中に何かあるはず」
気力を振り絞りタケシは坑道に足を踏み入れた
しばらく進む、中にも魔獣が潜んでいた馬鹿デカい蜘蛛のバケモノやムカデもいた
空を縦横無尽に飛ぶ蝙蝠には手こずった、こちらは飛び道具がないのだ、襲ってきたところを切り倒すしかない、
そうタケシはこれまでで気がついていたが、ファイヤーボールなどの放出系が出来なかった
「飛び武器が欲しい・・・・」
苦労しつつ魔獣を倒し奥に進むと、少し開けた場所にたどり着いたが何もない行き止まりだった
「おいっ!これでまさか終わりなんてことはないよな?普通これだけ苦労してたどり着いたところには何かあるものだろ!」
タケシは焦る、あたりを光魔法のランタンで照らす
すると、壁に赤い何か模様のようなものが浮かび上がる、
「なんだこれ?魔法陣?」
タケシは、その魔法陣を撫でた、すると
ゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りのような音と共に壁が開く
「おお!?」