タケシ、鍛治仕事に挑戦
13
朝食を皆で食べ、持てるだけの鉄塊を持って帰路に着く準備をする、サーシャはいつも通りの調子で
「もう持てんのか?なら我がその倍を持ってやろう」
とコラルドに鉄塊を乗せていじっている
「待て待て、今道具を作るからそんな持ち方したら腰をやるぞ」
と嗜めてから森の木を一本切り倒して、適当な木材を作っていく、蔓をとってきたガビンから蔓を受け取り、組み上げていったそれは
「なんじゃそれは?」
とサーシャが聞いてくるのでコラルドで実演販売を試みる(売るつもりはないけど)
「これは背負子と言って重いものを運ぶ際に背負えるように出来ている」
とコラルドに背負子を背負わせそこに鉄塊を乗せて行く
「限界が来たら教えてくれ」
とコラルドに伝えると、10本目ぐらいに
「もうこれ以上は無理です・・・」
と言ってきたので3本減らす
「そんなに減らさなくてもの大丈夫です」
とコラルドが言ってきたので
「いやこれから、二日を歩くんだからこれでいい、手で持っていた時よりは随分楽だろ?」
そう、これからこの悪路を歩くし、途中魔獣に襲われる危険もある
「わかりました」
とコラルドも納得したようだ
次、ガビンも7本、エギル7本、俺は3本も持てなかったすみません汗
「お次はこれだ」
とサーシャに頼んで、コラルドとエギルに木の棒を肩に担がせる、そこに蔓で編んだ網を吊り下げる
「これも重いものを運ぶ際に使うモッコと言う道具だ、これはおまけで作ったものだから少量にする」
網目状にサーシャに頼んで鉄塊を乗せていく、5本ぐらいかと思ったが10本たっても何も言わないので
「おい、無理はするなよ?」
と心配して声をかけると
「こちらの方が楽なようです」
とコラルドが言う
「なら背負子を減らすぞ?」
俺は二人から2本ずつ減らしてモッコに移動する
「どうだ?」
「もう少しいけそうですが、この辺りかと思います」
二人で、背負子10本 モッコ14本 計24本の鉄塊が運べる すごいな
「次、俺とガビン」
ガビンの背負子の3本を減らし、俺の3本とモッコ6本 計11本 なんだろうこの差は 汗
とここで、じゃっかん1名地団駄を踏んで、
「我には!?」
とサーシャがのけ者にするなと、憤慨している
「サーシャは護衛だよ、この状態から戦闘になると万が一があるからな、それにサーシャにモッコを持たせて、誰か一人が何も持たずに歩ける奴がこの中にいるか?」
と皆に問おて見ると、皆被りを振っている
「な?そう言うことだ じゃあ出発しよう」
サーシャも不詳不詳ながらも女の子扱いされた事はまんざらでもないようだった
途中、魔獣の襲撃はあったものの、サーシャが難なく片付け
棲家に戻った一行は、荷物を開き今日は大いに休む事にした、まだ昼過ぎぐらいだが旅の疲れもあるので、みんなして川原でのんびりしていた、見張りのものがウサギを捕っていたので解体して、川原でバーベキューのような感じになった、リーナたち女衆が近くの森で玉ねぎのような植物を見つけたとのことだったので鑑定して食べれる事を確認する、玉ねぎを小ぶりにしたような感じのその植物はジンタマといった、食用になるので輪切りにして焼いて食べた
こうのんびりとバーベキューを楽しめるとはな、これで冷えたビールがあれば最高なんだがな、ビールじゃなくてもいいから酒が欲しい・・・と贅沢なことを考えているとガビンが
「タケシ殿、採掘してきた鉄と言うのはどのように使うのですか?」
鉄の使い方を質問してきた
「鉄か?なんでも作れるぞ、鍛治仕事の基本だからな、炉で溶かして型に流し込む鋳造か、叩いて鍛える鍛造がある、鋳造は形を作りやすいが武器などの用途には向いていない、武器を作るなら鋳造して叩いて形を作るか、そのまま叩いて鍛えるか、まぁとりあえずは道具を作ろうと思っているが?」
と鉄の使い方を説明すると
「我らでもお手伝いできますか?」
と言うので
「あぁ手伝ってもらう事はいくらでもあるから明日からまた、よろしく頼む」
翌日
いよいよ鍛治仕事をする時がやってきた、これで様々な道具が作れるので生活も向上するだろう
いつものようにガビンたちが揃って挨拶をしてくる、それからいつもの日課をこなして朝食だ
今日の朝食もリーナたちが作ってくれた、新しい食材のジンタマの塩スープにブラックベアの燻製を入れたものだが、うまかった朝食に遅れてやってきたサーシャもウマいと喜んでいる
ガビンに今日は鍛治仕事をする事を伝えると、まずガビンとコラルドが手伝いについてくれるそうだ、あとの者は見張と探索とのこと、探索チームに珍しい植物があったら少量ずつ採取してきてもらう事とあった場所に目印をつけておいてもらう事を頼む、ジンタマの時みたいに誰かが採ってきたものをあとで鑑定するためだ、どんな収穫があるか分からないからな
「朝食も済んだし、各自今日も頑張ろう!」
それぞれに返事をしつつ今日の役割を果たすべく皆が行動を開始した
「俺たちは、初めての鍛治仕事に挑戦するぞ!」
『『よろしくお願いします』』とガビンたちが答えて、一通りの手順を簡単に説明しておく、しかし今回は錬金で作り出した鉄塊なので、コークスや石灰などを混ぜて作る普通の精錬ではないので俺がいなくても鉄鉱石を鉄に精錬する技術も今度説明することにした、錬金した鉄塊はなぜか最初から炭素も良い具合に混ぜ込んだものが出来ている、たぶん錬金した時にイメージしていた鉄になるようになったのだろう、鉄は元素記号がFeだが鉄のみを純粋に抽出すると脆くなるし加工しにくいのだ、そこで鉄鉱石の中に含まれる酸化鉄つまり酸素(O)と反応した酸化した鉄から(O)を取り除く際に炭素(C)に吸着して取り除く作業が必要なのだその作業を銑鉄と言うがコークスや石灰などを混ぜ込み度合いによって鉄の炭素量が決まるのである、この作業をガビンたちに今後は自力で鉄を作る技術を教えなくてならない、いつまでも鉄塊をすぐ作る事ができないかもしれないからだ、ようはズルをした技術を教えても何にもならないと言う事なのだ、一通りの今日の作業を説明して俺たちは作業に入った安全対策も魔獣の皮で作った革手や皮エプロンなども装備する
鉄塊を土魔法で固めた容器に入れ路の中に入れる炉はレンガで作ってある、吹子がわりに手で押すことも風魔法で動かすこともできる吹子を設置してある今回は風魔法が使えるコラルドに担当してもらう炭にガビンの火魔法で火をつけてもらいコラルドに風魔法の発動を指示する、俺とガビンで炭を加えていく、どんどん火力が上がっていき炉の中の温度も1500度を超えたあたりから鉄塊が溶け始め器の中はまるでマグマのように赤オレンジのようになった
「よし、吹子辞め!取り出すぞ、気をつけろよ?」
俺たちは、竹で作った火箸で鉄るつぼを包み込むように回し挟む、ゆっくりと取り出し用意してあった鋳型の穴に注いでいく
鋳型は、粘土質の土に木で形を整えた物を押し付けて上から同じ粘土質の木枠に入った物を被せて作った
この作業を夕方まで繰り返し、今日の作業は終了だ、出来具合は明日冷えて固まった物を土を取り除いてから初めてわかる、うまく出来ていると良いのだが
離れて見学していたサーシャが寄ってきて、
「今日は終わりか?しかし鍛治と言うのも面白いものだの、鉄が溶ける事は知っておったがあんなにゆっくりと溶けるとはな、我の本来の力が戻ればあれぐらいすぐ溶かしてやるがの」
と自慢げに言ってくる
「サーシャはまだ力が本調子ではないんだろ?無理するなよ、それに鍛治って温度管理が必要だからただ溶かせば良いだけじゃないんだ」
「我だって温度管理ぐらいの手加減はできるわ!!」
と憤慨している
「まぁ手伝ってくれようとしている事はありがたいよ!」
とだけは伝えて今日は休む事にした
翌日
朝の日課をこなして鍛冶場に出向くと、すでに総出で出迎えられた、皆も相当鍛治の出来が気になるのだろう
「よし!早速見てみるか!?」
気合いを入れて作業に取り掛かる、まずは粘土の割れ目に木の杭を打ち込んで粘土を割っていく数本の杭を穿ったところで全体がバコッと割れて中から鉄の塊が転がり出た、すると皆して
『『『おお!!』』』
と感嘆の声が漏れる、俺は近づき出てきた物を確かめて
「成功だな、ちゃんとした金床だ、バリは残るがこれは後からどうとでもなる」
少し粘土と粘土の合わせ目にバリと呼ばれる余りの部分が残るが、これは後から削るなり叩くなりすれば良いことだ、今はちゃんと鉄を溶かして鋳造で物を作り出す事が出来た事が素直に嬉しかった、それから俺たちは手分けして粘土を割っていった、今回鋳造で作れた物は金床、ハンマー大小、火ばさみ、タガネ、ヤスリ、などの鍛治をするのに必ず必要な道具類だ、斧や鋸など木を切り倒す道具の原型も作ったこちらは強さが必要なのでこれから少し鍛造も必要だそのあと刃をつければ完成だ、とにかく鍛治ができる事で飛躍的に作業が楽になるはずだ
「よし、とりあえず、斧と鋸を鍛えて完成させるぞ!!」
と宣言すると、とりあえずの一大イベントが終わったからか、みんな各自自分の仕事に戻って言った
「今日も手伝いはガビンとコラルドか?」
「はい、まず我らが仕事を覚えてのち皆にやらせようと思っております」
まずはリーダーが仕事を覚える方針のようだ、しっかりしているな
俺たちは、完成させた道具で今回出来た、斧や鋸などを鍛造していったガビンが火ばさみで支えコラルドが吹子がわりだ、サーシャも火ばさみを持って手伝ってくれる、一通り不純物や歪みをとったところで、水に入れ焼き入れしたジュっと小気味の良い音が鳴ってここ!というところで取り出しまた火に焚べ焼き戻しをしてから完成だ、あとはヤスリで鋸に刃をつける斧の方は砥石で刃を付ける
「完成だな・・・ちょっと試し切りでもするか」
俺は近くの丸太を持ってきて鋸を引く、するとスルスルをスポンジでも切るかのように刃が入っていく
「なんだこれ・・・・」
思った以上の切れ味に戸惑っているとサーシャが寄ってきて
「どうした?切れているではないか?」
と不思議そうな顔で俺の顔を覗き込んでくる
「いや、これ使ってみてくれないか?」
と皆に勧める
まずサーシャに使い方を教えて、試し斬りをしてもらう、サーシャが鋸の刃を丸太に当てて引くとスルスルと刃が入っていくのが傍目で見ていてわかる
「なんじゃこれ・・・」
とサーシャが鋸を不思議そうに観察して
「なるほど・・・この鉄には少しマナが含まれておるな・・・それでこの切れ味なのではないか?」
なんと鉄にマナを含ませるとこんな事になるようだ、それはどんな原理なのだ俺は特別何かをした覚えがないが・・・
ガビンとコラルドも鋸の切れ味に戸惑っているようだ、とりあえず次に斧を試してみる丸太の上に薪用の木を持って来て振り下ろす スッと言う音なのかどうかも分からない音がして薪を真っ二つにする台座の丸太ごと・・・いやこれは・・・・
皆も唖然として見ている
「この斧は薪割りの斧としては使えないな・・・」
薪を割りたいのに台座ごと切ってしまう斧など木を切り倒す時ぐらいしか使い用がない
「どうにか性能を落とす手段を考えないとな・・・」
後日もう数本斧や鋸を作って色々試した結果、研ぐ際の力加減でどうにか性能を左右できる事が判明、マナは含まれたままだが、まぁなんとか安全に使えるものが出来た
性能を左右する事が出来たので、皆の装備も揃えたガビンたちゴブリンは剣をコラルドたち獣人は手甲爪が良いようだった、俺にも剣を一振り打って本当は日本刀などに憧れるが作り方が特殊なのでとりあえずは両刃剣にした、サーシャは大剣を所望するので苦労して両手大剣と小回りの効くショートソードを打ってやった、女衆にはナイフや調理器具を打って生活の向上も試みた、なんだかんだといろんなものを作り出していたら鉄塊が底をつきかけてきた
「そろそろ鉄塊が心許ないな・・・」
と思案しているとガビンが
「では我らで取って来ましょう先日の背負子などもありますし」
ガビンがそう申し出てくれたので
「そうだな・・・でもやはり俺も行こう、今後のために森を切り開きながら進みたい」
そうなのだ、あの道のりを二日かけていつも行くことを考えると、どうにも骨が折れるので、歩きやすくか、もしくは今後乗り物を通すことも視野に入れて道を作っておきたかった
「わかりました、今度は長旅になる事も想定して準備します」
とガビンは準備に取り掛かった
すると狩りに出ていたサーシャが遠くで手を振ってこちらに近づいてくるのが見えた、またしても一人ではなく、今度は身の丈2m半ぐらいありそうな大柄のものたち10名を連れている・・・もう慣れたが、あれは多分スミスたち一向だろうと容易に想像がつくのだった
「こやつらもここで働きたいそうじゃ」
と満面の笑みで俺に言ってくる
「・・・・タケシ殿遅れてすまない、我らもここで働きたい・・・・」
口数の少ないスミスが精一杯頑張って絞り出した言葉だった、それに否など言えるはずもないだろう、スミスたちいわく、どうも巨人族は仲間意識が強く仲間のスミスたちをここに送り出すことを長老たちに反対されていたのだとかようやく説得してここに来れたのだとか
「わかった・・・一緒にやって行こう」
「ありがたい・・・・」
とスミス一同が片膝をつき俺にコウベを垂れた
「いやいや、そうゆうかしこまったやりとりはやめろよ? そうだお前たちに武器を作ろうと思うが何が良い?」
「・・・わかった・・・俺たちに武器?・・・・俺たち武器いらないこの体ある、強いて言うのであれば大ハンマーとか棍棒?」
巨人族はその体を生かした体力系の闘い方を好むようだ
「わかった、なら大ハンマーを作ってやろう」
次の日から、巨人族の大ハンマーを作った、残りの鉄塊を利用するので柄になる部分を鉄でハンマーの部分を取り換え可能なように木製にした、これで修復なども容易いだろう
それから問題は家だ、なんせ体がデカいだけ家も巨大にならざるをえない、せっせとみなして木を切り倒してその辺りを開墾していくもちろん今後の道の事も考えた上で山方面だ、木を乾かす数日の間にガビンたちが、ついでに俺たちが使っている小屋も新しくしたいと言い出したので、俺は小屋で良いと言ったのだがガビンたちに押し切られてしまった
数日かけて、巨人族の家四軒に俺たちの住まい一軒が完成した、巨人族の家は平家だが夫婦で暮らしても広々としている、俺の新しい住居はガビンたちの建築の腕が上がった事もあり地上二階、地下一階建てだ、中央の玄関を開けると大広間は吹き抜けだ、左にキッチンルーム魔法の火で調理可能の工夫がしてある、その奥から地下にいける階段がある降りると、夏場なのに冷んやりして気持ちがいい、ここは貯蔵庫になる予定だ、大広間の反対が俺の執務室になるらしい、今の所仕事らしい仕事はないので自室かな? 二階は大広間をぐるりと六つの部屋がある
サーシャの自室に俺の寝室だ、あとは空き部屋だが、急な来客に備えてのものらしい
「新しい家も良いものだな」
「皆して頑張りました」
ガビンが感無量といった感じで満足している
「そのうち、自分たちとコラルドたちの家も新調しような?」
「は!ありがとうございます、しかししばらくあの仮住まいで大丈夫です」
ガビンはそう言うと思ったが、こいつらが仮住まいに住んで俺がこんな立派な家に住めるわけなかろうと近々こいつらの家も新調する事をタケシは心に誓うのであった




