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時事ネタ

作者: 雉白書屋

 やれやれやれ、困った困った。素晴らしい小説を書き、それを公開するに留まらず、公募に出そうなんて考えていたのだが、なんと悪いタイミングで、この現実で事が実際に起きてしまったのだ。

 そうだ、あのウイルスだ。そして、その小説の内容というのがウイルスに感染し大勢が苦しみ死ぬパニック物。しかも、その描写が我ながらよく書けていたのだ。

 この世の中、どこの誰が見ているかもわからない。大勢死者が出たこともあり、不謹慎だ! と騒ぎ立てる輩が出てくるのは目に見えている。いやぁ、そういった連中がまあ多いこと多いこと。だから泣く泣く封印することにしたのだ。

 ただ、素晴らしい小説というのはそれ一つだけではなく、地震をテーマにした小説や、政治家暗殺に、幼児性的虐待や、交通機関の事故に食中毒事件に芸能人の自殺にまた災害と、どうもタイミング悪く小説を書き上げ、さあ投稿といったタイミングで、現実で事が起きてしまうのだ。

 まあ、おれの小説など、その当事者らどころか全然、読まれもしないだろうが、いやはや、くわばらくわばら。

 まるで予知能力。お、これをテーマに……いや、つまらないな。うん。駄作の匂いがする。ああ、あるいはおれはこの世界の神で、書いたことが現実に……はい、これもつまらないつまらない。

 まあ、嘆いても仕方ないし、次はいっそ宇宙人が攻めてくるというSFパニック物にしようか。

 ……いや、それもつまらないか。だが書くだけ書いてみるか。ちょうどいい経験を得られそうだしな。リアリティがある作品を書けるかもしれん。


「おい、なにボーっとしてるんだ」


「あ、すみません。ちょっと考え事をしてて……」


「また空想か。しょうもない趣味もほどほどにしろよ。もうすぐ到着なんだからな」


「はい! えへへ、でもまあ、楽勝ですよね。えへへへ、えっと、どこでしたっけ、えへへ」


「はぁ……まあな。連中が地球と呼んでいるあの星はいいカモだ。さっさと占領し、故郷に良いニュースを届けてやろう。最近、ただでさえ悪いこと続きだからなぁ……」

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