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【コミカライズ】俺だけ余裕の異世界サバイバル ~転移先の無人島で楽しむハーレムライフ~  作者: 絢乃


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088 宇宙人

 第三拠点に場所を移し、俺は長老との話を皆に報告した。


「じゃあさっそくセコイアの傍に新しい拠点を作りましょう!」


 七瀬を筆頭に第四拠点を、という声が場を占める。

 もちろん俺も同感だが――。


「その前に一つだけしておきたいことがある」


 皆が首を傾げる中、俺は言った。


「北と東の縄張りを掌握することだ」


「「「――!」」」


「このまま俺たちが島を去った場合、西と南の縄張りは北や東との縄張り争いに勝野が難しくなるだろう。巨大ジャガーや巨大ゴリラを俺が倒したから」


「たしかに」と吉乃。


「ここのサルやゴリラが辛い目に遭うのは避けたいところだ。だから北と東も手にすることで縄張り争いを終わらせる」


 それが、西や南の動物にできる俺たちからの恩返しだ。


「一刻も早く宇宙人と接触したいのは分かるが、まずは縄張り争いの終結に協力してくれないか?」


「了解です!」


 七瀬が躊躇なく承諾。

 それを皮切りに全員が快諾して、当面の目標が決まった。


 ◇


 二週間が経過した。

 その間、俺たちは縄張り争いに明け暮れていた。


 北の森では自然に同化して奇襲してくるカメレオン軍団に大苦戦。

 しかし、赤キャベツや赤パプリカなどの赤い食材を焙煎して砕いた野菜パウダーを撒きまくることで同化を妨害して勝利。


 東の森では巨大ガエルに何度も殺されかけた。

 こちらの攻撃は背中の粘液に弾かれる上、トカゲのように舌をベローンと伸ばす攻撃に大苦戦。

 女子が食べられかけるなどの窮地もあったが、最終的には敵の攻撃を逆手に取り、開いた口に矢をぶち込んで勝利。


「今後は他の縄張りと争わぬように! また縄張りなどという意識は捨て、好きなように移動して他の動物と仲良くするように!」


 俺たちは外側の森を完全に制覇し、縄張り争いに終止符を打った。


 ◇


 いよいよ第四拠点を設営する時がやってきた。

 大号令をかけて、投入できる全ての労働力をセコイアに集結させた。


「さすがにこれだけ集まると壮観だな」


 数百頭の動物に、約400人の生徒。

 合わせると1000を超える大軍だ。


「こうして全員を集めると、人の数が思ったより多く感じるよね!」


 明日花の意見に、「だな」と頷いた。


 生徒の集団は東や北の森にもいた。

 攻撃的な森の動物に怯えて洞窟などで凌いでいたのだ。

 それらの集団と茜のグループを合わせると約380になる。

 そこに俺たち8人と兵藤たちも含めたら大体400人。

 現時点まで生き残った生徒の総数がそれだ。


「竪穴式住居の造り方は頭に叩き込んでいるな? では手分けして作業を始めてくれ! 今までで最も大きな拠点をこの草原に造るぞ!」


「「「おー!」」」


 朝から作業を始め、途中に何度かの休憩を挟み、16時頃に完成した。


 ◇


 助っ人の動物たちが解散し、俺たち人間はセコイアの周りで過ごすことに。

 約400人という数だが、誰もトラブルを起こさず仲良くしている。

 かつては暴君だった兵藤も、今ではすっかり大人しいものだ。


「なんかこういう大規模な集落も悪くないもんだねー!」


 千夏が内側の森で狩ったウサギを焚き火で丸焼きにしている。

 ウサギの口から尻にかけてを竹串で突き刺し、麻里奈の造った焼き台にセットして、ハンドルをグルグルして全面に火を通していた。


「これまでずっと8人で過ごしてきたもんなぁ」


 俺は仲間たちの近くで休んでいた。

 伏せるルーベンスの腹部を枕の代わりにして横になる。

 温かくて心地よい。


「あとは宇宙人が来るのを待ちながら過ごすだけだね!」


 明日花は今日も料理を頑張っている。

 他所のグループの女子とともに、米を炊いたり野菜を切ったり忙しそう。


「問題はそこなんだよな。第四拠点を造り、生き残った生徒を束ねたのはいいけど、この状況が長引くのは望ましくないからなぁ。できたら早くやってきてほしいものだ」


 と、その時だった。


「実はもういるんだけどね」


 突然、すぐ傍のセコイアから声が聞こえてきた。

 少年のような声だ。


「ん? 今、なんか声がしなかったか?」


「私も聞こえた!」と麻里奈。


「木から声がしたような……」


 吉乃がセコイアを指でつつく。

 すると――。


「大正解! 吉乃さん、やるね!」


 またしてもセコイアから声がする。

 さすがに今度は勘違いではない。

 兵藤や他のグループもぞろぞろと集まってきた。


「このセコイアが宇宙人だったのか」


 俺の発言を、宇宙人は「残念」と否定。


「今はセコイアから君たちを見ているけど、その気になればこの島にある全ての植物にアクセスすることが可能だよ」


「全ての植物だと?」


「すごいでしょ! ちなみに海斗さんのことは結構前から覗いていたよ!」


 陽気な口調で返ってくる。

 声質といい、相手は子供なのだろうか。


「あ、あの、結構前って、いつからでしょうか……?」


 尋ねたのは由芽だ。


「君たちがデジタルドームと呼んでいる研究施設を光らせたすぐあとから!」


「じゃ、じゃあ、夜のアレコレも……」


「もちろん! 植物以外に洞窟内のやり取りも観ることができるからね!」


 由芽の顔がカーッと赤くなった。

 同様に麻里奈や千夏など、ウチの女性陣が恥ずかしそうにしている。


「つーか、観ているならもっと早くに話しかけろっての!」


 千夏がセコイアを睨みつける。


「ごめんごめん。ただ興味があったんだ。突如として現れた謎の人類にさ」


「その言い方だと、俺たちの転移は宇宙人(あんたら)の仕業じゃないのか?」


「違うよ。でも、ログを調べた限り僕たちが原因の可能性は否定できない」


「どういうことだ?」


「君たちが転移した日、僕たちの国では大掛かりな実験が行われていたんだ」


「その実験に俺たちが巻き込まれたってことか」


「断言はできないし、通常では考えられないことだけどね。ただ、実験が失敗した日時と君たちがこの島に転移した日時が秒単位で完全に一致していることはたしかさ」


「なるほど」


 誰かが「バタフライエフェクトだ」と呟いている。

 それに対して別の誰かが「違うだろ」とツッコミを入れていた。


「どうして転移したかはさておき、覗いていたのであればこっちの事情は知っているはずだ」


「地球に帰りたいんだよね」


「そうだ。もっと言えば日本に戻りたい。できるか?」


 この問いに、少年ボイスの宇宙人は即答した。


「できるよ!」


 俺たちの顔がパッと明るくなる。

 一瞬にして誰もが日本に想いを馳せた。

 しかし――。


「ただし、問題がある」


 宇宙人の言葉を受け、俺たちの顔から笑みが消えた。

お読みいただきありがとうございます。


本作をお楽しみいただけている方は、

下の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして

応援してもらえないでしょうか。


多くの方に作品を読んでいただけることが

更新を続けるモチベーションに繋がっていますので、

協力してもらえると大変助かります。


長々と恐縮ですが、

引き続き何卒よろしくお願いいたします。

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