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【コミカライズ】俺だけ余裕の異世界サバイバル ~転移先の無人島で楽しむハーレムライフ~  作者: 絢乃


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075 懇親会

 長らく殺し合いをしていた者たちを仲良くさせるのは難しい。

 だが、俺が支配者(ボス)となったからには仲良くしてもらわねば困る。


 ということで、第二拠点で懇親会を開いた。


 南の縄張りで活動するゴリラ等の動物を呼び寄せる。

 西の縄張りでお馴染みの動物たちも交えて皆でメシを食う。


「俺が支配している限り喧嘩は御法度だからな! 互いの縄張りを好きに行き来し、必要に応じて協力するように!」


「「「ウキーッ!」」」


 サルたちは上機嫌でバナナをパクパク。

 戦争に勝った側であり、場所も第二拠点(ホーム)なので余裕が感じられた。


「ウ、ウホ……」


「キィ……」


 一方、ゴリラやチンパンジーは萎縮している。

 徐々に打ち解けるとは思うが、第二拠点(アウェー)なので不安そうだ。


「ウキキ! ウキィ!」


 そんな南の連中に対し、サルが何やら話しかける。


「ウホ、ウホウホ」


「ウキーウキキ!」


「ウホ!」


「ウキィ!」


 言葉は不明だが、何かポジティブなことを言ったみたいだ。

 ゴリラは緊張を和らげ、サルたちの輪に交じって楽しそうに過ごし始めた。

 それを見たチンパンジーの群れも「俺らも混ぜてくれ」とばかりに続く。


(この様子だと協力してやっていけそうだな)


 ホッと安堵しながら鮎の串焼きを頬張る。

 昔と違い塩をふんだんに使った最高の代物だ。

 新鮮な鮎と海水から精製した塩がよく合っている。

 レモンを搾ってさっぱりさせるのもいい。


「美味しいねー!」


「うん!」


 希美と由芽が丸太の切り株に座って食事を楽しんでいる。

 それを見ていて、あることが気になった。


「なぁ、ちょっといいか?」


 俺が声を掛けた相手はゴリラだ。


「ウホ?」


「以前、お前らの森に俺たち以外の人間がやってきたことあるだろ?」


 由芽と希美が、俺と出会う前に一緒にいた生徒たちのことだ。

 たしか50人ほどの集団だったはず。


「ウホィ」


 ゴリラは頷いた。

 どうやら「イエス」らしい。


「その人間はどうした? 殺したのか?」


「ウホッ! ウホウホッ!」


 激しく首を振っている。

 どう見ても「ノー」という意味だ。


「ならどうした?」


「ウホ! ウホウホ! ウホウホウホ! ウホ!」


「すまん、何を言っているのか分からん」


 ここの動物は人間の言葉を理解している。

 だが、俺たちは動物の言葉を理解していない。


「ウキ! ウキウキ! ウキー!」


 数匹のサルが翻訳してくれた。

 といっても、身振り手振りによる説明だ。

 何やら後ろから抱きつくような仕草をしている。


「捕まえたということか?」


「ウホ!」「ウキ!」


 ともに頷いている。


「捕まえたが殺してはいない……ということは監禁しているのか」


「ウホ!」


 これまた頷いている。


「なら解放してやらないとな。南の森を見て回りたいと思っていたのでちょうどいい。メシが終わったら監禁場所まで案内してくれ」


「ウホ!」


 まさか生きているとは思わなかった。

 巨大ジャガーなら躊躇うことなく喰い殺していただろう。

 縄張りによって人間に対する扱いが異なるようだ。


 ◇


 昼食後、俺たちは南の森に移動した。

 人間は俺だけでなく女子も全員参加で、数十匹のサルが同行している。

 他には案内役も兼ねた数頭のゴリラのみ。


「ウホ、ウホウホ」


 ゴリラが熱帯雨林をすいすい進む。

 俺たちは一列になって続く。

 トラやサイに騎乗しているので移動自体は問題ないが――。


「じめじめして蒸し暑いね」と吉乃。


「同感だ。この辺りは本当にきつい」


 ――何もなくともイライラするような環境だ。

 だが、そういう状況は長く続かなかった。


「お、ジャングルを抜けたか」


 視界に占める緑の量が減ってきた。

 

 木々の隙間から空が見えるし、大型獣が往来できる道もある。

 そうした場所には、この島で初めて見る動物が活動していた。


「ブヒー!」


「パオーン!」


 イノシシやゾウだ。

 ゴリラや俺たちを見かけると道を譲ってくれた。


「霊長類以外の動物もいるんだな」


「西の森にも戦闘に参加しない動物がたくさんいたよね」


 吉乃の言葉に、「それもそうだな」と同意する。


「ウホ! ウホウホ!」


 道を横断し、茂みを掻き分けるゴリラ。

 そんな調子で1時間以上も移動した結果、草原に到着した。


「ここにも竪穴式住居がたくさんあるー!」


 千夏が叫んだ。

 そう、草原には竪穴式住居が無数にあった。


 ざっとみて30軒程度。

 兵藤の拠点よりも数が多い。

 草原の広さに関してもこちらのほうが上だ。


「それよりも……」


 俺は集落に目を向けた。

 約200人の生徒がのんびり過ごしていたのだ。

 彼らはこちらに気づくと駆け寄ってきた。


「あ! 由芽! 希美!」


 声を上げたのは三年の女子。

 女子テニス部のキャプテンを務める篠塚(しのづか)(あかね)だ。

 ボーイッシュな見た目をしている。


「篠塚先輩ー! 生きててよかったー!」


 希美はサイから下りて茜に抱きついた。


「あんたたちこそ! ていうかサイやトラに乗ってるって何!?」


 俺たちを見て驚く茜。

 それは他の生徒も同様だった。


(えらく多いな)


 てっきり由芽や希美と同じグループの者だけだと思っていた。


「なんか自由そうだね」


 吉乃のセリフでハッとする。


「たしかに監禁されているって感じではないな」


「監禁といえば監禁になるのかな」


 と言ったのは茜だ。

 俺たちの話を聞いていたらしい。


「どういうことだ? 互いの持っている情報を交換しよう」


「それはいいけど……えーっと、君、名前なんだっけ?」


 俺の仲間たちが「プッ」と吹き出す。


「冴島だよ。冴島海斗」


「そういう名前だったんだ。ごめんね、知らなくて」


「同じクラスになったことがないから知らなくても仕方ない」


「顔は知っていたけどね」


「だろうな」


 他の生徒も俺の顔は知っている様子。

 あちこちから「中庭で火を……」みたいな話が聞こえてくる。

 誰一人として名前は知らなかった。


「立ち話もなんだから適当な家で話そっか」と茜。


 俺は「そうだな」と同意し、彼女らの集落に入った。


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