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【コミカライズ】俺だけ余裕の異世界サバイバル ~転移先の無人島で楽しむハーレムライフ~  作者: 絢乃


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073 戦争

 作戦の決行は明日ということで、今日は準備に徹する。

 俺は広場でサルに命じた。


「敵の縄張り付近に罠を仕掛けてくれ」


「「「ウキィ!」」」


「罠の場所を覚える必要があるからサルに同行してくれ」


 これはトラに対する命令だ。


「ガルルァ!」


 トラは承諾の意を込めた咆哮を上げ、数匹のサルとともに森の奥へ。


「さて――」


 今度は女性陣に目を向ける。

 明日の戦闘に備えて弓術の腕前を確かめていた。

 適当な木の高い位置にある小さい的を射抜いてもらう。


「いやぁ、まるでダメだねチミたち!」


 偉そうに「チミ」などと言っているのは千夏だ。


「千夏先輩すごすぎですよー! あんなの当たりませーん!」


「私もダメー!」


 七瀬と明日花は両手を上げて降参のポーズ。


「急に難易度が上がって辛いですね……」


「チンパンジーとの戦いを想定した特訓だからね」


 由芽と吉乃も矢を放つ。


(明日の戦いに投入できるレベルではないな)


 原則的に毎日、最低限ながら弓の練習をしている。

 それでも、実戦レベルまで仕上がっている者は殆どいない。


「千夏以外だと麻里奈と希美くらいか」


 つい思っていることを口にしてしまう。


「じゃあ残りの4人はクビ! 後ろで矢を作っていなさい!」


 腕を組んで言う千夏。


「4人じゃなくて6人だな」


「え? それって私以外全員クビってことじゃん!」


「クビという言葉は語弊がある。後方支援を担ってもらうだけだ」


「大丈夫だよ海斗さん! 私、チンパンジーに負けないから!」


 希美が大きな胸をこれでもかと張った。


「私だって頑張っちゃうよ! たまには前に出ないとね!」


 麻里奈がポンポンポンとテンポよく矢を放つ。

 どの矢も勢いがよく、彼女の腕前が窺えた。

 千夏には劣るが、麻里奈の弓術も結構なレベルだ。


「二人の気持ちは嬉しいけど、内職大臣と機織り大臣は前線に出せないな。希美には爆速で布を織ってもらう必要があるし、麻里奈にも矢の量産で頑張ってもらったほうが助かる」


「海斗がそう言うならそれでもいいけど! 必要なら頼ってね!」


「そうだよ海斗さん!」


「分かっているさ」


 かくして、人間の戦闘員は俺と千夏の二人に決定。

 頭数が少ない分、各人に与えられる矢の数は多くなる。

 明日は遠慮なく矢を使えそうだ。


「じゃあ私は矢の製作を始めちゃおーっと」


 弓の練習を終える麻里奈。


「待ってくれ。矢の前に作って欲しい物がある」


「ん? なになに?」


「近接戦闘用の武器だ」


「もう少し具体的に! 刀ってこと?」


「刀ってほどじゃないが、まぁそんなところだ。柄の付いた石包丁があるだろ? あれの刃を長くしたものがほしい」


「刀というより鉈だね」と吉乃。


「なるほど! 任せてー! 刃渡りとか希望ある?」


「重すぎると振り回せないから30センチくらいかな。筋引き包丁って分かるか?」


「分かる分かる! 細長い包丁だよね!」


「そうだ。シルエット的にはあんな感じだが、サイズはもう一回り大きめってところかな」


「オッケー! 柄の長さはどうすればいい?」


「片手で振り回す予定だから、それに合わせたサイズ感で」


「ほーい」


 承諾すると、麻里奈は明日花に尋ねた。


「ねね、アナグマの肉を焼くのに使っている石の板あるじゃん? アレを海斗の武器に加工したいんだけどもらっていい?」


「えー! やだ! あの石、私のお気に入りだもん!」


 明日花が断ったことで――。


「とのことなので海斗、石の調達よろしくぅ!」


 ――俺は川へ石拾いに行くのだった。


 ◇


 翌日。

 日本時間10月28日10時13分。

 朝食を済ませた俺は、第二拠点に皆を召集した。

 皆の中にはサルやトラといった動物も含まれている。


「すごい数! 仲間の動物ってこんなにいたんだ!?」


 驚く麻里奈。

 それには俺も同感だった。


 馴染みの動物以外にもたくさんいる。

 数多の伝説を持つ強毒でお馴染みのコモドオオトカゲ。

 大型獣にすら襲いかかるイタチ科の小さな無法者ラーテル。

 さらにはクマ界屈指の小型種であるマレーグマまで。


「ウキ!」


 サルが号令を求めてくる。


「作戦は既に伝えた通りだ。俺たちの目標は勝つだけではない。最小限の被害で完全に勝つ。怪我をしたら負けだと思え!」


 言葉を句切り、大きく息を吸った。

 そして――。


「始めよう! 報復戦だ!」


「ガルァアアアアアアアアアア!」


「グォオオオオオオオオオオオ!」


 動物たちが天に向かって吠える。


「うおっしゃあああああああああ!」


 千夏も叫ぶ。

 俺以外で戦争に参加するのは彼女だけだ。


「無理しないでね、海斗君!」


 俺は「おう」と頷き、動物たちに言う。


「出陣!」


 巨大ゴリラが支配する南の森に向かって進軍を開始した。


 ◇


「皆はここで待機だ」


 罠の設置場所付近で命じる。

 周囲の森には足を引っかけるための蔓が張り巡らされていた。

 意識すれば容易に回避できるが、分からなければ引っかかる。

 かつての巨大ジャガーみたいに。


「ちゃんと釣ってこいよー!」と千夏。


「任せておけ」


 ここから先はサルと俺、そして騎乗用のトラだけだ。

 昨日と同じ形で敵に仕掛ける。


「グォォ! グォォ!」


 またしてもオランウータンが最初にやってきた。


「商業施設を巡回する警備員みたいな奴等だな」


 こちらの戦法もいつも通りだ。

 トラから下り、サルと協力して応戦する。


「「「キィイイイイイイ!」」」


 すぐにチンパンジーがやってきた。

 昨日よりも早い登場だ。


「やられるんじゃねぇぞ!」


「「「ウキ!」」」


 昨日よりも安全重視で戦う。

 ゴリラの群れが来るまでの時間稼ぎだ。

 無理に敵を倒す必要はない。

 だが――。

「1つ! 2つ! 3つ!」


 ――可能な限り敵の数を減らす。

 それでも、敵の総数は増えるばかり。

 倒す数以上に追加の援軍が来ている。


「思ったより数が多いな……」


 現時点で昨日の1.5倍はいる。

 反対側――東方面――に縄張りにいた奴等をこちらに固めたのだろう。


 これは誤算だった。

 昨日と同程度の数で想定していたからだ。


 しかし問題ない。

 敵戦力が前日比の三倍でも対応できるように作戦を練っておいた。


「「「ウホーッ!」」」


 いよいよゴリラ軍団が登場。

 巨大ゴリラも一緒だ。


「ようやくか」


 俺は右手を挙げ、撤退の合図を出す。

 サッとトラに跨がって自分のテリトリーへ。


「「「キィ! キィィ!」」」


「「「ウホ! ウホッ!」」」


 敵の追撃は昨日と同じだ。

 樹上からチンパンジー、地上からゴリラ。


(ボスは縄張りから出てこずか)


 まさに理想的な展開。


 ほどなくして罠の設置ポイントに到着した。

 一見すると何の動物もいない静かな場所だ。


「「「キィイイイ!」」」


 チンパンジーは悠々と奥へ進んでいく。

 樹上には罠がないため、奴等の移動は阻害されない。


 その一方――。


「「「ウホッ!?」」」


 ――ゴリラは違っていた。

 地面すれすれに張り巡らされた蔓に引っかかって盛大にこける。


「今だ!」


 俺の合図でゴリラの両サイドがざわつく。


「「「ブゥ!」」」


 サイの群れが突っ込んできた。

 体長約4メートル、体重2.5トンの猛獣軍団による突進攻撃だ。


「「「ウ……ホ……」」」


 ゴリラ軍団は挟み撃ちにされて為す術なく全滅。

 コモドオオトカゲが念のために毒を注入して確実に息の根を止める。


「「「キィ!?」」」


 この異変にチンパンジーたちが気づく。

 ――が、時既に遅し。


「やるよ! みんな!」


 千夏が茂みから出てきて矢を放つ。


「「「ウキィ!」」」


 サルも反転攻勢を掛ける。


「逃がすかよ!」


 俺も加勢して矢を放つ。


「「「キィ……」」」


 俺や千夏に射抜かれたチンパンジーは即死だ。


「「「キ、キィ!」」」


 生き残っている奴等も負傷している。

 樹上にはいられないと思ったのか木から下りだした。


「それは失策だろ。焦るあまり下手を打ったな」


 地上はこちらのフィールドだ。


「ガルルァ!」


 トラが皆殺しにしていく。

 前肢で逃げるチンパンジーを押さえ、首を咬みちぎる。


「お前でラストだ!」


 最後のチンパンジーを矢で仕留めたら戦闘終了。

 チンパンジーとゴリラの軍団は一瞬にして壊滅した。


「完全勝利じゃん!」


 千夏が駆け寄ってくる。

 いつの間にかジョンに騎乗していた。


「ボスがやってきてくれたら最高だったんだがな」


「なんならこっちから攻め込んじゃう?」


「それは避けたいな。敵の縄張りはジャングルでまともに移動できん」


「じゃあボスは諦めかー」


「ま、これだけ徹底的に叩けば、今後は迂闊に手を出してこなくなるだろう。ウチの動物たちに対しても面目を保てたし、今回はこの大勝利をもっておしまいということで


 などと話していた、まさにその時。


「ウホォオオオオオオオ!」


 巨大ゴリラがやってきた。

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