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「ほら、わたしは植物魔法が使えるから。パパっと作っちゃうよ。そうだね、場所は森に近い場所になるけど、それは我慢してね」


 村の中は、広場は広いけど、それ以外の場所はあまり土地に余裕がないからね。新しい物を作ろうとすると、どうしても森に近い場所になってしまう。


「そうと決まれば、さっさと行って来ましょう」


 長やオイクスが何か言う前にロコル=カッツェが声を上げて、わたしが解体小屋を作ることは決定になった。


 解体小屋は、ガンフィが泊まっている家の隣に作った。何かあった時には村人全員が集まれるようにと思ったら、なかなか大きい建物ができた。1階は等間隔に柱が立っているものの広いひとつの空間となっていて、2階、3階は個室があり、地下が保存庫になっていた。


 ………あれ?こんなはずじゃなかったんだけどな。


「「「………」」」


 出来上がった解体小屋?を見て、口をポカンと開けているのが長、オイクス、ガンフィの3人。クロムとロコル=カッツェは何でもない顔をしている。


「長、人を集めておけ。それから、ガンフィ。ルオーに手紙を送って、解体道具を調達しろ」


 クロムがそう言ったので、マジックバッグから籠を出してそこに手紙を書くための道具一式を入れた。


「ガンフィには、これを預けておくね」


「お待ち下さい!道具まで用意していただくわけには………」


 はっと正気に戻った長がクロムに反論しようとしたけれど、それをクロムは威圧で止めた。


「切れないナイフで解体されては、肉が不味くなる。俺の言うことに従え」


「………つまり、美味しい肉が食べたいから、いい道具を使って欲しいってことでしょ?それ、わざわざ威圧して言うことじゃないよね」


 わたしが笑うと、クロムは威圧をやめた。わたしに言われたことが気まずいのか、そっぽを向いている。


「では、遺跡までご案内致します」


 そう言って歩き出したロコル=カッツェの後を、クロムはわたしを抱き上げて歩き出した。草がボウボウに生えている道なき道を進むのに、わたしの身体は適していない。なにしろ、6歳児程度の身長しかないからね。簡単に草を掻き分けたり、枝や木を除けたりすることができない。


 しばらく木々が密集した地帯を進み(わたしが魔法で木を動かしたからだよね?)、そこを抜けると木々の間にも余裕ができた。


 木々の密集地域を抜けたとたん、ロコル=カッツェはクロムに目で合図をして、クロムは無言で頷いた。そしてふたりは走り出した。徐々にスピードは上がり、景色は風のように過ぎていく。不思議なことに風の抵抗を受けないものだから、わたしは目を大きく見開いて過ぎていく景色を眺めた。


 そしてクロムとロコル=カッツェは前触れなくジャンプし、木々の上を大きく跳ねた。木々の上に飛び出したおかげで、少し前に開けた場所があるのが見えた。折り重なっているオークの死体丿山と、それを守るように立つギベルシェン達とエグファンカ達。それから、オークの死体と、ギベルシェン達を狙うように周囲に群がる数多の魔物。


 そうか。オークの血の匂いで、黒の森の魔物が集まって来たんだ。


 オークに、ゴブリン、ウルフもいる。


 うん。この光景を見ても恐怖は感じない。大丈夫。


 ちょっと待って。本当に大丈夫?


 周囲を魔物に囲まれ、血に塗れ、踊るように、舞うように武器となるツタを振るうギベルシェン達は、わたしに手を振ってくれる者もいて、全員余裕があるように見える。そのギベルシェンの中でも、特に活躍しているのがロコルナ=ティルリ。複数のツタを操り、オークの巨体を叩き倒したり、ゴブリンの口をツタで塞いで窒息させたり、ウルフの頭を串刺しにしたりしている。


 エグファンカ達も、やすやすと魔物を倒している。その様子は、余裕が見える。


 魔物達は蹂躙されているというのに、一向に怯むことなくギベルシェン達やエグファンカ達に向かって行っている。まるで、なにかに操られているかのように。新たな敵としてクロムという大物が現れたのに、クロムには見向きもせず、オークの死体を目指して前進しようとしている。


 どうして?


 どうして魔物達はクロムを見ないの?


 どうしてオークの死体の山を目指すの?


 どうしてわたしは、この凄惨な場面を見ても恐怖を感じないの?


 おかしいよ。わたしも、魔物達も。


 ………!!


 突然、クロム丿威圧を感じて身体がビクンと跳ねた。


「………?妙だな。威圧をかけたのに、止まらないのか」


 見上げると、クロムは眉間に皺を作っていた。


「ロコル、どう思う?」


「そうですね。魔物の群れがオークの死体を目指していることから、オークの死体になにかあるのは確かでしょうね。ちょっと行って来ます」


「ああ」


 クロムが返事をすると、ロコル=カッツェは魔物の群れをジャンプで軽々と飛び越え、オークの死体に近づいた。そして一匹のオークの身体の中心煮手を突っ込むと、何か丸い物を掴み出した。


「あれは?」


「魔石だな。魔物は体内に魔素が結晶化した魔石を生み出すのだ」


「ふうん」


 ということは、わたしの身体の中にも魔石があるのかな?


投稿が遅れてすみません。

ちょっとインフルエンザにかかって、治りきらないうちに風邪ひいて副鼻腔炎になったりと体調が悪かったのです。

まだ体調が悪いので、投稿はゆっくりになる予定です。

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