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53 リンゴのケーキを作ろう、ピザも作ろう

 リンゴ煮を自然に冷ましている間に、次の作業に移る。


 クルミをフライパンで炒ったあと、適当な大きさに包丁で切っていく。出来たら、小皿に入れておく。


 次に、鍋にバターとミルクを入れ、湯煎で優しく溶かしていく。バターが溶けたら砂糖を加えて、次に卵を割り入れる。ザルを使って小麦粉をふるい入れて、木べらでさっくりと混ぜ合わせる。混ぜている途中で小皿のクルミを加えるのも忘れない。


 ベーキングパウダーがあればよかったんだけど、ないものは仕方ないよね。卵の膨らむ力に期待して、ケーキ作りを続ける。


 内側にバターを塗った鍋に出来た生地を流し入れ、その上にリンゴ煮を円を描くように並べていく。


 温めて置いたオーブンに鍋を入れたら、あとは後片付けをしながら焼けるのを待つだけ。


 そうだ!せっかくオーブンがあるんだし、ピザを作ろうかな?まだパン酵母が出来ていないからパンは作れないけど、ピザは作れるよね。


 よし。そうと決まれば、さっさと片付けを終わらせてピザ生地を作ろう。


 え〜と。まずは大きなボウルを用意して、そこに強力粉と薄力粉を入れる。それから砂糖、塩、植物油を入れて混ぜて、一塊になったら打ち粉をした作業台の上でこねる。………のだけど、力加減が難しいな。身体強化を使わないとこねられないし、力を入れすぎると生地が潰れてしまう。なんとかこねるのが終わったら、濡れた布巾をかけて生地を休ませておく。


 生地を休ませている間に、ソースを作ろうかな。


 まずはトマトを細かくカットして、ニンニクを包丁の腹で潰して、玉ねぎはみじん切りにする。フライパンに植物油と潰したニンニク。入れて炒めて、カットしたトマトと砂糖を加えて煮詰めていく。最後に塩コショウで味を整えたらトマトソースは完成。


 そこでケーキが焼けたのでオーブンから出し、型代わりの鍋からケーキを出してまな板の上に冷ましておく。型から出しておくと、よけいにケーキが縮まないんだよね。


 ピザを焼くから、オーブンはそのまま温めておくことにする。


 次は、ピザの具材だね。


 何がいいかな?というか、何があるかな?マジックバッグをごそごそと漁ってみる。


 ええと。トマト、じゃがいも、にんじん、ピーマン、玉ねぎ、トウモロコシ、それからソーセージ、きのこ………あ、チーズがある!やっぱり、ピザと言えばチーズだよね。


 でも、ソースが美味しくできたから、チーズなしがあってもいいかも。うん。2種類作ろう。


 ピザ生地が元の2倍ほど膨らんで美味しく発酵するのを待ってから、ピザ生地を切り分けていく。そして丸く成形して、トマトソースを塗り、具を並べていった。1つは、トマトとピーマン、ソーセージのピザ。もう1つはじゃがいも、トウモロコシ、チーズのピザ。


 準備ができたので、クロムを起こしに行く。ピザは焼き立てを食べてほしいからね。


 寝室へ行くと、なぜかズボンしか身に着けていないクロムがベッドの上で身体を起こしあぐらをかいていた。眠そうな顔をしている。


「クロム、起きていたんだね」


「ああ、そうだな。エルは何をしていたんだ?」


「朝食の用意だよ」


「こんな時間からか?」


 こんな時間?


 窓の外を見ると、太陽が顔を出していた。こんな時間、と言われるほど早い時間じゃないと思う。


「起きていたなら良かった。今からピザを焼くから、下に降りてきてね」


 わたしがひとりで行こうとすると、クロムに腕を掴まれた。

 

「待て。俺も一緒に行く」


 クロムはそう言うと、わたしをひょいっと抱き上げた。上半身裸のクロムなので、掴まる場所がクロムの首しかない。慌てて、クロムの首に抱きついた。


 すると、クロムがなぜか嬉しそうに笑った。


 一階に降りると、なぜかアリカがいた。


「クロム様、エル様、おはよう」


「こんな時間に何の用だ?」


「それが………ガンフィが栄養のある物を食べたいと言っていて。でも、わたし達ギベルシェンは基本的に食事をしないから、何をどう作ったらいいのかわからなくて困ってるの」


 なるほど。空気中の魔素を吸収して生きているギベルシェンには、料理する習慣がないもんね。料理を作ってほしいと言われて、困るのは当然だよ。


 それにしても。昨日、かなりの悲惨な状態だったのに、もう食欲があるんだね。クロムの治癒が良かったのかな?


「それなら、今からピザを焼くから。出来たら持って行って」


「ピザ?」


「うん。美味しいよ」


「「おはよう〜」」


 そのとき、サムサとアリアが玄関から入って来た。サムサは大きな木箱を抱えている。


「あ、エル様。荷物が届いてたよ。それと、手紙もあるよ」


「ありがとう、サムサ。あとで確認するから、玄関の横に置いておいて」


「わかった」


 サムサは玄関の横に木箱を置いてくれた。その上に、手紙が見える。


「じゃあ、僕はロコルナの手伝いに行ってくるね」


「ロコルナ=ティルリの手伝いって言うと、ガンフィの追手の捜索?」


「そう。まず、手が空いている者全員で遺跡を探して、それから追手を探すことになったんだ」


「アリアはどうするの?」


「ふふっ。私はクロム様とエル様のお手伝いをするから行かないわよ」


「そうなの?」

 

 アリアがいてくれると助かるけど、今は先に遺跡や追手の捜索をしてほしいかも。


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