表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/141

50 ハンバーグとポテトサラダ

「じゃあ、ルオーに働いてもらおうか」


「そうだな」


「そうですね」


 そういうわけで、木札を出し、ルオーに手紙を書くことにした。


 ルオーにもらった情報がずいぶんおもしろかったので、さらに詳しい情報が欲しいと書いた。それと、ガンフィに着せる服を注文した。


 ガンフィに関することには触れなかったけれど、注文した服のサイズで、わたし達がガンフィを助けたことは伝わったと思う。まあ、ルオーにはいつまでも隠していられないし、仕方ないよね。


 手紙は、アリカが運んでくれた。


 そして、今日のところはできることがなくなったので、家に帰ることにした。


 家に帰ると、夜ごはんを作ることにした。今日のごはんは、ハンバーグ。アリアに手伝ってもらって、肉をミンチにした。機械がないので、もちろん包丁を使った手作業だよ。この面倒な作業を、なぜかアリアは嬉々としてやってくれたよ。よくわからないけど、楽しいならなにより。


 アリアが肉をミンチにしている間に、わたしは玉ねぎをみじん切りにして飴色に炒めておく。ミンチが出来上がる頃には炒めた玉ねぎが冷めていたので混ぜる。塩こしょうと、臭い消しのスパイスを混ぜて。堅パンをおろし器で粉々におろした物を加え、玉ねぎを加えて手でしっかり練る。


 それが出来たら肉種を小判型にして、中央をへこませる。


 不器用な子かと思っていたアリアは、教えたらすぐにやり方を覚えた。


 2枚のフライパンに乗るだけ焼いて、出来たら焼き汁を使ってタレを作る。その繰り返しで、大量にハンバーグを作った。なぜって?そこに肉があったから!っていうのは冗談で、アリアが思いのほか働いてくれて、大量のミンチが出来たから。


 ちなみに、ケチャップもウスターソースもないのに、なぜか豆から発酵させて作った醤油モドキがあったので、醤油モドキと柑橘系の果物カズラと焼き汁を使ったタレを作ったよ。


 アリアがハンバーグを成形しつつ焼く、タレを作る、という作業に慣れてきたので、あとのことはアリアに任せてわたしはサラダを用意した。



 わたしの中でハンバーグと言えばポテトサラダ。じゃがいもの皮を剥いて茹でている間にマヨネーズを作る。マヨネーズは卵黄と塩、酢、植物油で作れる。うまく乳化させないとバシャバシャになってしまうけど、バシャバシャでも食べられないことはない。


 ポイントは、油を糸を垂らすように少しづつ混ぜること。じゃがいもを茹でたらフォークで潰して、マヨネーズを混ぜる。トウモロコシやキュウリを混ぜても美味しいんだけど、今日は手抜きでいいの。


 スープはオニオンスープかコンソメスープが欲しいけど、どちらもないから鳥ガラスープを用意した。


 コンソメスープは作るの大変だけど、オニオンスープは時間さえかければ美味しい物ができるからいいよね。今度、アリアに教えて作ってもらおう。


 ふと。大根があったことを思い出したので、せっせと大根おろしを作った。やっぱり、醤油味のハンバーグには大根おろしだよね?


 そして、テーブルにはハンバーグが積まれた大皿と、ポテトサラダ、大根おろし、醤油タレが入れられたボウル、鳥ガラスープが並んだ。


 わたしがハンバーグを取り分け、その上に大根おろしを乗せ、醤油タレをかけて食べて見せると、クロムも真似して食べた。


「なんだコレは。肉が口の中で解けていくぞ。このタレも初めての味だが、肉に合うな。それにこの野菜のおかげで口の中がさっぱりする」


「ふふっ。ポテトサラダも食べてみて。美味しいよ?」


「ん?コレも美味いぞ!なぜ芋がこんなに滑らかなんだ?」


「それはね、マヨネーズを使ってるからだよ」


「マヨネーズ?なんだそれは」


「卵を使ったソースだよ」


「そうか。エルが作るものは何でも美味いな」


「ありがとう」


 隣を見ると、サムサとアリアも美味しそうに食べていた。食べることに集中していて、言葉が出ないといった感じだ。食べる楽しさを知ってくれたなら、なにより。


 食事が終わって、片付けをサムサとアリアに任せていると、玄関からサムスが入ってきた。手に手紙を持っているところを見ると、手紙を届けてくれたんだと思う。


「はい、どうぞ。手紙が来たよ」


 ルオーは仕事が早いね。もう返事をくれたんだ。


 なになに?


「鱗は奪われてしまいましたが、リングス商会がクロム様に借りがあることに変わりありません。これまで通りお役に立ちたいと思っておりますので、ご利用くだされば幸いです」


 でも、それだとリングス商会には大損害だよね?商人として、それでいいのかな?


「ところで。エル様が助けられたガンフィという男は、ずいぶん大きいのですね。ご要望のあった服や装備品をご用意するのに、少々お時間をいただくことになりそうです」


 そっか。ガンフィは大きいもんね。しかもガチムチだし。サイズがないのかも。


「しかし服がないと不便でしょうから、普段着になりそうな物を見繕い、一着は明日にでも送らせていただこうと思います」


 ん?普段着なら用意できるってことは、それ以外の用途の、上等な物を用意するのに時間がかかるってことかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ