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そっか。危ないところでアーヴァメント達が助けてくれたんだね。あとでいっぱい褒めてあげないとね。
「今の話だと、ミルドレッドの行動は耳に入っていないようだな」
「ミルドレッド姉上がなにを………?姉上は、まだ王になることを諦めていなかったのか?」
「そうらしい。リングス商会のルオーの情報では、俺がリングス商会へ売った鱗を取り上げ、その鱗を手に王城へ乗り込んだそうだ」
「鱗を持ち帰ることに対して王は期限を設けなかったから、自分にも王太子になる資格がある。だから再選定してほしいって言ったんだって」
話が長くなりそうだと思ったのか、クロムがテーブルから椅子を引き寄せて座った。わたしはクロムの膝の上に座らせられ、腰に回された腕のおかげで安定感は抜群。
「リングス商会?聞いたことがないが、王都の商会でしょうか?」
「いや、アルトーの商会だ。この村まで行商に来る物好きだ」
「ミルドレッドは、リングス商会が黒の森に出入りしているからずっと見張っていたんだって。だから、オークションに出す前に鱗を奪われたそうだよ」
「そうですか。アルトーの領主はミルドレッド姉上の派閥の者です。そのリングス商会は信用できるのでしょうか?」
「ルオーは信用できると思うが、情報収集能力が良すぎて裏に何者かがいてもおかしくない」
「と言うと?」
「おまえがミルドレッドに毒を盛られ城外へ逃れたこと、緊急脱出用の転移の魔法陣を用いていることを報告してきた」
「それに、すでに王太子がガノンドロフ王子に決まっていて、王位の引き継ぎが始まっているから再選定は行わないと王が言ったんだって」
「どの情報も、本来なら極秘扱いで一介の商人が知る立場にないと思わないか?」
そう言われて、ガンフィは難しい顔をした。眉間に皺が寄っている。
「そうですね。怪しいです。それだけの情報を短時間で手に入れ、クロム様に流す理由がわかりません。王都ですら、ここまでの情報は流れていないでしょう。それを、王都から離れたアルトーの街の一介の商人が手にできるのは普通ではありません。敵でないとするなら、どういう思惑で動いているのか、それを知る必要があります」
「それなら、何をすればいいかな?ルオーに会いに行く?」
「いや、まだその時期ではない」
「じゃあ、ガンフィを連れて王都へ行ってみる?」
「それは簡単だが、それも時期尚早だろう。ガノンドロフが身体を治さねば、簡単に殺されてしまうぞ。せっかく助けた命を奪われるのは気に食わん」
「そうですね。今の私では、自分の身を守ることもできません」
ガンフィは悔しそうに言った。すぐにでも家族を守りに王城へ行きたいのに、それができなくて歯がゆいという表情をしている。
「まずは、ガンフィの服と装備が必要だね。今の服はボロボロで、布切れを纏っているようなものだもの」
「ルオーに注文するか。明日には届くだろう」
「ちょっと待って。ルオーはカンが良さそうだから、ルオーに注文すればガンフィがここにいるって知られないかな?」
「知られたところで、ルオーに何ができる?問題ない」
「問題あるよ。もしルオーがミルドレッド側の人間だとすれば、わたし達に不利になるような動きをしてくるかもしれないよ」
「………たとえばどんなことだ?」
「えーと。必要な物を送ってくれないとか、手に入れるのが大変だって言って時間を引き伸ばされるとか、かな。あと、嘘をつかれるとか?」
「それぐらい、何ということもない。ルオーを見極められるなら、それくらい安いものではないか」
「う〜ん。じゃあ、手紙を書くね」
「お待ちください!ルオーがいるのはアルトーの街なのですよね?そんな気軽に手紙のやり取りができるのですか?そもそも、私や王都に関する話をいつどうやって手に入れたのですか!?」
あ、そっか。ガンフィはこの村とリングス商会が転移の魔法陣で繋がっていることを知らないもんね。
「あのね。この村とリングス商会は転移の魔法陣で繋がっているの。物を運べるんだよ。さっき、ルオーに手紙でガノンドロフが王になれたのか聞いたら、色々教えてくれたの」
「たまたま、この村とリングス商会の土地が繋がっていたのですか?」
「違うよ。クロムが魔法陣を描いて繋いでくれたの。すごいでしょ」
「さすがクロム様!何でもお出来になる!」
「………何でもではない。生き物を転送することはできんからな」
そういえば、そう言っていたね。でも、クロムならガンフィが通ってきた魔法陣を見ればその仕組みがわかるんじゃないかな?
ガンフィは、転移の魔法陣は小さな遺跡に繋がっていると言っていたよね。オークの巣があったって。遺跡だけなら探すのは大変だけど、オークがいるなら、それを目印に探せると思う。ギベルシェンの皆が。
特に、簡単にアーヴァメント達を捕まえてきたサムサとアリアは、オークの巣を見つけることくらい簡単な気がする。
ああ、でも、何から手を付けたらいいんだろう?頭が混乱する。




