表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第三章 アールヴヘイムの六賢者
95/553

第三章13 神器ハスターの指輪


 シルフィードとの契約が終わり、『ふぅ~』と一息ついていると……。

 シルフィードが申し訳なさそうに話し出す。


「あの…… ディケム様。 試すような事をしました、謝ります。 本当は、私はあなたが【ハスターの指輪】を付けている時点で、あなたに従う義務がありました………」


「ハスターの指輪?」


「ディケム様が今つけているその指輪の事です」


「え?…… この指輪は魔神族カステル王より頂いた、【妖炎獄甲冑】の指輪ですが……」


「ディケム様が着ているその甲冑も素晴らしい逸品ですが…… その指輪こそが神器なのです。 その指輪はグレート・オールド・ワンの一人、旧神:風の神ハスター様の指輪です。 私は風の精霊としてハスター様との契約に従い、その指輪を付けている者の命に従う決まりになっています」


「………………」


「今まで、その指輪が主人を得たことは一度として有りませんでした。 しかし此度ディケム様は選ばれました。 ハスター様とクロノス様は盟友。 貴方がクロノス様の希望の種に選ばれた事で、ハスター様も貴方を選ばれたのかもしれません。 そして、クロノスの証を待ち望むフェンリルとハスターの指輪を待ち望む私が、行動を共にしていた…… そこにその両方を持つ貴方が現れた…… 全てが必然だったのかもしれませんね」



 【ハスターの指輪】…… 魔神族では【妖炎獄甲冑】に選ばれる者が今まで居なかったとされていたが、クロノスに認められなければ、ハスターの指輪にも認められなかったのかもしれない。

 今まで誰も選ばれなかったはずだ……。

 まさか、選ばれなければいけなかったのは指輪の方だったとは。


 妖炎獄甲冑も凄いが、クロノス、ハスター両方に認められれば、フェンリルとシルフィード、2柱の上位精霊と契約することが出来る。

 この力は強大すぎる!



「あの、ディケム様、差出口かと思いますが…… 【ハスターの指輪】を使いこなしていないようなので、説明させてもらっても良いでしょうか?」


「え?…… あ、はい。 お願いします」


 (ん? 指輪はシルフィードと契約するための道具じゃ無いの?)


「ハスターの指輪は、装備品を格納することが出来る指輪です。  注意してほしいことはポーションなどの消耗アイテムなどは収納出来ません。 あくまでディケム様が装備している物のみです」


「装備している物?!」


「はい、現在は『妖炎獄甲冑』しか格納されていませんが…… 装備している物全てを格納する事ができます。 いくらでもです………」


「なっ! いくらでも?!」


「はい。 そしてこの指輪の素晴らしいところは、ディケム様のイメージで、装備する組み合わせを変えられます」


「すると…… この手で持っている鬼丸国綱も格納できる―――」


「はい」


「戦闘中に武器を交換したかったら、瞬時に交換できる?」


「はい」


「おぉぉぉぉ―――! 凄い!」 


 ⦅ハスターの指輪、シルフィードのおまけじゃなかったよ! さすが神器って性能だったよ!⦆


「もう一つ注意事項は、神器ですので…… オリハルコン以上の素材の装備でなければ格納は出来ません」


「オリハルコン以上と言うと…… オリハルコンと、アダマンタイト、ヒヒイロカネですか?」


「はい、もしくはそれに相当する格の素材です。 鋼、ミスリル素材以下ですと、ハスターの指輪のマナの濃度に耐え切れず、劣化もしくは消滅いたします。 ようは格納する装備のマナの内包量がオリハルコン級以上、必要と言う事です」


 ⦅なら神珠の杖とかは行けそうかな………⦆


「あとは、ディケム様はフェニックスが居ますから必要ないかもしれませんが……、指輪は高濃度のマナに満たされていますので、格納されている装備はディケム様のマナによってダメージ修復、強化されます」


「おぉ―――!」 


「そしてこれは応用としてですが、パーティーの方の武器などを、ディケム様の装備として収納・修復する事は可能かと存じます」


「すごく便利だ!」


 王都の邸宅地下に作った宝物庫、いろいろ検証してみたのだけれど。 ルナの浄化の属性と、他の精霊たちの属性をもったマナを充満させることによって、置いてある装備はマナの内包量が上がり、素材の質が上がる事が分かったのだが、その時にさらにダメージも修復されていることが分かった。


 ハスターの指輪も俺のマナと言いう事は、俺が契約している精霊達の属性が格納している装備に影響するのだろう…… 携帯用宝物庫のようだ。


 現在契約している精霊は六柱、四柱の時でも宝物庫のアイテムにかなり影響を与えてくれたのだ、六柱に増えた今、さらなる強化を期待したい。



 俺は背中に付けている、『鬼丸国綱』と腰に下げている『神珠のスティック』をハスターの指輪に格納するイメージを描いた。

 すると、鬼丸国綱と神珠のスティックは『フッ!』と消えた………

 俺は一瞬怖くなり、鬼丸国綱を手に持つイメージをする………

 すると鬼丸国綱は俺の手に握られていた!

 さらに神珠のスティックに持ち帰るイメージをすると―――

 一瞬にして手に持っていた鬼丸国綱は格納され、持っている武器が神珠のスティックに変わった!


 これは――! 戦闘時にいくらでも武器や装備を瞬時に交換できる、これを使えば戦闘時にいくらでも攻撃パターンを変えられる、無限の可能性を秘めている。

 神器とはこれ程の圧倒的力を秘めている物なのか………。


 ⦅これ、ボー・カステル王に指輪の性能教えたら、返せと言われないだろうか……?⦆


 ま~、もう指輪が俺を選んでしまった時点で、俺が死ぬまでは指輪はもう俺以外選ばないだろうけどね。




 この日はさすがに、夕暮れ時になり、下山するには危険だろうと、洞窟で一夜を過ごすことにした。



 洞窟では、何度も何度も、武器を入れ替えてハスターの指輪の使い方を体に覚えさせたり、新しく契約したフェンリルとシルフィードで出来る事をいろいろ試した。


 精霊は契約したら、すぐにその精霊の100%を使えるわけではない。

 その精霊と俺のマナが馴染むまでは時間が掛かり、また自分のレベルが低ければ使いこなすことは出来ない。

 あとはその精霊の属性を工夫して、自分が何をするかと言う工夫次第な所もある。


 フェンリルはイフリートと似たところがある。 属性が熱に対して氷だが、その精霊自体としての攻撃力が最大の武器になる。

 またイフリートの超超超高熱に対して、フェンリルはその対極の絶対零度、物質の運動を停止させる。  

 絶対零度は物質の摩擦を無くすと言う事も出来る。




 シルフィードは、自体で攻撃する事はあまりない。

 風を使った魔法攻撃と、他の精霊や魔法と組み合わせる事でその力を発揮する。

 この山に張られていた結界のように、フェンリルの力に風をプラスする事で猛吹雪が作り出される。


 だが一番の能力は、【飛行】だろう!

 元々はそれ程戦闘力が高いとは言えないエルフ族を、一目置かれる種族に押し上げているのは、種族全員が使えるシルフの加護、この【飛行】が大きい。

 空を制する者は戦場を制する事が出来る。


 移動手段としても、女王のシルフィードしか召喚出来ないが【飛竜】が最も早い、今まで水竜で移動していたが…… 水竜はやはり海でこそ力を発揮する。


 そして…… 俺がこれは凄い武器になると思ったのは眷属の【言霊(ことだま)】だ。

 少し木霊に似ているが、使い勝手が格段に良い。

 『言霊』を飛ばせば、受け取った相手と自由に会話(念話)をすることが出来る、何人とでも自由に解除するまでだ。

 戦闘中にパーティー全員に言霊を飛ばせば、全員とグループで会話をしながら敵と戦うことが出来る!  

 これは凄い武器になる。

 誰に飛ばせるか、どこまで飛ばせるかはこれから研究していくが、マナで繋がっている、ララ、ディック、ギーズにはここからでも飛ばせられることが分かった。



 あとは追々研究するしかない、精霊自体が教えてくれることはあまりない。

 ⦅それを思うと、導き手のウンディーネは精霊としてとても異質な存在だ⦆




 新しく出来る様になったことを、色々試していたが、上級精霊二柱と神器だ……

 そう簡単に理解できるわけもなく、使いこなせるはずもない…… 

 今日一日の疲れもあり、俺は睡魔に勝てなくなり、そのまま眠りについた。


 この洞窟はシルフィードが住んでいただけあり居心地が良い。 

 ここは雪山で一夜を明かすには最適な場所だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ