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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第三章 アールヴヘイムの六賢者
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第三章4 宣戦布告


 俺はフェニックスを肩に乗せ、学校に通い、勉強をして、日ごろの訓練も怠らない。


 シャンポール王都は、この平和な毎日が永遠に続くかに思えるほど平穏な毎日だった。

 魔族軍の六将が一人、人族の天敵と言われたデーモンスライムのカヴァ将軍を撃破して、最強種族の一角、魔神軍との同盟も成った。


 アルザスの奇蹟が起こるまでは、人族は滅亡の危機の連続で、心が疲弊し緊張と絶望の中で生きてきた。

 

 未だに人族が最弱の種族であることは変わらなかったが―――。 

 決して怠けている訳ではない。少し緊張が緩んでいたとしても、誰が責めることが出来ようか………。



 そして、それは唐突に来た―――!

 エルフ族からの【宣戦布告】だ!



 その日、俺たちは学校で授業を受けていた。


 しかし…… 突然、王都全体に宣戦布告のエルフの声が流れる―――!

 何処からか聞こえてくる、エルフの声、人々は建物を出て、声の発生源を探す。

 そして空を見上げたとき――!

 空には大きなエルフのヴィジョンが映し出されていた。


「我々エルフ族は、これより人族に対して、宣戦布告を行う! 降伏か滅亡どちらかを選ぶがいい! まずはシャンポール王都から蹂躙を開始する!」



「「「「ッ―――――――なっ!!!!」」」」



 学校はパニックに陥った―――。

 いや、王都の全住民がパニックだっただろう。


 王都全体に警報が鳴り響く―――!

 城門はすぐに閉じられ、全騎士団、兵士たちは直ちに防衛体制に入る。



 しかしその時! 『ドォォォォ―――ン!』という凄まじい音と衝撃波がくる!


 王都に居るすべての人々が、空を見上げ…… そして絶望した。


 『あぁ、あぁぁぁぁ………』

 『ひぃ! ひぃぃぃぃ―――』

 『た、たすけて………』


 それは隕石だった! だが…… メテオなどと生易しいものでは無い!

 王都の半分を覆うほどの巨大な隕石! 【メガメテオ!】



 伝承では……、上位黒魔術師数十人、いや百人以上の上位黒魔術師で行う大規模合成魔法。

 あまりの危険度で術者が亡くなることもあるという。


 この伝承の、究極の合成魔法メガメテオは、エルフ族が復活させたと聞く。

 そのあまりの破壊力の危険度に、メガメテオは他種族への抑止力になり、エルフ族を攻撃する種族は居なかった………。

 そんな魔法が、このシャンポール王都に使われたのだ………。



「なっ! なんて魔法を直接王都に―――!!!」


 その巨大すぎる隕石の大きさに、みな逃げる事をあきらめ、死を覚悟した。


 『どこに逃げてももうダメだろう』


 そして、巨大隕石は王都の防御結界にぶつかる―――!


 『ドゴォォォォォォォ――――ン!!!!!』


 凄まじい衝撃で防御結界が光る、そして一枚目の防御結界が耐え切れず割れる。

 巨大隕石が二枚目の防御結界にぶつかる、凄まじい衝撃と音を立て二枚目も割れる。

 巨大隕石は、一枚ずつ防御結界を壊していく―――。


 王都の全住民がただただ天に向かって祈った――。 防御結界が耐えてくれることを。




 皆が恐怖で固まり、天に祈っているころ。 俺はすぐ行動した。


「ラローズ先生、すぐに来てほしい!」

「は、はい!」


 呆然と、その光景を見る事しか出来ずにいたラローズ先生も、俺の指示に我に返る。

 いつもおどける先生も、さすがに今は真面目に指示に従う。


「先生は、ララ、ポート、ディック、ギーズを連れて校庭に!」

「はい!」


 俺は王都に居る誰よりも冷静だった、それは…… 事前にブロワ村のヒルダから『エルフ族に不穏な動き有り』の情報を聞き、すでに動いていたからだ。

 ⦅まさかメガメテオを王都に直接落としてくるとは思わなかったが………⦆



 俺は校庭に出て、皆を待つ間に、ドライアドを使い王都全体、王都の外の状況を調べる。

 王都にはエルフは居ない。


 ん?……東門の外、二キロほどの場所にダークエルフが集まっている。


 メガメテオを使った、魔法師軍団はどこだ?

 『………………。 見つけた!』

 ダークエルフの軍勢より、さらに一キロほど東に行った高台に百人程の魔法師軍団が居る。


 俺が敵の軍勢を調べていると、ララ、ポート、ディック、ギーズ、ラローズ先生、俺の指示した全員が校庭に揃った。


 俺は右手を突き出し念じると、窓をぶち破り神珠の杖が飛んでくる。

 ⦅今は緊急事態、窓ガラスぐらいどうでも良いだろう⦆

 そして水竜を作り、皆を乗せ東門に急ぐ。


 頭上では、メガメテオが五層の結界を破り、六層の防御壁に衝突しようとしていた。


 ララ達、誰も俺に質問を何もしない、ただ言われたことを実行する為に、俺の指示に素直に従っていた。



 東門に向かっている間に、王都各所に設置した全ての彫像クリスタルゴーレムを東門に向かわせる。

 さらに、ドライアドに指示して、東門近くの樹木より、次々にトレントを出していく。


 同時に俺は皆に指示をする『みな、これから防衛戦に突入する!』


「「「「はい―――!」」」」


 皆、俺の指示を素直に聞く、俺がメガメテオの事を心配していないのをみて、防御結界がメガメテオを防ぎきるのを確信しているのだろう。

 今は時間が欲しい、余計な説明をしなくていいのが助かる。



「東門の約二キロ先にダークエルフの軍隊5,000程がいる。 ララ、ポートお前達がこの攻防の要だ!」


「「はいッ!」」


「ララは城門の上で精霊ルナを使いゴーレムたちを操作! クリスタルドラゴンとゴーレムで、敵軍に攻め込め! 特にララの女神像が強力だ! 東門に来させたから敵に突っ込ませろ!」


「はいッ!」


「ポートは同じく城門の上でトレントを使い防御に徹しろ! エルフは精霊シルフを使う、だがシルフの弱点はドライアド、木の精霊だ! トレントを使いとにかく防げ! 決して攻めるな、王城の結界もあるから、大丈夫なはずだ!!」


「はいッ!」


「先生は水のウィルウィスプを使い、結界を強化! エルフがシルフを使い城門の上の二人、攻守の要ララとポートを攻めてくるはずです、必ず守ってください!」


「はいッ!」


「ディックとギーズは先生の補佐、もし結界が破られたら皆を守りながら逃げろ!」


「「はいッ!」」


「俺はこれから、メガメテオを撃ってきた魔法師を殲滅しに行く! 最初に前衛に居るダークエルフの軍5,000に精霊を放ち混乱させる、直ぐに離脱するから、ルルはそのタイミングでゴーレムを敵軍勢に突撃させろ!」


「はいッ!」


「皆よく聞け! 敵はメガメテオを考慮して戦略を立てている。 メガメテオで壊滅状態の王都を蹂躙する事しか考えていないのだろう。 だがメガメテオでは俺の結界は破れない!! メガメテオが防がれた時、やつらは混乱し動揺するだろう。 そこを突く! 派手に行くぞ―――!!」


「「「「はいッ!!!」」」」



 メガメテオが防御結界八層にぶつかり、崩壊し始めた―――!


 そのタイミングで俺たちは城門の上に降りたった。


 城門兵に命令する『王都守護者のソーテルヌだ! 城門に集めたゴーレムを城門の外に出せ――! ゴーレムが出たら速やかに城門をとざせ!!』


「「「「はっ!」」」」


 クリスタルゴーレム総勢五十体が東門の外に勢ぞろいする。



 俺はクリスタルゴーレムを背に、一人水竜に乗りダークエルフ軍の前に陣取る。


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