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第一章6 ララの心の拠り所 1

ララのの目線になります

 私はララ、サンソー村のパン屋の長女として生まれた。

 姉妹は1歳年下の妹がいる。

 妹の名はルル、髪の色は私と同じ水色で髪型はショートにしている。

 妹は私と違い活発で気が強い性格をしている。歳が近いこともあり、気が強いルルのほうがいつも姉だと間違われる。



 私には生まれた時から一緒に育った幼馴染が三人いる。


 リーダー役の『ディック』

 マイペースの『ディケム』

 調整役の『ギーズ』

 そして私。


 四人はいつも一緒で本当の兄弟のようだった。


 私にとっては三人ともみな頼りになるお兄ちゃんみたいだった。

 ディックは皆を引っ張る長男でディケムは頭がいいけど、いつも一人でどこかに行ってしまう次男。ギーズはそんな兄二人と私をうまく調整してくれる三男。

 ず~っとこのまま居られたらいいのに………、そう思っていた。




 今日はディックとギーズには家の手伝いがあると言って早く別れた。


 (………嘘だけどね)


 私はただディケムに会いたかっただけ。


 四人でいつも一緒にいた時はよくわかっていなかった。

 私は三人みな大好きでディケムだけが『特別』とかじゃ無かったはず。


 なのに……

 最近、ディケムだけが『本屋に行く』と言って一緒にいない事が多い。

 私は気づくとディケムの事ばかり目で追っている……


 (あれ? 私ディケムの事が気になっているの?)



 今日もディケムは本屋に行ってしまった………。


「ディケムのやつ本屋に好きな子とかが居るんじゃないのか?」


 ディックのその冷やかしの一言が頭から離れない……。

 私は直ぐ二人に『家の手伝いで戻る』と言い分かれた。

 そしてディケムがいる本屋に走って行く。




 恐る恐る本屋の中を覗いてみると……  誰もいない。


 ディケムだけがお店の奥で店番をしながら本を読んでいる。

 私がコソコソと覗いていると……


 (ヤ、ヤバッ! デュケムに気づかれた!)


「いらっしゃいませ。 店番のディケムです! 何かお探しの本があれば――…… なんだ! ララじゃないか!」


 見つかってしまったので私は素直に店に入る。

 そして店内をキョロキョロ見る。


 (よし! 知らない女の姿はなし!)


「どした? 何か用か? ララ」


「ディケムがいつも、楽しそうに走って向かう本屋って、どんなところなのかな~? って」


「こんなところでがっかりしたか?」


「ううん。 本当は本屋に素敵な女性でもいるのかと思ったけど……… 本当に本しか無いみたいね」


「悪かったな! 色気がなくって」


 (よかった。 他の女の人いなくって……)


 やっぱり私、ディケムの事が気になっているみたい。

 でもどうしよう……。

 変な事言ったら会いづらくなっちゃうかもしれない。


 (――ッ!)

 ディケムが怪訝そうに私を見ている。


「お……おんなの人居なくて……… よかった」

「ん? なに? 聞こえなかった!」


 (ディ、ディケムのバカ!!!  少しは女心を察してよ!)


「な、なんでもない! やっぱり本は何書いてあるかさっぱり分からないから帰るね!」



 意気地なしの私は今日のところは泣き寝入りだ。

 でも、自分の心に私は気づいてしまった。

 どうしよう……。




 家に帰って妹のルルに相談する。


「ねぇ、ルル。 私しディケムの事気になるみたい……」


「ララ…… 今更?」


「えっ! ちょっ…… ルル知ってたみたいな言い方じゃない?」


「知ってたわよ。 ララ、気づいていなかったのは自分だけでしょ? 私から見たらララがディケム気になっているの見え見えだったけど」


「………。 ルル、どうしよう」


「ララ。 ウジウジしていてもいいけど、そんな考えてる間に直ぐに誰かに奪われちゃうわよ! ディケム、村の女の子に結構人気だし、もし王都とか言っちゃったら女の子沢山居るんだからね!」


「………。 そんな……」


「もぅ――! 面倒くさいな――! 大丈夫よララ、ディケムの初恋はララだから今なら行けるわよ!」


「ッ――えっ!?」


「それにも気づいてないの? ちなみにあの三バカ達はみんな初恋はララだから!」


「えっ――!!!」




 その日はもう、ドキドキして眠れなかった。


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