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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第二章 城塞都市・王都シャンポール
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第二章33 水晶洞窟に住むという精霊


 ラローズ先生から、エミリアとマルケの紹介をが終わると。

 『それで、あなたたちの相談は?』と聞かれる。


 ララ達は魔法のスティックに使う触媒の話をした。


「なるほど…… 実は私も悩んでいたところなのよ。 ウンディーネ様、なにかいい知恵は無いでしょうか?」


「なっ! せ、先生ウンディーネは学校では―――」


「良いじゃない、このメンバーなら。 エミリアとマルケも知っておくべきでしょう?」

「ま~そうですけど……」


 『しょうがないの~』とウンディーネが顔を出す。


 エミリアとマルケが目を見張る。


「ま、まさか! 4元素の大精霊のウンディーネ様ですか?!」

「そうじゃ、今後とも妾を敬うのじゃぞ!」


 『はい!』と二人は頷く


 『ソーテルヌ卿は、この前の入学式の試合、かなり手を抜いていたのですね……』とエミリアはつぶやく。


「学校の模擬戦で上位精霊出したら、ケガでは済まないじゃないですか」




 『それで、スティックの触媒の話だったかの』ウンディーネが話を戻す。


「はいウンディーネ様、先日ディケム君から頂いた神木の枝、あれに釣り合う触媒が無いのです」


「せっかく手に入れた神木の枝も、触媒次第で台無しになるかもしれぬな」


「はい…… 何か良い触媒の当てがありましたら、お教えください」


「う~む、ある事は有るのじゃが……」


 『おぉ!』とみな食い入るように耳を傾ける。 


「そうじゃの。 そろそろ色々と強化を行うべき頃合いかもしれん。 杖の触媒の事も含め、少し今後の話しをするとしよう」


 ウンディーネの言葉を聞き、皆が背筋を伸ばす。



「おまえら、これからのディケム…… いや人族の戦いはかなり厳しい。 じゃからその為にディケム直属の精鋭部隊を作り、集中的に強くしないといけない。 ディケムはそこそこ強くはなったが、それでもまだまだじゃ。 ディケムも覚えていよう、カヴァ将軍を。 お前は奴の天敵サラマンダーを使用してなお危ない所じゃった」


「はい」


「多分、同盟を組んだ魔神軍の1将でも本気で軍団を従えて攻めて来たら、人族は滅亡じゃろうな」


「………………………」

 軍の事をよく知っている、ラローズ先生すら反論しなかった。


「前に数こそ力と教えたが、カヴァ将軍やラトゥール将軍の様に傑出した存在は、その常識を覆し戦況を大きく左右させる。 人族にはそう言う傑出した人材が居ない。 残念じゃがラス・カーズ将軍は英雄と呼ばれているが、まだその域では無い」


「………………………」


「今は、魔神族の庇護下にある事、さらには強者どもが牽制し合っているから、人族は辛うじて存続しているにすぎぬ」


 全員が深刻な顔をする。


「最初は少数でも良い、だが早急にディケムの元に専属の部隊を編制し英傑を育てるのじゃ、 『王都守護者』の肩書があればなんとかなるじゃろう?」


 『可能です』ラローズさんが肯定する。


「今のところディケムの直属部隊としては考えているのは、そこの幼なじみ3人と精霊使い6人じゃ、白魔法師の2人は頑張れ」


 マディラとトウニーが泣きそうだ…… ガンバレ


「ウンディーネ様、その部隊にわたくしプーリア・ネグロと、そこのマルケ・アドリアも入れて頂けないでしょうか?」


「お前たちは同盟国とはいえ、他国の貴族であろう?」


「はい…… ですが本国より『ソーテルヌ卿とのこの縁を最重要に行動しろ、国を移籍しても構わぬので最後までご一緒しろ』との辞令をうけました」


「まぁ…… 良いじゃろう。 神木も渡してしまったからな。 しかし先程も言ったが、この部隊の目的は英傑を育てることじゃ、部隊に入ったのなら本当に本国よりディケムの命令に従ってもらうぞ!」


 『はっ!』とプーリアとマルケが深くウンディーネに頭を下げる。


「ラローズ、お前も騎士団第一部隊からこちらに来てもらうぞ!」

「はい……」


 先生も少し泣きそうだが、精霊と契約した時点で覚悟はしていたのだろう。



「精霊使い6人は、今後必ず精霊と契約してもらう。 そして、ひたすら精霊の強化じゃ!」

「はい!」


「そして幼なじみの3人組、お前ら今までろくに活躍していないが……」

 3人が項垂れる……


「それは、いまは自力を上げる時期じゃからじゃ。 今後の戦い、英傑のカギはお前たちじゃ、覚悟しておけ!」


「「「はい!」」」


「お前たち3人は、前にも言ったがディケムとラインで繋がっている。 だからじきにディケムが使役する精霊のどれかと繋がれる可能性を持っている!」


「っえ!!!」


「その事を念頭に置いて精進しなさい」

「「「はい!」」」


「ディケム、お前は今後、使役する精霊を増やしていくことが目標じゃ」

「分かりました」




「それでじゃ、皆に今後の指針を教えたところで…… ディケムの強化、部隊の強化、王都防衛の強化に最適な精霊が居る。 そこには触媒に持ってこいの上質な水晶もある」


「おぉ! さすがウンディーネ様! ですが…… そんな凄い精霊様など聞いたことが無いのですが……」


「うむ。 その精霊自体は強くもない精霊じゃ。 じゃが! 今までディケムが作り上げてきた土壌と組み合わさると、一気に底上げしてくれる最適な精霊となる」


 ⦅今まで作り上げてきたものを底上げ?⦆


「王都の西に、ロワール平原がある。 その中ほどの地中に水晶で出来た洞窟があり、そこに【月の精霊ルナ】という精霊がいる。 月の精霊は浄化の能力、ルナのマナに当てられ続けた水晶は、最上の素材になりさらに自ら浄化作用もある。 皆の求める触媒はこれが最適であろう」


「おぉ~! 素晴らしい!」


「皆でその洞窟に行き、自分自身で自分のマナに適した水晶をルナから勝ち取るがいい。 ちなみに月の精霊ルナは弱い」


「おぉ…… もしかして今回は楽勝なのでは?」


「ルナは弱い、だが…… ルナは水晶を作る力があり、ガーディアンとして、水晶ドラゴンを召喚する」


「………………………」


 ⦅みんな、先ほどまでの楽勝感が消え、それムリじゃねって顔してる……⦆


「普通ならまだルナに挑むのは時期尚早じゃが、今回ディケムはドライアドを使役した!」


 エミリアとマルケが驚いている。


「ルナとドライアドは仲が良い、チャレンジするだけの価値がある」


「価値ですか?」


「そう。 これからが今までの話の本題じゃ」


 ⦅月の精霊と契約できるだけでも価値はある…… でもウンディーネの言い回しだと、さらに何かあるのか?⦆


「もしルナを使役できると、ソーテルヌ邸の地下に水晶の洞窟を作り、そこを宝物庫にする事で、置いておく武器や防具、アイテムなどに神聖な力が宿っていく。もちろん邪悪な武器系は逆効果じゃがの」


「うん、それは凄い! 是非ほしい」


 ⦅ラローズさんが、王都を勝手に掘らないでって顔してるのは気にしない!⦆


「しかも先ほども言ったが、ルナの洞窟は最上級の浄化の水晶で作られる。 じゃから最上級の触媒になる水晶が使い放題と言う事じゃ!」


 『おぉぉぉぉ!』皆が興奮している。


「まだまだ凄いことはこれからが本番じゃ! ソーテルヌ邸地下にルナがいると、その上に植わっている神木イグドラシルの幼体とそこに宿るドライアドの力が強まる。 そしてディケムよ! 今の神木に宿るドライアドはお前の眷属! さらにお前のマナで成長した神木もお前の眷属じゃ、これからお前は定期的に神木にマナを送るのじゃ」


「はい!」


「そして、お前のマナで神木がイグドラシルに昇格した時! 眷属がイグドラシルまで昇格すれば、主がそれ以下になるはずがない! 世界の(ことわり)がお前とそのマナを昇格させ神格化させる!」


「おぉぉぉぉ! なんかわからないけど凄い!」


 ⦅みな勢いで盛り上がってるけど……… 神格化ってなに? ちょっと怖いんだけど?!⦆


「神木が育てばドライアドの力が増し、ドライアドのトレントなどの木人の兵隊も強化され王都防衛力もアップする。 もちろんイフリートとサラマンダー隊や 妾と妾の眷属の兵隊も強化される」


 ⦅……なんか、凄すぎないか?⦆


「ちなみにルナを使役できれば、ルナのクリスタル系のゴーレムやドラゴンも使える。 まぁ、このようにルナ自体は戦いに不向きだが、ルナが居る事によってディケムが今まで培ってきたものが、一気に力の強化できるという訳だ」


 『もう~やるしか無いでしょ!』と全員が気合を込めて団結した。


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