第二章12 閑話 ララの王都の日常2
閑話 ララ視点になります。
教会の講習会が終わりマディラさん、ポートさん、トウニーさん達に誘われて一緒に喫茶店に向かう事になった。
喫茶店は私の大好きな場所、教会とお城が見える橋のすぐ横にある川沿いのカフェ、川沿いにテラスがある素敵なお店だ。
「わ……わたし田舎育ちだから、こんなお洒落なところでお茶するの初めてです!」
「と言う事は…… 十二歳からの魔法学校入学に来た新入生よね? まさか戦士学校じゃないわよね?」
「もちろん魔法学校です! 回復系を学びたいのです。 マディラさん、ポートさん、トウニーさんも同じですか?」
「うんそう。 よかったやっぱりララも私たちと同じだったね」
「と言うかララ。 もう私達お友達なんだから『さん』付けはやめてよね! あと敬語も! 私の事はマディラって呼んで!」
「私の事もトウニーで!」
「わ、わたしもポートって呼んで下さい」
「あ、ありがとう…… ならマディラ、トウニー、ポート。 三人はずっと王都なの?」
「うんそう。私とポートは平民だけどマディラは准男爵家のお貴族様よ! 三人とも昔から家族で教会に通っていたから幼なじみなの」
「みんな学校でも一緒よね~」
「へぇ~ 良いな~ 私は幼馴染は男の子しか居なかったから羨ましい」
「いやララ…… 聞き捨てならない事聞いたわよ! むしろ幼馴染が男の子ってそっちの方が羨ましいわよ」
「一緒と言えば、今年はソーテルヌ伯爵様も魔法学校に入学なさるでしょ! やっぱり目指すはお近づきになってソーテルヌ伯爵様のパーティーメンバー入りよね!」
「え…… そうなの?」
「私たちの親は、皆アルザス渓谷の戦いに参戦していたの…… そしてポートとマディラのお父さんは大ケガを負ったわ。 でもお父様たちの話を聞くと本当は全滅する寸前だったって」
「そこに颯爽と水龍に乗ったソーテルヌ伯爵様が現れ敵をせん滅! その話を何度聞いても絵本の物語みたいで信じられなかったけど…… ね!」
「そう、先日ソーテルヌ伯爵様が王都に到着なさったとき伯爵様が屋敷に張った結界、王都の全員が見たもの! ララもみたでしょ?」
「う、うん……」 ⦅そ、そこに居ましたなんて言えない……)
「あれ見て、みんなお父さん達が話していた事は本当だったんだって納得したわ。 突如町の上空に光が立ち上り淡く緑色に輝く大きな結界が屋敷を覆う―― あぁ~ 今思い出しても興奮してしまいます」
「そうそう。 それに結界だけではありませんわ! あの魔神族との同盟もソーテルヌ伯爵様が行ったって聞いたわよ! キャ~」
⦅少しニュアンスが違うけど、間違ってはいないか……⦆
「ねえ知ってる? ソーテルヌ伯爵様のお屋敷、張られた結界の中はマナで満たされているからエレメントの精霊様が見られるらしいの!」
「うそ! 精霊様が目で見られるの?」
「門の隙間から見られないかしら!? わたし子供の頃から精霊様見るの夢だったのよ~」
「あっそれ分かる。 ねぇこのあと伯爵様のお屋敷に行ってみない?」
「準男爵家のマディラが居れば、貴族街に入るくらいは衛兵も許してくれるでしょ?」
「行く行く~ ねぇララも一緒に行こうよ! ね!?」
⦅うっ…… これダメなやつだ! せっかく出来たお友達無くすかもしれない……⦆
⦅どの答えが正解なのか誰か教えて――!?⦆
「ララ…… どぅしたの?」
「あ、あの…… 怒らない?」
「なんでいきなり怒るのよ!」
「あ、あの…… 私そのソーテルヌ邸に住んでます。 ゴメンっ!!!」
「へ?…… 住んでるって…… どういう事?」
皆が息をのむが分かる。
「あの、実はソーテルヌ伯爵は…… ディケムって言うんだけど―― 私の幼なじみなの」
「「「えぇええええっ――――!!!」」」
「でね、幼なじみ四人組で王都に上京して来て、ディケムの家に住まわせてもらってるの」
『…………』『…………』『…………』
あぅ…… 三人の目が座っちゃった。
やっぱり嫌われちゃったかも。 あぁぁぁぁ……
「ちょっとポートさん トウニーさん。 聞きました? これはソーテルヌ伯爵様と知り合うチャンスなのではありませんか?」
「で、ですわね…… オホホホ―」
⦅へ……?⦆ 三人が一斉に私に食いついて来る!!
「ララお願い! お家に遊びに行かせて―――!」
「えっ!? わ、私も居候だからディケムに聞いてみないと…… き、聞いてみるね」
「やった――!!!」
「ありがとう―― お願い~」
「ほんとに聞いてね!? お願いよ、ねっ!」
王都の女性は私の想像よりしたたかだ。
人の縁を何よりも大事にしチャンスをつかみ取る。
――その夜――
ディケムに教会での講習会と、そこでお友達が三人出来たことを話した。
「でね……ディケム。 そ、そのお友達がお家に遊びに来たいって言うんだけど……ダメ?」
「別に俺に断らなくても良いって言ってるじゃないか。自分の家だと思って自由にしてくれよ」
「そうもいかないでしょ、ここディケムの家だし」
「もともと、パーティーのホームにしようって言ってたし、お互いのプライベートだけしっかり守れれば俺は良いと思ってるよ。 この屋敷すごく広いし」
「で、でも……」
「それと両親連れてくるときは離れに住んでもらおうと思ってる。 ここはマナが充実してるから本館と庭は俺のプライベートだけで使うにはもったいないよ。 ラス将軍もここで訓練したいって言ってたじゃないか。 だからララが友達と訓練するのに自由に使えばいいよ」
「ありがとう。 ディケム」
「ディックとギーズも遠慮するなよ!」
「おう、サンキュウな」
「ディケムありがとう」
「ちなみに…… ディケムは二日後の午後は屋敷に居ないの?」
「なんで?」
「い、いや…… お友達がディケムに会いたいって…… やっぱそぅ言うのダメかな?」
「う~ん。そう言うのは苦手なんだけど…… ララの学友になるなら無下には出来ないよな? あいさつ程度で良いなら、良いよ」
「ありがとうディケム! お友達になれるかの大事な時なの」
――次の教会講習会の日――
三人に『家に来ても大丈夫』と伝え、講習会が終わった後みなでソーテルヌ伯爵邸にやってきた。
ソーテルヌ伯爵邸の門前に並ぶマディラ、ポート、トウニーの三人。
なんだろう…… 見たこともない覇気を纏っているような意気込みを感じる。
「いつもお疲れ様です守衛さん。 ソーテルヌ伯爵には了承頂いている私の友達三人です。 通っても良いですか?」
「あぁララさんお帰りなさい。 ソーテルヌ伯爵様から御三方の来訪申請出てますよ。 御三方はここに各自サインして入ってください」
私は、いつも顔見知りの衛兵さんに話して三人を屋敷へ招き入れた。
前回に引き続き、今回もディケムの一番近くに居る幼馴染、ララの日常を描いてみました。
王都での初ミッション「お友達を作る」に一生懸命です。
ララの日常は次回もう1話続きます。
主人公の生活を彩る、彼らの日常も楽しんでいただけたら嬉しいです。
お立ち寄り頂きありがとうございます。
初めて書く小説ですので、忌憚ないご意見をお聞かせいただければ幸いです。




