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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第7章 腐りゆく王国と隠されたみどりご
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第七章96 閑話 ララとククル5

 

 ―――ララ視点―――


「ふぅ~ 何とかディケムのお陰で助かったようね」

「うん。 正直死んだと思ったわ」


「それでどうするのララ? ボスの力も借りちゃったし、戦闘はお開きってところ?」


「いえ、さっきのシューティングスターは何かおかしかったわ。 あれがシューティングスターの意志で行った攻撃じゃ無いのなら、私達も無事な事だし仕切り直しで戦闘再開って事で良いんじゃないの?」


「分かったわ。 貴女がリーダー、貴女の指示に従いま――…… えっ!?」


 会話の途中で私に視線を向けた玉藻が目を見張り固まった。

 私の周りに顕現している精霊様。

 月の精霊ルナ、夢の精霊オネイロス、水の精霊ウンディーネ。

 この三柱の上位精霊を従える私を見てその意味を理解したのでしょう。


「ララあなた……」

「ふふ~ん、気づいちゃった?」


「ララ凄いじゃない! これが、貴女がさっき言ってた今日の取って置きって奴ね!」

「違うわよ! 私の取って置きはあっち!」


 私が指さした方向、そこには王都中央公園の噴水広場に立っている、女神ララの像が立っている。

 しかもシューティングスターと同じ位巨大化して。


「は? 貴女のとっておきって…… あれ?」

「悪いの?」

「い、いや…… 戦闘センスの欠片も感じられない……」

「なに? 聞こえない、なんか言った――!?」

「いやなんでも有りません、ご主人様……」


「でもララ、あれなら大きくなっただけで何時ものクリスタルゴーレムと同じじゃないの?」

「違うわ。 あの女神像にはディケムが作った精霊結晶が核として使われてるのよ」

「へぇ~ それって凄いんだ」


「そしてあの女神像で殴ってやろうと思っていたのだけれど………」

「は……? 取って置きってそれだけだったの?」


「うるさいわね! 聖属性同士の私とシューティングスターでは決定打に欠けるのよ、だったら殴り合いの物理攻撃なら効くと思ったのよ」


「………………」


「な…なんで黙るのよ……。 だけど今は計画が変わったわ! ウンディーネ様と繋がった今の私なら、あのクリスタルゴーレムの力をもっと引き出せるわ!」


「なんでそうなるの? ウンディーネ様は水の属性でしょ?」


「まぁ玉藻になら話しても良いけど、ウンディーネ様は水の精霊だけど、その真髄は水属性じゃ無いわ。 その特質マナで繋がる力! 私はディケムの様に九属性の精霊は使えないけど、ディケムが作った精霊結晶から力を引き出す事が出来るはずだわ!」


 巨大化した女神のクリスタルゴーレムが九色に輝きだす。


「な、なんかこうなると―― さらに下品…ね……」

「はぁ? なんか言った!? 玉藻」

「いえ、何でもありませんご主人様! それでこれからどんな技を?」


「属性の力を引き出したゴーレムで―――」

「ゴーレムで!? っで?」


「殴るっ!!!」

「…………。 はぁ?」と玉藻が呆れているようだけど、気にしない。



 私の心の声を反映したように、

『うぉぉおおおおりゃぁあああああ―――!!!』と女神像がシューティングスターに殴りかかる!


 シューティングスターはあれから動かない。

 いや、心ここにあらずと言った感じに見える。

 さっきのシューティングスターは明らかにおかしかった。

 何者かに操られていたように思えた。

 今は高位の自分が一瞬でも誰かに支配された事実に呆然実質と言った感じがする。



 巨大なクリスタルゴーレムの女神像がシューティングスターを殴り飛ばす。


 ドッゴォォオオオオオオ―――ン!!!!


 吹っ飛ばされたシューティングスターが起き上がった所をさらにララの像が殴り飛ばす。


 ドッゴォォオオオオオオ―――ン!!!!


 そこから女神像のラッシュが始まる。

 シューティングスターは何度も何度も殴り飛ばされ、起き上がったところに女神像が襲いかかる。

 シューティングスターは一切抵抗を見せない。

 しばらくサンドバック状態のシューティングスターを殴った後。


『もぉぉぉおおおおお―――!!! いい加減ワタシを認めなさ―――い!!!!』

 そう私が叫んだ所で、女神像が追撃を止める。



『………………』殴り飛ばされたシューティングスターは無言で起き上がり、私を見据える。


 そしてしばらく無言で睨み合った後、シューティングスターが口を開く。


「神聖な戦いに水を差された…… だが不本意ながらもお前はワレの本気の一撃に耐えて見せた」

「あ…あれはディケムの力で私では……」


「仲間の力もお前の力だろ、全て自分で解決しようとする方が愚者と言うもの。 自分の力しか信じぬ者にワレの力など必要なかろう」


 ⦅そ、それ…… 始めっから聞きたかったよぉ~⦆


「今しがたまでのお前ではワレを従属するには足りぬと思っておったが…… あの刹那に何が有ったのかは知らぬがお前の力は格段に上がった。 今のお前ならば認めてやってもいい」


「えっ……ホント! じゃ~私と契約してくれるって事で良いのね? ねっ!?」

「あぁ良いだろう」







 ―――ディケム視点―――


 たたずむシューティングスターの前でララと玉藻が二人手を握り合って喜び飛び跳ねている。

 とてもシュールな光景だが、一先ずは無事にシューティングスターを認めさせることが出来たようだ。


 だが俺は、その隣に立っている九色に輝く巨大化したララのゴーレム像を見る。


 ⦅ウンディーネ、あのララのゴーレム像は……?⦆

 ⦅うむ、あれは精霊属性の力だけではない、あれからは神力的な物を感じる⦆

 ⦅神力?⦆

 ⦅じゃが今は妾にもあの力が何なのか分からん…… あれも今はまだ然程(さほど)の力も無いようじゃから様子見じゃな⦆






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