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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第7章 腐りゆく王国と隠されたみどりご
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第七章85 凱旋1


「ディケム様。 龍の寝床(ドラゴンヴィスタ)でフュエ王女の名を騙る一行が捕縛されたそうです」


「ラ…ラトゥール? フュエ王女の名を騙るって…… 彼女たちが帰ってくるの分かってて放っておいたのですか?」


「事前に知らせたらディケム様が一枚噛んでるの気づかれちゃうじゃないですかぁ~」


「た、確かに…… まぁ少しはお姫様達にも罰が必要か」

「はい」


 ラトゥールの報告を受けていると、今度はラス・カーズ将軍が入室して来た。


「ソーテルヌ閣下報告が有ります!」

「はぃはぃ」


 ⦅このタイミングは……⦆

 ラトゥールが目を逸らした……

 どうやらフュエ王女達が捕まったのは今日では無いようだ。


「実は先日……龍の寝床(ドラゴンヴィスタ)からフュエ王女の名を騙る不審な一行を捕縛したと報告が有ったのですが…… 先ほどまた連絡が入りまして………その…どうやらその一行は本物らしいと報告が入りました。 もしかして閣下はご存じだったのではないですか?」


「ラス・カーズ将軍。 彼女たちも捕縛されて少しは火遊びにも懲りたでしょ。 丁重に王都までお連れてしてください」

「は、はい」


「あっそれから~ 彼女たちはボーヌ王国を救い同盟復帰に導き、人族同士の戦争を回避させた立役者です。 凱旋パレードでも行って盛大に迎えましょう」


「えっ……? が、凱旋パレードですか?」


「はい。そうすればミュジニ王子やオリヴィエ嬢、グリュオ伯爵派閥の者達も今後おいそれとはフュエ王女に手出しできなくなるでしょうから」

「あぁ、なるほど」


「もともとフュエ王女達が王都を抜け出してボーヌ王国へ向かったのは彼らがフュエ王女を陥れる為に仕組んだ罠らしいので、大いに活用させてもらいましょう」


「王都を抜け出してって……… そ、そうなのですか!? 分かりました、それではフュエ王女一行の凱旋パレードを盛大に執り行いましょう!」


「それはも~う盛大にお願いしますね」

「はっ!」



 ラス・カーズ将軍が執務室から出て行ったあと……

 俺はまたラトゥールを見る。


「……………」

「……………」


「ラトゥールはフュエ王女が旅に出るのを推奨してなかったですか?」

「フュエ王女が経験を積んで成長するのは喜ばしい事です」


「なら…… なんで?」

「ソレはソレ、コレはコレです。 ディケム様がフュエ王女にかかりっきりになったのは面白くありません」


「……は、はい」







 ―――フュエ王女視点―――


 私達は今……

 龍の寝床(ドラゴンヴィスタ)要塞の不審者を捕まえておく牢屋に閉じ込められています。


 事の発端は数日前――

 私達はボーヌ王国領とシャンポール王国領の国境を守る鉄壁の砦要塞、龍の寝床(ドラゴンヴィスタ)の門がまだ閉ざされている事を知りました。


 一度戦争状態に入り閉ざされてしまった国境門は、同盟を結んだからと言ってすぐに開かれる訳では無いのです。

 それがもし敵の策略だったとしたら、取り返しの付かない大きな被害に繋がるからです。

 国境門が開かれるのは、両国が盟約に調印し、色々な手続きが終り、両国の要人が行き来し、しばらくして安全が保障された後、商人や冒険者などの一般市民の通行が許されるようです。

 なので今はまだ私達の冒険者証ではここを通る事は出来ません。



「……それでコレどうするのよ?」

「門が開かれるの待ってたら、数か月後になっちゃうわね」


「ここはもうフュエの身分を明らかにして通るしか無いんじゃないのか?」

「え? ッ――ちょっ! ア、アマンダ何言って――……」

「フュエ…… もうヴァンも私も薄々気付いてるよ。 アンタらがただの冒険者じゃ無いって事ぐらい」


「…………」「…………」「…………」


「まぁ~ リサがボーヌの女王様で、その友達のフュエの近くにディケムなんて名前の護衛が居たら気づくわな。 せめて偽名ぐらい使えって感じだな」


「なっ! さ、最初は……冒険者になるなんて思いもよらなかったから途中で変えられなかったんです!」


「まぁ俺達は今まで通り冒険者のフュエとディケムって事で良いんだよな? シャルマとフローラも? 今更敬語を使えとか言わんでくれよ」

「は…はい。 それでお願いします」


「って事で、もうフュエを縛るものはなにも無い! 名乗ってサクッと通してもらいましょう!」

「シャ、シャルマ…… でも私が王都を出てボーヌへ行った事は誰も知らないのではなくて?」

「いや、ボーヌ王国の危機を救った英雄の名にフュエの名も載ってるから、問題無いでしょ?」


「でも普通、王女が他国に向かったなら騎士団を引き連れて堂々と砦門を通過するわよね?」

「うん…… まぁ~どう見ても今の私達って不審者よね?」

「はぁ~」


「もぅ良いからフュエ、名乗りを上げちゃいなさいよ!」

「えっ! でも……」

「大丈夫! 私達の隠そうとしても隠しきれない王女としての品と格ってやつを見せつけてやりなさい!」


「もぅ…… どうなっても知らないわよ―――!!!」



 ―――そして今に至ります。



「お腹がすいたわね」

「もうシャルマ! 何のんきな事言ってるのよ。 隠せない王女の品と格どこに行ったのよ?」


「なにそれ~? 食べれるの?」

「な…なにバカな事言ってるの! 私達牢屋に入れられているのよ! そんな呑気な事言ってる場合じゃ無いでしょ?」


「も~ぅこうなってしまったら仕方ないじゃな~い。 私達に王女の品と格が無かっただけよ フッ……」



 ダメです。

 すっかりシャルマとフローラは現実逃避をしてしまっているようです。







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