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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第7章 腐りゆく王国と隠されたみどりご
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第七章18 ボーヌ王国事変勃発 2

 

 会議室に招集されたソーテルヌ総隊隊長、副隊長達そしてラス・カーズ将軍にラトゥールから事の内容が説明された。

 ボーヌ王国の五大国同盟からの離脱とドワーフ族・ロマネ帝国との新たな同盟、さらに宣戦布告まで画策している事はまだこの国の誰も知らない。

 ボーヌ王国国内で決まったばかりの事を、ラトゥールが独自の情報網で掴んだ事だからだ。

 他国へ対しての正式な宣言・通達はこれからされる事となる。



 話を聞き終わった皆が驚愕している。


「急遽明日までに王国騎士団全隊長を招集している。 マール宰相にも参加してもらう事になる。 今日はその前に総隊の皆と情報を共有し話し合いたいと思い召集した。 意見がある者はどんな個人的な見解でも構わない忌憚なく述べてもらいたい」


「あ、あのディケム…… この場に相応しいい質問じゃ無いかもしれないけど。 アルバリサ王女とフローラ皇女はどうなるの?」


「今はこの屋敷の一室に一時的な強制拘束として隔離している。 もちろん丁重にだ。罪人扱いはしていない」


 『よかった……』とララはホッとしているが……


「でも正直この後二人がどうなるのかは、ボーヌ王国とロマネ帝国の出方次第となってしまうだろう。 だけど今この状況で宣戦布告してくると言う事は両国とも王女の身は人質とはなり得ない。 好きにしろと言う事だ。 二人を守り通すことは難しくなる」


「そ、そんな………」


「ララ…… 個人的な懸念は王女達だけじゃないぞ。 自分達の事を忘れていないか? 俺達の懸念はサンソー村が危ないと言う事だ」


『『『っえ!』』』 ララ、ディック、ギーズが弾かれた様に目を見張る。

 突然聞かされた大事に、そこまでまだ頭が回っていないのは皆同じだ。


「サンソー村だけじゃないが、北西に位置するドワーフ族領からその南のボーヌ王国さらに南のロマネ帝国まで人族領の西側全てが敵対国領となれば、ボーヌ王国とロマネ帝国に挟まれているサンソー村やその他の村や町の立ち位置は難しくなる。 そしてその西側にはシャンポール王国領の砦が四つある。 戦火は免れなくなるかもしれない」


「そんなっ! なら直ぐにお父さんお母さんに知らせないと」

「その手配はもうラトゥールが済ませていた。 四門守護者の家族は人質となる可能性が有るからな。 だけど……村人全てに知らせる事はできない。 西側の町村全てがパニックに陥れば、さらなる悲劇が起こる可能性がある。 その采配はマール宰相に任せ国主導で行う他ない」


「………………」


 危険がある事を家族だけに知らせる罪悪感。

 それでも家族は助けたい……

 ララはこの会議中もうサンソー村の事を口には出さなかった。



「皆すまない。 急いで集まってもらったのに私用の話に時間を取られてしまった。 会議を進める」


 皆に謝罪したが、皆も同じ気持ちらしく俺たちに同情的だ。

 しかし俺は王都守護者の任につき、さらに王国騎士団十二部隊全てがソーテルヌ総隊の下に就いた事により、必然的に俺はシャンポール王国領全土を守る責務が発生した事になる。

 俺が私的な感情で動くことは難しい立場になっている。


 ラトゥールは『そんなの関係ありませんよ!』と言ってくれるが……

 しがらみが出来た人達を守りたいと思う気持ちも確かだ。




「ディケム様。 今入った情報ですがもう一つ嫌な知らせがございます」


 俺が頷くとラトゥールが今入った情報を総隊員皆で共有するため伝える。


「ボーヌ王国とシャンポール王国の間にある竜の狩場はみな知っているな。 今入った知らせでは古竜シューティングスターが活動期に入ったと言う事だ」


「くそっ…… なんてタイミングに!」

「むしろこのタイミングを測ったと言うことではないのか?」

「でも……竜の活動期なんて予測できるの?」


 活動期とは、今まで必要最低限の場所・回数でしか狩をしかしなかったシューティングスターが、その行動範囲を広げ狩の回数も増え活発に動き出した事を言う。

 活動期に入ると性格も荒々しくなり攻撃性が増すと言われている。


 古竜シューティングスターが活発に動くと言うことは、『竜の狩場』周辺の交通が難しくなってしまう。

 ボーヌ王国やドワーフ族領と事を構えるにはどうしても竜の狩場の近くを通らざるを得ない。

 さらに今ソーテルヌ総隊の戦略的に重要な部隊となった竜騎士部隊が、自由に上空を飛べなくなってしまう。

 そして最悪シューティングスターが竜の狩場を超えロワール平原まで進出し、それどころか王都まで遠征して来る危険性すらあると言う。


「ディケム様。 シューティングスターが活動期に入ったのならば、王国騎士団五番隊が守る西北の砦がかなり危険になります。 北にドワーフ領、西にボーヌ王国、さらには南にシューティングスターと三方を囲まれた形になってしまいます」


 ラス・カーズ将軍の言葉にコルヴァスが付け加える。

「その他、騎士団十二番隊、十一番隊の砦も少なからず影響を受けると思います」


 そしてサンソー村も影響は大きいいだろう。

 サンソー村は竜の狩場の西南に位置している……





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