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寂滅のニルバーナ ~神に定められた『戦いの輪廻』からの解放~  作者: Shirasu
第六章 眠り姫と遠い日の約束
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第六章42 ゴーレムチャレンジ

 

 とりあえずレクランの最初の目標は、みな『鋼』以上の装備を整える事。

 正直、地下王国ウォーレシアに行けば簡単に買うことが出来るが、それでは意味がない。


 今シャルマ達が着ている、変異種ファイア・ウルフの革で作ったボレロは、素材の格(マナ量)で言えば鋼以上の物になるが、単純な物理防御が弱い。

 できればボレロの下に鋼のチェーンメイルを装備したい。

 チェーンメイルならばサイズの調節も容易に出来るから使い勝手がいい。

 そこでこれから向かう【モントリューダンジョン】が良い。



「みんな、『モントリューダンジョン』について補足だ。 ここのダンジョンは特徴的で要所要所に【ガーディアンゴーレム】が設置されている。 これ強いから普通は戦わない。 今確認できている階層までは基本ゴーレムと戦わなくても迂回ルートがあるからだ」


「『普通は戦わない』って事は私達は戦うって事?」


「そう! 良くわかったシャルマ。 このゴーレム『金』『銀』『銅』と居るんだが、勝てば『銅』は杖などの触媒に良い『属性クリスタル』をもらえる。 そして『銀』は鋼装備、『金』はミスリル装備をもらえる」


「ミ、ミスリル装備!?」

「もらえるって言うのは…… どう言う意味?」


「このゴーレム。 強い代わりに倒すと、フロアボス討伐ドロップと同じように褒美の宝箱をもらえるんだ。 宝箱からはダンジョンコアにより武器などの種類を選べる仕組みになっている」


「おぉ! なら金のゴーレムを倒しまくれば!」


「金のゴーレムの強さは推定Sランク。 銀がBランク、銅がCランクになっている」


「へ?」

「え、Sランク!?」


「ちなみに金はほとんどポップしない。 そして稀にポップした金ゴーレムに数多くの冒険者達が返り討ちに有って来た。 唯一討伐に成功したのは…… ラス・カーズ将軍のパーティーが一度だけ成功した記録がある」


「英雄ラス・カーズ様が一度だけ……」


「だから俺達が狙うのは『銅』と『銀』のゴーレムだ」


「でも、銀のゴーレムでもBランクも有るのでしょ?」


「あぁ、だけど俺達は十一人の『クラン』だ! 人数的にもダンジョン攻略に適している。 しかもCランク冒険者が五人も居る。 十分銀のゴーレムは倒せる実力があるだろう! ダンジョン攻略しながらゴーレムを狩っていく、目標は全員分の鋼の装備だ」




 王都から皆で馬車に乗り『モントリューダンジョン』へ向かう。

 このダンジョンは王都から一番近く、馬車を使えば日帰りでダンジョンアタック出来る好立地となっている。


 俺たちが『モントリューダンジョン』に到着すると入り口は冒険者で大賑わいだった。

 ダンジョン入り口には受付があり、シャンポール王国が管理している。

 俺達は冒険者カードを見せ一人金貨一枚を支払う。


 ダンジョンに一回潜るのには一人金貨一枚が必要だ。

 これはかなり高い金額になるが、国が管理するダンジョンに入る相場はどこもこれ位だ。

 それでも入り口がにぎわうくらい冒険者が集まってくる。

 それほどダンジョンで手に入るアイテム、魔物の素材は魅力的で金になるという事だ。

 特にミスリル装備などは金に換えられない程の貴重な装備になる。

 もしドロップしたときなどは冒険者ギルドの掲示板に情報が貼り出される程だ。


 ちなみに戦士学校のダンジョンは、国が学生を支援する為に料金は無料と破格の待遇になっている。





 ダンジョン攻略一階層。

 ガーディアンゴーレムの設置位置は一ヵ所のみ。

 フロアモンスターはFランクの『スライム』と『大コウモリ』のみ。



「みんな一気に『ゴーレム』まで行くぞ!」


「え? え? ディケムさん! 『ゴーレム』の場所分かってるの?」


「あぁ問題ない。 このダンジョンは中層までの『マップ』を手に入れている。 どこにゴーレムが設置されているかは頭に入っている!」


「事前準備で『マップ』手に入れてるとか…… ディケムさんらしい真面目な性格ね。 脳筋が多い冒険者には珍しいタイプなんじゃない?」


 なんとでも言ってくれ……

 俺の一番の任務はダンジョン攻略じゃない。

 キミ達三人の姫の護衛なのだから。


 ダンジョンの『マップ』もふつう冒険者の財産だ。

 売り出されることは稀……いや皆無と言ってもいい。

 マップを売ると言う事はダンジョン攻略の優位性をライバルに渡すと言う事だからだ。

 だからここのマップは売っていなかった。

 俺が持っているマップは事前に諜報部隊のメリダに調べてもらったものだ。



 タンク役の俺は一番先頭で先行する。

 レクランのタンク職は俺を含めて三人。

 冒険者ランク順に、Cランクのジューン、Dランクのギルベルト、Gランクの俺となっている。

 だが二人とも俺の後ろにぴったりとついて来る。

 何か少し釈然としないが…… まぁ良い。


 俺は足早に『ガーディアンゴーレム』の設置場所にたどり着く!


「全員戦闘態勢! 銅のゴーレムだ!」


 俺達レクランが迂回もせずにゴーレムに仕掛ける姿を見て、周りに居た冒険者達が集まってくる。

 このダンジョンではゴーレムを避けて迂回する事が常識だが、極まれに俺達の様に経験値稼ぎやアイテム狙い、そして『金ゴーレム』を湧かす為にゴーレムに仕掛ける場合がある。


 ⦅俺達の狙いは銀ゴーレムだけどね⦆


 ゴーレムは倒されると一定時間で再ポップする。

 その時に、銀・金ゴーレムが稀にポップするのだ。


 ゴーレムを倒すメリットは。

 ・ドロップアイテム。

 ・次フロア階段への近道。

 ・再ポップで銀・金ゴーレムを湧かす事ができる。


 俺達がゴーレムに仕掛け始めた事で、冒険者達は『金ゴーレム』狙いと勘違いして盛り上がっている。


 このダンジョンではこれを『ゴーレムチャレンジ』と呼ばれているそうだ。

 すると早速集まってきた冒険者たちが噂話を始める。


「おい! レクランが『ゴーレムチャレンジ』始めたぞ!」

「マジか! いくら話題のレクランでも『金ゴーレム』は無理だろう!」

「でも、もし成功したら英雄ラス・カーズパーティー以来の快挙だぞ!」


 ⦅『金ゴーレム』なんて狙って無いって!⦆


 まぁ、いちいち説明するのも面倒だから放っておく。

 心配しなくても『金ゴーレム』なんてそうそう湧くものではない。

 湧けばギルド掲示板に情報が出る程だ。


 だがもし仮に湧いてしまうと……

 アタックは『ゴーレムチャレンジ』を始めたパーティーに権利が認められる。

 もちろん湧かせたパーティーが白旗を上げたときは、他のパーティーがチャレンジしても良い事になっている。


 『金ゴーレム』が湧いている時間はたった一日のみだ。




 さぁ、湧きもしない『金ゴーレム』の心配より、目の前の『銅ゴーレム』をどう倒すかだ!




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